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どこまでこだわる?漢字テストの丸付け

こんにちは。雪解けが始まりました。実はこの時期の雪国の道路が一番走りづらいのです。
シャーベット状になった雪にはタイヤが絡まず空回り。
何度も雪にはまる羽目に。
でも、そんな時に近所の方の手助けにありがたみを感じます。
特別支援学級で教員12年目のMr.チキンです。
今日は漢字テストの丸付けについてお話しします。

「とめ」「はね」「はらい」について

では、突然ですが問題です。
どちらが正しいか、理由も含めて答えてください。
第1問

第2問

第3問

いかがでしょうか。それぞれ

ここの部分が気になったかと思います。
そうです。「とめ」「はね」「はらい」という漢字指導の3大要素です。
ここから外れると、漢字テストで無慈悲なバツをいただくわけです。

では、3問の正解は…
A・Bともに正解!・・・というのが文化庁の見解です。
え?じゃぁ、学校で指導されてきたものは何だったの?

文化庁「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」

文化庁は、平成28年に「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」と言うものを出しています。

その中で「現在生じている問題」として、

このようなことを記しています。
つまり、手書き漢字の表現は、本来許容範囲の広いものであるが、ごく限られたもののみが正しいという認識が広がっているという問題です。
これらの問題に関して、文化庁は

このような指針を出しています。
つまり、字の細部が異なっていても、骨組みが同じであればOKということです。
つまり、国語で「とめ」「はね」「はらい」の違いでバツがついていた場合、漢字の骨組みがどうかということに着目すべきだということです。骨組みが間違えていなければ、過剰指導ということになります。

それぐらい良いじゃん・・・では済まされない問題

過剰指導・・・というと、言いすぎな気もします。
「とめ・はね・はらい」をしっかり指導したって良いじゃない。
きれいな字形になるのだから、しっかりと指導して間違いはないでしょう?
という考え方もあるかもしれません。
でも、書字LDの方や知的に遅れのある方などにとっては死活問題です。
本来は指導すべきではないポイントで指導されることで、自己肯定感が下がっていってしまう。
教員はそういう恐れがあることを認識しなくてはいけません。

なぜ、この問題について熱く語るのか

実は、Mr.チキンは字が汚いのにも関わらず、高校書道の教員免許一種をもっています。
大学時代、書道の授業を受けていると、特別支援教育コースの教授が、書道の教授と何やら話をしていました
耳をそばだてて聞いていると、

小学校国語の学習指導要領上で、書き順というものが指導の要点として挙げられているか教えてほしい

とのことでした。
学生だった私は、「え?なんでそんなこと話題にするのだろう?」と思い、教授に聞きました。すると

学習指導要領に書かれているかどうかは非常に重要で、書かれていない内容ならば、本来指導しなくて良いことなんだ。本来指導しなくて良いならば、苦手な子にとっては一つ苦しむことが少なくなる。だから重要なんだよ。」

と言って走り去っていきました(ご多用な先生でした。)。
特別支援教育コーディネーターも務めるようになった今、その教授の言葉の意味がとても重く感じられます。

国語の学習の中で指導すべき「とめ・はね・はらい」について

では、国語の学習の中で、「とめ・はね・はらい」を教えなくて良いのでしょうか。それは違います。
国語学習指導要領解説内の「書写」の項目の中には、丁寧に書くための技法として、「とめ・はね・はらい」の指導のことが書かれています。
つまり、「書写」の中ではしっかりと指導すべき事柄なのです。
※ちなみに、学習指導要領上で筆順について調べると、やはりそれも書写の項目内での指導事項でした。書写の範囲の捉え方にもよりますが、筆順について漢字テストで指摘するのも、過剰指導のうちのひとつと言えます。

漢字テストは子どもの自己肯定感にダイレクトに影響する

漢字テストは数十年続く我が国の教育文化といっても良いでしょう。
良い悪いは別として、その結果に一喜一憂する児童生徒は今も昔もいるわけです。
一喜一憂どころではありません。子どもたちは学校と言う狭い世界で生きていて、中にはその評価がすべてと捉える子どももいます。
漢字テストを廃止せよ!とはもちろん言いません。
ただ、学習指導要領をよく読み、指導の方針は正しいのかということを逐一チェックしていく責務が、教員にはあるのではないでしょうか。
では、またね~

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