杜子春 大阪のコンビニにて
コンビニのレジ前に列が出来たのは
先頭の客が食べ物だの日用品だのをカゴいっぱいに買っていたからだ。
わたしは列に並ぶのが好きじゃない。
元来のイラチ、あ、大阪弁で言うせっかちとか気短だ。
「コンビニでそんなめっちゃ買うのん、めっちゃ〝貴族〟やん」
穏やかではない気分になってしまう。
わたしの前に並んでいたのはお年を召した方だった。
しずかに順番を待って自分の番になると笑いながら店員に言った。
「焦らんでええで(笑)」
それでも店員さんはやっぱり焦る。そりゃそうだ。
ジイサンはさらに笑いながら言った。
「急がんと罰金なるんか? かめへんかめへん(笑)」
文字で書くと嫌味みたいにみえるかもしれない。
全然そうじゃない。
その冗談、
つまらないかもしれない面白くはないかもしれない
「大阪のおっさん(じいさん)」の一言で店員さんの顔が和んだ。
空気もわたしの気持ちもだ。
あいつは峨眉山から来た仙人だったんじゃないか。
を、数日後、読んでいた本に、ふと思い出したのだった。
「「みんな違ってみんないい」社会は、
みんな違ってオッケーなだけに揉める。
分断と多様性はセットなのである。
あっちを立てればこっちが立たない
「ほなどないせえゆうね」な現実の中で、
もはや多様性とは、
ああだこうだと思考し論じておけば済む段階では
なく、
とにかくなんとか折り合いをつけなければ
物事が回らない、
ハードな実践フェーズに入っている」
帯には書かれていた。
「果たしてこれでいいのか、と誰もが思っている。
ではどうすればいいのか、と共に思考する一冊」
やっぱり鉄冠子だったんじゃないか。
違うけど(笑)
◆◆
【略歴や自己紹介など】
構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。
普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。
劇場が好き。人間に興味が尽きません。
舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。
某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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