ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年)【映画感想もパリに行こうかどうか迷った。まずはグーグルマップ旅行で70分間行ってみた】
最近の映画です。
NG画像集ではフェイスプレートを付けていた撮影スタッフがいたので、完全にコロナ中に撮影していますね。すごい。
おおまかなあらすじ。
時は1957年。
ロンドンで派遣掃除人をしているアラウンド60の女性が主人公。
イギリスは階級社会でして、当然ながら労働者階級の世界です。
旦那は戦争から帰ってこず、最近になってようやく死亡通知が届く。
つつましい性格で、毎日まじめに働き、
友達と一緒にパブで飲んでも、軍人遺族会でダンスを踊っても、
もう出会いがある年齢でもないし、夢見る歳でもない。
透明人間だと自分で言うくらい。
しかし顧客の金持ちの家を掃除していたら、
500万ポンドのディオールのドレスが。
これに目を奪われる主人公。
(主人公が夢見る場面は非常にファンタスティックな演出です)
いくつになっても、美しい服は、輝いて見える。
これまで貯めたお金や、
一発儲けで(一度は失敗して吹っ飛ばしてしまうも)
手に入れてきたお金をすべてまとめて、
パリへ行って、オートクチュールの超高いドレスを買おう!
もちろんディオールで!
ここで少し、クリスチャン・ディオールの紹介をば。
ディオールは、第二次大戦後、パリでスタートしたメゾンの大手です。
人物名がそのまま店と会社の名前ですね。
戦後1946年、いきなり華やかな女性向け服装8ラインを発表したことで、戦後のきらびやかな未来を見せて、物議をかもした人ですが。
(焼け跡日本でもニュースになったくらい)
御大は、戦時中はナチスの収容所にいたり、
戦後も突然に早逝してしまうなど、
個人的にはあまり恵まれない人生でしたけども、
アパレルの歴史では黄金の文字で書かれている大人物です。
ファッション史の本を買うと、
簡単なシルエットが載っていることが多いのですが、
ディオールはシンプルで装飾控えめで、
根本的なシルエットデザインの革命を狙う方向性の人だったと分かります。
主要な作品はAライン、Hライン、
スピンドルライン、チューリップライン、
Sライン、トロンプ・ルイユ、スパイラル・スカート、
バレルライン、オーバルライン、
エトセトラ・・・・
この時代のデザインは、
絵が下手な人でも一筆書きで描けるような、
シンプルなデザイン。
ちょうどスティーブジョブズが好んだような、
余計なものがついてない本質的デザインが多いです。
こういうのなんて言うんだっけ?ミニマリズム?
紹介する映画の作中にも
オードリー・ヘプバーンそっくりのモデルさんが出てきますが、
いわゆるひとつの、あの時代なのです。
映画の舞台と同じ57年に早逝しますが、
そのあとを継いだのが若き天才、イブ・サンローランだったりするのです。
まあ、サンローランは徴兵を契機にディオールを去ってしまうのですが。
そのサンローランが引退したのがつい20年前くらいですから。
作中でも若いおにーさんが大出世するシーンが出てきます。
これサンローランが元ネタやろ! メガネだし!
ディオールは、
アパレルの歴史を牽引してきた大ブランドのひとつなのです。
私も、もらいものでよければ、
スーツの上着だけもってます。下は破けました。
父の親友から父経由でもらった、バブル時代風のスーツ。
あの舘ひろしとかが「あぶない刑事」で着てたようなやつ。
古いですね。
これを着て外に出ると時代遅れ感があって恥ずかしいらしいですよ。
ボタンにCDとついてたので、それがわかりますね。
蛾に食われてなければまだあります(笑)
私は通勤時の消耗品として使っていましたけど。
(恥ずかしいという概念がわからないタイプ)
まあ、良い服は着続けてダメにしたいと思う派なんです。
陶芸家の器に対するアレ的な感じで。
****
さて、話を戻して・・・
めでたくパリに赴いたハリス夫人ですが、前途多難です。
まず、オートクチュールとは、
大金持ちや貴族の方々が招待を受けた上で行く店。
庶民の彼女は最初から入れてもらえなさそうです。
しかし、ここでとある紳士が、
「よろしければマダム、私のゲストとして一緒に見ませんか?」
と助け船。
しかし、いちばん欲しい服は、
ハリス夫人を見下してくる成金の女性に買い上げられてしまいました。
まあ2番目に気に入った服を注文。
しかし、オートクチュールとは、
提示されたデザインを元に、一点もので作るオーダーメイド。
寸法、仮縫いなどで、早くとも2週間はかかる代物。
この辺は王様の仕立て屋でも同じでしたね。
というわけでハリス夫人は、2週間のパリ滞在をしなければなりません。
老いてなお、夢見る力では誰よりも若々しいハリス夫人は、
出会った人すべてに春の嵐を巻き起こします。
オードリーそっくりのモデルさんにも。
サンローランがモデルの若き会計士さんにも。
それからブランドの元締め秘書さんも。
という感じで高齢化社会の先進国女性を主要なターゲットとして、
そこに投げ込んだ剛速球の映画。
もちろん高年齢の女性以外が見ても楽しめる作品でした。
家族映画にも良いかもね。
原作小説もありますが、そちらは未読です。
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