至福のとき
扇風機の風でなびく髪の毛を、頭の両側から挟み込むようにクシャっと掴んで離してみる。ふわりとトリートメントのいい香りがする。
部屋のなかから眺めるベランダは、刺すような強くまぶしい日差しに照らされて、そこだけ白く浮いたように見える。そのベランダの光が反射して、ほのかに部屋のなかは明るい。しかし明るすぎることはなく、心地のよいほの暗さも残っていた。
なんとなく流しているテレビから、まるでBGMのように笑い声が聞こえてくる。なんの気負いもなく、ただダラダラとソファーに座りながら見るテレビ。格好も寝巻きのままだ。
頭のなかでは、これから何をしようかと考えている。いつもは我慢しているお菓子を大量に食べてしまおうか、そしてそのお菓子を食べながら録画しておいた海外ドラマでも見ようか。時間はまだまだたくさんある。何をするのも私の自由だ。
そんな風に過ごす休日。それは至福のとき。至福とは、思いのほか身近にあるものらしい。
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