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【七転び八起きの三起き目①】

【七転び八起き】マガジン

 メニューも一新して店内も改装してワインセラーも購入して業者が持ってきたスペインワインのサンプルを何杯も何本も酔っ払うまで飲んで服装も変えて高級食材も色々と仕入れてみたりして、ELECTRIC SHEEPは生まれ変わった。改装の資金をお店で知り合ったフラメンコ教室とのコラボで行った『スパニッシュナイト』というイベントである程度工面できたのも運が良かった。

 客層はガラッと変わり、ある程度の年齢層の人たちがゆっくりワインと料理を楽しむような雰囲気のお店に。
 もともと狭いお店なのでその方が営業していて効率も良かった。BRASS MONKEYの頃に偶然が重なって入りきれないほどのお客さんを集めていたせいで勘違いしていたけど、こういうサイズのお店は本来そういうスタイルこそ正当で正解だ。

 ある程度、お店としてやっていく基盤が出来た頃には経営的にも独立してやることができたし、思い切って突然バルセロナに行ってみたのは成功だったんじゃないかなと思う。

 一方、BRASS MONKEYは社員を雇うためにランチを開始してすぐに社員が辞めてランチを止めたり、細かな迷走を繰り返してはいたけど、売上げはある程度をキープし続けていたから大きくコケるようなことはなかった。
 25名前後で貸し切れる手軽さが武器になって、会社の飲み会や結婚式の二次会なんかも多く入っていたからね。2店舗でそれぞれ真逆に向かっている感じもまた差別化されていて悪くはなかったと思う。
 常連客も増えてはいた。ただ、移転前のような空気感ではなく、あくまでお客さんとしての常連さん。移転前の1つのコミュニティ的な強い結び目ではなく、引いたら解ける緩い結び目。

 あの頃の無敵感が懐かしいけど、今思うとただのハリボテだったのかもしれない。

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