![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128481749/rectangle_large_type_2_4935706be21ae60664556ddadc7f88a0.jpeg?width=1200)
【漬物レシピ】四季漬物鹽嘉言(4) 塩漬け他
![](https://assets.st-note.com/img/1705580373704-fJFjkgb46D.jpg?width=1200)
瓜むいて 雷ぼしを するからに
かけたる時は 稲妻のなり
江英樓 如泉
夕立や 干瓜の身を 捨小舟
作者不知
![](https://assets.st-note.com/img/1705580740362-6U3zvmQwIV.jpg?width=1200)
雷干瓜
まるづけ瓜の中実をぬき、永くむきて、一夜塩押して、翌日 日にほすなり。其座にむけて、塩をふりて、干事もあれど、それは当座喰の料なり。
一夜おしてほせば、ちぎれもせず、永くつながりて、瓜一ツが一筋になりて、能 干あげて、一筋づゝ結びおくべし。久しく囲い置には、白瓜を 上品とす。丸づけよりは、皮もやわらかく、漬りやうもはやし。
茄子塩壓漬
茄子、色よくつけんと思はゞ、塩《しほ》に|川の砂まぜて漬れば 艶よくつくものなり。又、明礬 をすこし入れてもよし。皆、当座喰の料なり。久しくかこひ置には、塩沢山入て、壓を強くかくれば、永くもの物なり。
又、沢庵漬の中へつけ込 茄子は、一度塩押してよく水をあげたる時、塩水をこぼし捨て、一日ほしてふたゝび塩をして、壓を強くかけて、あげたる二度めの水をこぼさぬやうにしてたくわへ置時は、いつまでも持なり。此 塩押 茄子を 百一漬 につけるなり。
※ 「中実」は、中央、中心のこと。中子。
![](https://assets.st-note.com/img/1705580813514-lG2gaIjFhu.jpg?width=1200)
紫蘇漬
しその実、余り実がいりすぎれば 取あつかふに実がこぼねて、臺ばかりになる物なれば、すこし前かたに取べし。扨、しその穂をはさみて後、塩水を拵へ とくと洗ふべし。ちいさき実の中に至て、こまかき虫ありて、心 わるき物なり。塩水にて洗へば、彼 虫 去て清し。其 上にて、たゞの水にて洗ひ、よく水をきりてより漬込べし(ちりめんしそは、匂ひよけれ共、実べた/\としてかたちよろしからず。青しその実は そのまゝなれども匂ひなし)。
梅花漬
梅干の実をさり、肉ばかりすきとりて、擂鉢にてとくと摺て、平たき器にのべ、梅花の臺をみじかく切て、梅肉に●ならべ、蓋をして、目張して たくわふべし。いつまでも薫うせる事なし。
櫻漬
さくら中開の枝を切、花ばかりつみて、塩三升に 水三升を入て𤋎じ、一夜さまして、花とひた/\に漬て、軽く押をかける。近頃は 所により出れど、隅田川の桜を名物とす。
菊漬
黄菊の花ばかり摘取て、是も煮ざまし、塩にて漬押てわくわふ。塩出して、菊味にするに、生の菊にかわる事なし。香ふかし。
※ 「臺」は、ここでは 植物の萼のこと。
※ 「中開」は、半開きのこと。ちゅうびらき。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326128178-XgC3ErP3VJ.jpg?width=1200)
塩山椒
山椒の実ばかり取て、少しばかり塩をふりて押をかけ、塩水あがりたらば、四五日たちて、其 水をしぼり捨てほして たくわふべし。
辛皮
山椒の木の若き枝を切、水にしばらく浸し置て、木と皮の 放る比、きざみて 塩水に漬て、かこひ遣ふ時に塩出して 包丁す。
刀豆粕漬
なたまめは、生にてしばらく湯に浸し置、塩を少しばかりふりて、十日余り押て、水にて洗ひ、半日ばかり干て、粕に漬るなり。一年余もたゝねば、つきかぬる物なり。
守口大根粕漬
是も、大根に湯をくゞらせ、一日 ひにかわかし、粕に塩を少しまぜて漬て、●●● 押をおく(守口大根とはだなと干大根にするものは別種なり。混ずべからず)。
※ 「はだな」は、はだな大根のこと。秦野大根が変化した言葉。守口大根によく似た大根の栽培品種。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326128171-LBcaQrsasL.jpg?width=1200)
獨活味噌漬
山うどを 二三日陰干にして、ぐな/\するやうにして、三年味噌につ●る。百日 ばかりにて 風味よし。
冬瓜味噌漬
冬瓜を 皮ともにたち、中実を深くすきとりて、一塩してかるく押をかけて、一夜水をとり、布巾にて 水気を拭ひ、皮をむきて、直に味噌に漬るなり。味噌に水溜りたらば、又、みそをとりかへて、外のみそに漬る。かくすること 二三度におよべば、水も出なくなるを度とするなり。さすれば、いつまでたくわへおくとも 味 かわる事なし。水の出る中 ゆだんすべからず。又、金冬瓜といふ 一種も、かくして漬おけども度ゝ手がけざれば、久しくは 畜がたし。
