【七転び八起きの一起き目④】
mixiで意気投合した友達と突然イタリア&スペインの旅に出かけたことがその後の人生に大きな影響を与えることになったんだけど、とりあえずは調子に乗って液晶テレビも一括で買っていたので帰ってきたらお金が全然なかった。
BRASS MONKEYをオープンさせる前、実は調理師学校時代にもだけど、市内のイタリアンレストランに就職しようとか、どこで修行しようと考えたことが何度かあった。
けど良さげな個人店はそもそも募集をしていなかったし、研修で働いたりしたチェーン店は料理というより作業という感じだったりでイマイチ、そして食べ歩いたり、料理本を何冊も読んでいるうちに気がついたんだけど、飲食業におけるイタリアンの仕組みってのはわりと単純、なので自力で学ぶという選択肢はわりとありな選択肢だった。
何冊もの料理本を読んで、ネットでトラディショナルなレシピを掘ったりして、自分で学んで考えて料理する方が楽しかったから、自分でお店をやりながら学んでくスタイルは性に合っている。
創意工夫をしない料理。どこでも食べられる誰でも作れる当たり前のイタリア料理を深掘りする料理。それが逆に新鮮だったからお客さんにもウケが良かったんだと思う。
ひとつも省略せず、ひとつも代替しないことを突き詰める作業とその繰り返し。
だからこそ本場イタリアに行って答え合わせをする作業にはとても大きな意味があった。自分が作っている基本的なイタリアンが実際に基本的なイタリアンたりえるのかということの確認であり再確認。
このタイミングでナポリに行き、ナポリピッツァを食べた衝撃と衝動はかなり大きなもので、日本でナポリピッツァの店に行ったことがなかったのも良かったのかもしれない、そこから常にピッツァをやりたいという気持ちは絶えることがなかった。
そして帰国してからほどなくしてBRASS MONKEYを移転させるという新たなアイデアに行き着く。
15席程のお店から倍の30席程のお店にしようという計画がスタート。タイミングよく同じビルの3階にそれにちょうど良いテナントがあったのも運が良かった。ビルのオーナーが物置にしていた場所で、潰れたテナントの残していった残骸や錆びた自転車の転がっている廃墟のような状態。
ゴミの撤去も掃除も美装関係も自分ですることを条件に交渉した結果、2階と同じテナント料で借りられることになったのはラッキーというか、交渉力の勝利。
一転びで二回転したからね、一起きついでに飛び跳ねるのさ。