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風花 朋(Kazahana Tomo)
2021年7月24日 15:29
あっけない幕切れ。たったひとつの言葉を放ったその瞬間、きみと僕は永遠の他人に戻る。きみの気持ちの大きさに、軟弱な僕の心は怯んでしまった。たとえ離れても、なんとなく連絡を取り合うような関係でありたいとどこか甘えた考えをしていた僕の心を見透かしたみたいに、気付けばきみは、いつの間にかすべての連絡先を変えて、正真正銘、本当に僕の前から消えていなくなってしまっていた。あんなにも僕のことが好きで、
2021年7月17日 15:40
扇風機の風でなびく髪の毛を、頭の両側から挟み込むようにクシャっと掴んで離してみる。ふわりとトリートメントのいい香りがする。部屋のなかから眺めるベランダは、刺すような強くまぶしい日差しに照らされて、そこだけ白く浮いたように見える。そのベランダの光が反射して、ほのかに部屋のなかは明るい。しかし明るすぎることはなく、心地のよいほの暗さも残っていた。なんとなく流しているテレビから、まるでBGMのよ
2021年7月11日 11:57
煌めく水の流れ、滲むネオン。昼間の熱がこもったままのアスファルト。顔にまとわりつく、蒸せかえるような草いきれ。息を大きくひとつ、吸いこんだ。それは紛れもなく、夏の夜の匂い。夏の夜の、すべてが可能になるようなワクワク感が好きだ。大人になった今だって、ずっとそう感じている。その瞬間は永遠。ずっとこの夜のなかに閉じこもって、その美しさに酔いしれていたい。無限のループ。どこか懐かしさを感じるような
2021年7月4日 14:59
いつものお店でお昼を食べる。顔馴染みの店員さんたちとの他愛もない会話。食事を終え、図書館に寄り、その後軽く買い物もすませ歩いて帰る道の途中、真ん中に大きな池をたたえた公園の横を通り過ぎようとして、何とはなしに、その池のほとりをぐるりと一回りしてみることにした。初夏の蒸し暑さのなか、木々の緑は日に日にその色の濃さを増してゆく。穏やかにたゆたう水面を噴水のしぶきが細かく揺らしている。そこへ太陽の光