花丸瓜粕漬
花まる瓜は、生にて直に粕に漬るなり。すべて 生のまゝ粕に漬る物には、二重底に桶を 拵へ、下に 糠をいれ、水をおとすやうにせぬときは 粕のかわるものなり。糸瓜なども 右の通にして、粕につけるなり。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326128224-WKb92tsCQW.jpg?width=1200)
西瓜粕漬
西瓜の花落、若きうちに取て 丸のまゝ粕につけるなり。是も花丸漬の仕法にしてつけるなり。紀州若山より出るを名物とす。
初夢漬
花落茄子の 蔕を切まわして、甘く塩押にして、芥子をかき、醤油にてゆるめ、少し白砂糖を入て、塩梅して 茄子を漬るなり。日数多くは、持がたき品なり。
鼈甲漬
糠味噌漬の故き茄子を丸にて塩出してよくしぼりて、包丁し、味醂、酒をたくさんにかけて漬しおくこと三十日ばかり。茄子すきとをるほども?やけて、奈良漬の茄子にまさることとをし。
麹漬
醴麹 三枚に、味淋酒一升をかけてねかし置、干瓜に塩押茄子、干大根などを 刻こみ、紫蘇の実、生姜、とうがらしをもすこしづゝくわへ、能 つきたる時に、賞歓 すべし。これ漬物の 醍醐味ともいふべし。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326128124-DEA57KApPo.jpg?width=1200)
百味加薬漬
生姜、茗荷茸、蓼、紫蘇、青柚、山椒、大小の 蕃椒、右の類、何品にかぎらず、塩押にしてわくわふべし。生の品ありあわぬ時は、ち●●●と塩出して間にあはせることまゝ多し。料理 心ある者は、必ずたしなふべき事なり。俗に、ゑの実とうがらしといふ まるきをも漬込べし。
巻漬
ふとき大根、木口より薄くはやし、よく干てたくわへ置、塩蓼、生姜をほそ引、きり/\とまき、輪とうがらしを 帯にして三杯酢に漬おく。
阿茶蘭漬
ほし大根を一寸斗りに切、立に四ツ割にきざみ、みづから昆布、生姜、茗荷、塩押茄子、つと麩、小梅干等を加へて、酒、醤油にて、酸は 梅の酸を用ひて、当座漬につける。尤、きくらげ、とうがらしを入べし。又、蓮根、獨活、新牛蒡、時ゝの品を加へるも可なり。
菜豆青漬
夏の土用中に 隠元さゝげをとりて、豆腐のからの水気をよく絞りとり、塩と等分にまぜて、右のゐんげんを 押漬につけて、動さずして畜ふ。冬のうちより春へかけて、塩出して 銅鍋にて湯でれば、其 色生のごとし。さのみ 風味もかわる事なし。
※ 「ありあわぬ」は、有り合わぬ。有合は、ありあわせること、たまたまその場にあるもの。
※ 「ゑの実」は、榎の実。秋に黄赤色に熟す小球果で、甘くて食べられるそうです。
※ 「つと麩」は、生麩のこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326128260-Z2VfhYRcBQ.jpg?width=1200)
蕗水漬
水蕗、生にて皮をむき、葉 斗を擂鉢に入、塩にてもみ、青き汁をとり、蕗は塩にて漬こみ、右 葉の青汁を入て、押を置なり。遣う節、塩出して、煮物に入るれば、生のふきに異ならず。
漬蕨
わらびの和かき所ばかりをゑらみて、塩に灰を合せて漬るなり。遣ふ 四五日前より よびあくを入て 水に浸しおき、熱湯をかけて包丁す。
山葵粕漬
わさびを短冊にうちて、塩にて押、翌日 水を切りて粕につけ、壺に詰て、目ばりをしてたくわふ。
■《らつきやう》 三杯漬 [■=歹+韮]
らつきやう一斗、塩二升、生姜の葉 大分入れて、塩おしにして、壓をかけて水十分にあがり、三十日ほど立て、其水をこぼし、しばらく水をかわかして、砂糖蜜に漬る。是も 三十日すぐればよし。右の酸味は 持まへの酸味なれど、若 酸味薄き時は、酢少ゝ入るもよし。
※ 「ゑらみて」は、選みて。選びて。
※ 「目ばり」は、風などが入らないように、物のすきまに紙などをはってふさぐこと。目張り。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326158792-WWos1180IT.jpg?width=1200)
三ツ葉 溜漬
みつばぜりの白き所ばかりそろへて、竹の皮をほそくさきてゆわひ、根と葉を去、水気をとくとかわかして、味噌の 溜をすいのうにてこして、其中へつけるなり。二夜ばかりにて 漬加減なり。
葉附小大根三杯漬
小だいこん、尤 ちいさきを拵へ、茎一寸ばかり残しおき、葉先をきり、一時ほど日にあてゝ、直に 三杯酢に漬るなり。是を 吉原の放言には、洗ひ髪といふ。
土筆粕漬
つくしの穂ばかりをとり、能 洗ひ、水を切て、直に粕につける。遣ふ時、粕をあらひ、花がつほなどかけて、猪口に遣ふ。風味 至てよし。
