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記憶の中にだけある味
神吉拓郎の傑作選2を読んでいたら、美味しいごはんの話の中に祖母が作ってくれたご飯のことを書いたものがあった。こどもの頃はハイカラなものが好きだったけど、年をとって思い出されるのは祖母が作ってくれた五目すしだった、というようなお話。
それは確かにそうなのかもしれない。自分の中で思い出されるのは、祖母が作ってくれた赤飯の味。遊びに行くとなると、前の日から小豆を煮て手間も時間もかけて用意してくれて
実りの無い文章=「その人ただひとりの中にある文章」
荒川洋治の『文学は実学である』は、買っておいて何なのだけど、第一印象はそんなに良くなかった。実学?というのが、役に立つもの、という感じがして、文学は実学なのか? 実学である必要があるのか? そんなにわかりやすく役になんか立たなくていいじゃないか、と思っている自分としては、むむむ、という感じだったのだろう。
ところが読んでみると、微塵もそんなことはない。
実りのない文章だ。まったく実りのな
道ならぬ恋と昔々の口説き文句
『三銃士』を読んでいたら、優男がお妃さまを口説くシーンがあったのだけど、この辺の時代の男性の口説き方ってストレートで、完全に押しまくるスタイルが多い。もう駆け引きとかではなく、何を言われても、めげないで口説く。いや、その何を言われても押しまくる様式こそが駆け引きでもあるのだけど、完全に好き好き大好き超愛してるモード。
あー言えば、こういう、みたいなことばの遊戯のようなやりとりにはある種の予定
ピエール・フルニエのCDに使われたマティスを追いかける
読書のBGMにクラシックを流していたら、ピエール・フルニエのバッハ『無伴奏チェロ組曲』が流れてきて、思わずそちらに意識を持っていかれた。
PCに読み込み、iTunesでランダムに再生されるので、いつも流れてくる曲には新鮮な驚きがあるのだけど、数年ぶりに聴いたフルニエの音には新鮮な揺らぎがあって、ちょっと演歌のような?貯めがあって、聴き惚れてしまった。
たまさか読んでいた本が堀江敏幸初の音