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【七転び八起き】

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起業からの七転び八起きの一転び目から八起き目までをまとめてみた。
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【七転び八起きの一転び目①】

【七転び八起きの一転び目①】

 正確に言えばその前にも学生時代とか散々転び散らかしてるんじゃないかとは思うけど、それはもうそれということで、今のビジネスにつづく最初の壮大な大転けという意味での一転び目。

 社会人入学で入った調理師学校を卒業してからすぐにお店をオープンしたんだ。調理師免許をとってすぐに自分の店を出す自惚れた頭のおかしい奴だと思うだろ。それはまさにそうなんだけど予想を超えるバカだから、反対向いたり斜め上だったり

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【七転び八起きの一転び目②】

【七転び八起きの一転び目②】

【七転び八起きの一転び目①】

 意気揚々とオープンした古着屋なんだかセレクトショップなんだかなんなんだか、なんだかんだそれなりにやれるんだかどうなんだって感じの小さなお店。
 古着のTシャツとかジャージを業者に1ロット注文したら85%ぐらいTシャツのカタチをした布ゴミが届いたり、テキトーに筆で描いたパンダの絵をそのままTシャツにしてみたらわりと売れたり、実家で余ってた着物の生地を再利用してジーン

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【七転び八起きの一転び目③】

【七転び八起きの一転び目③】

 調理師学校の同期の親がテナントビルを経営していて、ちょうど空きテナントがあるからどうだろう?ってノリで見に行ったのはビルの2階にあるスナックの跡地で10坪くらいしかない狭い物件だった。床は真っ赤、壁は擦れた白、棚はザ・スナック調。トレイも和式だったし、カウンター内の厨房設備なんてもちろん1つもなくて、エアコンもまともな換気扇すらなく、ビルの階段もどこか古臭くカビ臭いし、こんなとこで飲食店をやるな

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【七転び八起きの一起き目①】

【七転び八起きの一起き目①】

 転んだら寝転がって天の川。

 まだスマホのない時代、オープンしているのに誰も来ない店、ランチタイムは閑古鳥、ディナータイムは持ちぼうけ。
 古着屋を始めてから毎日パソコンを触るようになった。その前までは何か調べたい時たまにちょっと開いて何かを検索してみる程度、もしくはエクセルやワードで書類作るぐらいだったけど、古着屋なんだかをやり始めてからはあまりに暇だったから日常的に流行りのブログを覗いたり

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【七転び八起きの一起き目②】

【七転び八起きの一起き目②】

 mixiの魅力はコミュニティと足跡だったと思う。あの足跡機能の絶妙な緊張感と親近感のバランスがとても良かったのに、途中で改悪されてしまったのが本当に残念だ。すごく他人との距離を気にする人たちが嫌がったんだろね、それならSNSをやらなきゃ良いのにってぐらいそれな人をたまによく稀に日頃から多々頻繁に見かけるけど、そういう人ほどSNSに依存していたりもする。

 あの日……みたいな感じで鮮明には覚えて

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【七転び八起きの一起き目③】

【七転び八起きの一起き目③】

 飲食店にとって、ホットペッパーは麻薬なのかそれともただの栄養剤程度のものなのか……その頃、まわりの個人店でもそれについての議論は意見が分かれていて、実際自分も最初は嫌悪感を持って穿った目で眺めていた。

 新規オープンのところに掲載された初月はかなりの集客を望めるけど、平常に戻った時は6ヶ月ぐらいかけてデータを集めて、戦略的に集客を増やすことが大事だというのが営業の意見で、それは間違いなくそうだ

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【七転び八起きの一起き目④】

【七転び八起きの一起き目④】

 mixiで意気投合した友達と突然イタリア&スペインの旅に出かけたことがその後の人生に大きな影響を与えることになったんだけど、とりあえずは調子に乗って液晶テレビも一括で買っていたので帰ってきたらお金が全然なかった。

 BRASS MONKEYをオープンさせる前、実は調理師学校時代にもだけど、市内のイタリアンレストランに就職しようとか、どこで修行しようと考えたことが何度かあった。
 けど良さげな個