家多良漬
ひしほの塩をからめにつくりおき、瓜、茄子、とうがらしなどを刻み込、漬るなり。沢庵大根の味 少しかわりたるにても、苦しからず。段々 切てつけ込也。紫蘇の実、生姜もよし。瓜、茄子、甘塩に押て、水をきりて漬るはことさらよし。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326188773-eTTWcrWLph.jpg?width=1200)
精舎納豆漬
納豆には、瓜、茄子、丸にて一塩押て、水気をとりて漬込がよし。一日ほしてつければ、味格別なれど、急にはつきがたし。是とても、生姜、とうがらし、辛皮など入るもあらば、時の宜しきに従ふべし。
枝豆塩漬
ゑだ豆のさやの青きをゑらびもぎて、湯をくゞらせ、中塩にして、焼明礬を少し加へ、かるく押をしてたくわへ置、遣ふ時、一夜塩出してゆでれば、さやも青くして生の枝豆のごとし。
塩松茸
尋常の塩松茸は、塩水にてゆでさまして、其 塩水にて樽詰にするゆへ、匂ひもなく味もなし。珎客をもてなすには、是に異なり、松茸のかさのつぼみばかりを撰み、蒸篭に入れ、青松葉をたきてむし、とくとさまし、松脂を細末にして六十匁、塩二升にまぜて、松茸一〆目余を漬置なり。常の如く、塩出して遣ふに 風味も殊更よく、匂ひも生にかわることなし。又、初だけ、松露もかくのごとくして漬置ば、風味よし
※ 「珎客」は、珍客。珍しい客、思いがけない客。
※ 「初だけ」は、ハツタケ(ベニタケ目 ベニタケ科のきのこ)。初茸。
※ 「松露」は、ショウロ(イグチ目ショウロ科のきのこ)。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326188733-p8EYkXdkQg.jpg?width=1200)
漬昆布
松前昆布を撰び、一夜水にひたし置、よく砂を洗ひ、日に 乾して 溜がちなる味噌に漬るなり。又、粕にすけるも同じ事なり。昆布の 両方のふちをたち切、正味の所ばかり手頃に包丁して、重ねて漬るなり。
糸瓜糟漬
糸瓜の花落 二寸位の所をとり、粕に食加減の塩をまぜて漬るなり。尤、押蓋しつかりとして、水あがりたらば、桶をかしげてこぼすべし。是、へちまの塩水なり。水気なきやうにして畜ふべし。又、余蒔胡瓜もかくの如くして漬置べし。
胡蘿蔔味噌漬
にんじんのあとさきを切、五六日 風のすく所へ置、甘塩にして漬るなり。三四十日たちて、一日日にほして、みそにつけ更るなり。又、粕漬にするには、塩をからめにして漬るなり。
※ 「余蒔」は、遅蒔きのこと、または、種子を採取した年のうちに蒔くこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326188705-4RINYpPceK.jpg?width=1200)
十六さゝげ粕漬
さゝげの余り実のいりすぎぬうちにとりて、生のまゝ粕に漬るなり。眉児豆などは、殊更さやばかりの内に漬込なり。上に 水出たらばしたみとるべし。
天王寺蕪
蕪の茎一寸斗り附て、甘塩に押つよくかけて漬置、さて天気よき日 一日かはかして、味噌にも漬、粕にも漬かへるなり。何れ百日余も経ざれば漬がたし。
梨粕漬
あはゆきの無疵なるをゑらび、梨と棃とあたり合ぬやうに、粕 沢山にして漬るなり。
柿粕漬
はちやといへる細長き柿の青きうちにとりて、粕につけるなり。自然と渋ぬけて甘からず。甚 よき風味なり。会席 の香の物に附合す。
柚青漬
柚の実のいらざる青きうちにとりて、かんてんをながして、灰のあくを附て、きなこ団子のごとくして、つぼに入れ、めばりをしてたくわふべし。遣ふ時、ぬるま湯にてあらひおとせば、にほひもうせず。いろもかはらず、もぎたてのごとし。
※ 「したみ」は、湑み/釃み。しずくを垂らすこと。
※ 「あはゆき」は、淡雪。江戸時代から明治時代にかけて全国で栽培されていた梨の品種。
※ 「はちや」は、蜂屋。美濃の蜂屋で作られてきた渋柿の品種。
![](https://assets.st-note.com/img/1705326188759-M7TxrlkzOe.jpg?width=1200)
金柑塩漬
金柑 余り熟さぬうち、水と塩を等分にせんじ、一夜さまして器に入、きんかんとひた/\にしてかぜのいらぬやう 目ばりをしてかこふべし。遣ふ毎に、うは水をこぼしてひた/\にしておくべし。いつまでももつものなり。
笋塩漬
竹の子の皮をむきて、沢庵大根のごとく一かわづゝ並べて、塩をふりて、中塩にして、かろき押をかけて漬るなり。尤、とうがらしを少し入置べし。
『四季漬物鹽嘉言』📝
(1) 沢庵漬など (2) ぬか漬け 奈良漬けなど (3) 梅干しなど (4) 塩漬け他
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