コーヒー豆を挽く3人の男たち|エッセイ
1人目
1938年生まれの少し変わった老人は、戦時中に食べ飽きたというサツマイモが苦手だ。
今では、食べることも料理をすることも謳歌している。
若き日の空白を埋めるように観劇に出かけ、映画を観て音楽を聴き、寝る間を惜しんで本を読み、読みながら眠ってもまだ読書灯で額を照らしている。
創作の近くで生きること私に示した、父である。
口数が少なく絵を好んだ私を絵画教室へ通わせた。
みんなと同じだからといって安心してはいけないし、みんなと違うからといって不安になることはない。
言葉で