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【七転び八起きの一起き目⑤】

【七転び八起きの一起き目⑤】

 結局、3階のテナントのゴミの処分は業者に依頼して10万円ぐらいの費用がかかった。それを負担するだけで安い家賃で借りれるんだから悪くない契約だ。長らく使用していなかったのと3階で階段しかないという悪条件もあって家賃は2階と同じ5万円、フリーレント期間は交渉の結果6ヶ月。
 2階のお店を営業しながら3階のゴミの処分や工事をしなければならなかったので、長めのフリーレントをもらえたのはラッキーだ。

 

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【七転び八起きの三転び目①】

【七転び八起きの三転び目①】

 認識の甘さから生まれたのはつまりほろ苦くビターな経験。

 思ったよりも旭川にはスペイン料理を待っていた層がいたってことにびっくりした。その辺の認識からもうすでに甘かった。
 全国的な流行りが蠢き出して3年目ぐらいだったと思うから、そういう層はきっと東京や札幌でスペイン料理を食べて、旭川にもこういう店が出来たら良いねって感じで心待ちにしていたのだろう。従来のスパニッシュイタリアン的な流れではない

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【七転び八起きの三転び目②】

【七転び八起きの三転び目②】

 平日でも普通に満席だったし、予約の電話は毎日何度も鳴った。
 半分イタズラで載せたバカデカい広告の効果は絶大で、BRASS MONKEYは移転オープンから連日満席で大盛況だった。少人数から団体客までバランスよく来てくれて、大学生からサラリーマンまで客層も幅広く取り込めた。

 料理をしていて楽しかった。
 オープンキッチンの店内はお客さんの反応がダイレクトに伝わってくる現場だったし、もちろん悪い

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【七転び八起きの三転び目③】

【七転び八起きの三転び目③】

 数字にすると分かりやすいから包み隠さず書いてみるけど、BRASS MONKEYの場合、12月なんかは家賃5万円の物件で250万ぐらいの売上があって、社員は雇わずに自分と最小限のアルバイトたちだけで営業していたから、経費を色々と払ってもザックリ100万ぐらいは利益が出ていたかな。
 12月と1月は特に年間でも売上の高い月だから、ローシーズンはもちろん沈み込むわけで、毎月そのくらい売り上げていたわけ

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【七転び八起きの三転び目④】

【七転び八起きの三転び目④】

 移転したBRASS MONKEYを一緒に支えてくれていた大学生の卒業は大きな転機だったけど、それは精神的な転機であって真鍮製の猿はいつも通り止まることなく走り続ける。

 そのまま大学を卒業したらお店で雇って一緒に働けないかなと真剣に考えたりもしたし、一緒に働きたいとも言ってくれていたけど、将来の安定や経済的なことを考えるとそれはどちらにとっても現実的なことではなかった。内定決まってたのトヨタだ

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【七転び八起きの三起き目①】

【七転び八起きの三起き目①】

 メニューも一新して店内も改装してワインセラーも購入して業者が持ってきたスペインワインのサンプルを何杯も何本も酔っ払うまで飲んで服装も変えて高級食材も色々と仕入れてみたりして、ELECTRIC SHEEPは生まれ変わった。改装の資金をお店で知り合ったフラメンコ教室とのコラボで行った『スパニッシュナイト』というイベントである程度工面できたのも運が良かった。

 客層はガラッと変わり、ある程度の年齢層

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【七転び八起きの三起き目②】

【七転び八起きの三起き目②】

 BRASS MONKEYの週末は団体客が何回転もするような状況で、さらには知り合いの誘いもあって製薬会社のお弁当なんかにも手を出していた。
 その頃は製薬会社が病院で製品説明会をするときに提供するお弁当のルールも緩くて、3000円〜5000円ぐらいが相場だったかな、今は上限が定められていたと思うけど。とにかくそれはお金になった。3000円×50食とかもざらだったから。そこに刺さってた飲食店はけっ

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