見出し画像

おはようどうぶつえん🌳お散歩「井の頭自然文化園」


いつもより早起きをした雨上がりの朝、バスを降りたところで常緑樹の葉っぱの上に朝露を見つけた。
小さくて透明な宝石がいくつも並んでいるようだった。


「いつもお寝坊のキミにも見せようと思って
しずくをとっておいたんだ」と
トキワマンサクの葉が揺れる



おはよう

息を吐いてみて

それから

息を吸ってみて




27画像1,486文字



動物たちのステンドグラスが迎えてくれる


チケットにスタンプを押してもらったら出発しよう
広場を抜けていくと
フクロウたちがうとうとしている





メンフクロウ

閉じていた目を薄く開き、メンフクロウが言うことには
「この鉄の扉は全くびくとも動かん。
遠い親戚たちは魔法学校に郵便を届けているというに、
いくら朝が弱いからとて、ずっとこの扉の前で
じっとしていてよいものか?」





ミーアキャット

「朝いちばんの見張りはまかせて!」
右と左くるり
前と後ろもくるり
下ではきょうだいたちが
母さんに甘えてる





マーラ

かわいいからって
近づき過ぎないで

マーラのカップルは
一生解消されないの

そんな彼だっていつも
30メートルは離れてる

それが
マーラのマナーってこと

人間さんも真似してみる?





ヤギと友だち

ごめんください
ヤギさんのおたくですか


いかにも手紙を食べそうなんて
言っているのは誰ですか?

はい、どうぞ
ぜひ友だちと一緒に写してくださいな
姿かたちも大きさも
声も食べものも違うけど
わたしたち
なぜだか気が合うんです





ニホンカモシカ

わたしはココ。
弟がうまれたからお姉さんなの。
とがったつのとふわふわの毛は、
自分でも気に入っているところ。

もう少しおひさまがのぼったら、
岩場の坂を駆けるのを見せてあげる。
自慢の蹄で、それは上手に降りられるのよ。




樹の根はうねりながら
きよらかな水を湛える





ニホンアナグマ

寝床からは出てきたけれど
まだまだ眠い
むーにゃむにゃ

夜中にいっぱい遊んだからね
まだまだおやすみ
すーやすや





おおきなたまご

これは

もしや

例の

たまご?


ひと足おそかった

黄色くて

ふわふわなおやつ

食べたかったなあ





ヒト

苔むした木の陰にある檻の中で
光っているのは鏡?
気をつけて
吸い寄せられるように近づいたら
捕えられてしまうから

ヒト
学名:Homo sapiens
英名:Human
分布:地球上のいたるところ
分類:霊長目 ヒト科

特徵
好奇心が強い
あつかい方によっては大変危険
鏡の中のあなた

井の頭自然文化園 ヒトの案内板





とぐろをまいたような
ホオノキの大木は
手足を折りたたみ
自分を抱きしめている





赤いベゴニア
蜜は売り切れ
蝶は席を立つ





黒塗りの歩道橋を渡ってぬかるみを下る
澄んだせせらぎにあめんぼの水紋と
重なる蜘蛛の巣が絵画のようだ



ひと文字ひと文字に思いをこめた
過去形の案内看板
人と動物の共存を願って



水生物園のカエル

ただ
じっとしているカエルたち

ところが
このヒキガエルだけは向きを変え
わざわざ近くまでやって来た
よっこら よっこら
ガラスにぺたんと両手をついてこっちを見ている

どうした どうした
なんかがむねのところに
つっかえてるんだろう
オレに 話してみてもいいぞ

そんな声が聞こえた





水に浮かんでいるような

井の頭弁財天の朱色




坂を登っていくにつれ

鳥たちのさえずりが遠くなる





午前のおやつ

聞こえてきた電車の音と

届いた香りはほのかに甘くてスパイシー




本日のオーダー

スパイスチャイ

chai breakにて



ホビットのように2回目の朝ごはんは食べなかったけれど、煮出したミルクティーで身体の中から温まり、これからまだまだ歩けそうだ。

休日の日暮れまで、まだ時間はたっぷりある。
目の前には柵もなければ鍵のかかった扉もない。
気の向く方へ、進んでゆける。











参考サイト 
井の頭自然文化園公式サイト、Wikipedia

ここまでお読みいただきありがとうございます。 思いのカケラが届きますように。