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自閉症(発達障害)の理解

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自閉症(発達障害)について勉強した色々な知識を共有します。 お子さんのことで困ってる方、これから支援者になる方、学校の先生、参考になればと思います。
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記事一覧

ABA(応用行動分析)について⑦トークン(ご褒美)システム

今回は、「トークンシステム」について紹介したいと思います。

行動がなぜ起こるのか、また起こらないのかについては、行動分析の基本原則に基づいて考えます。

ある行動が続くのは、その行動に対してポジティブな結果が得られるからです。
逆に、ポジティブな結果が得られない場合、行動は減少する傾向にあります。

まず、先行刺激と文脈が行動に影響を与えます。
学校での例を挙げると、授業中に立ち歩く行動は通常否

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ABA(応用行動分析)について⑥コミュニケーション

今回はコミュニケーションについてのお話です。

コミュニケーションについては、それが行動の一種であることを理解することが重要です。

コミュニケーションは、話し手と聞き手の間で行われる社会的な相互作用です。

例えば、子どもがおもちゃを自分で取る行動はコミュニケーションではなく、お父さんに頼んで取ってもらう行動はコミュニケーションです。

行動分析では、このような社会的相互作用を言語行動として捉え

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ABA(応用行動分析)について⑤プロンプト(指示)

今回は課題分析とプロンプト指導について話します。具体的には、行動分析に基づいた効果的な教え方、以前の「先行刺激」と「弁別刺激」に関する内容について説明します。

トークンシステムに関しても触れますが、より詳しい説明はまた行います。今回の流れは、まず標的となる行動を決め、その強化方法について学びます。

行動改善のためには仮説立て、実践し、その結果をグラフ化して分析します。
目標とする行動変容が見ら

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ABA(応用行動分析)について④ABCモデルについて

今回は、行動問題を解決するためのABCモデルについてお話ししましょう。

このモデルは、行動問題の背景を深く理解し、それに基づいた対策を練ることを目的としています。

まず、行動問題を探るためには、ABCモデルを用います。
応用行動分析(ABA)では、このモデルに沿って進めます。
目標行動(改善したい行動)を明確にし、その根底にある原因を探ります。評価から仮説を立て、どのように改善するかを考えます

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ABA(応用行動分析)について③記録について

今回は、行動記録の重要性について話したいと思います。

多くの方が行動記録を煩わしいと感じるかもしれませんが、行動記録を通じてどのような点を重視しているのか、どのような意味があるのかを理解することが大切です。
記録を取ることで、私たちの行動がどのように変化しているかを把握できます。

まず、行動の記録について話します。
記録を取ることで、その行動がなぜ起こるのかについての仮説を立てることができます

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ABA(応用行動分析)について②理論について

今日は理論に関する話で、応用できる内容もお話ししたいと思います。

行動が変化したり、新しい行動が起こることを学習と言います。

行動には2種類あり、レスポンデント行動とオペラント行動があります。

レスポンデント行動とは、刺激を受けて自然に反応することで、パブロフの犬の実験で知られる唾液分泌や汗が出ること、または感情などを指します。

オペラント行動は、私たちが積極的に環境に働きかける行動です。

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ABA(応用行動分析)について①概要

応用行動分析についてですが、これは発達障害の方の支援に有効な実践的な理論です。

行動分析学とは、20世紀に活躍したB.F. スキナーという心理学者によって始められたものです。

彼は、オペラントコンディショニングという学習理論を提唱しました。
1930年代には学問として確立され、多くの支持者と共に発展してきました。

最初はネズミや鳩を用いた実験を通じて、行動の法則を明らかにし、それを人間の行動

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自閉症(発達障害)の理解⑥

今回は、行動への支援についてお話しします。

これまでは、子どもたちにわかりやすく伝える方法やコミュニケーションの育成について考察してきました。
今回は、ご家族が直面する子どもの問題行動への対処方法について、問題解決の視点で掘り下げていきます。
まず、子どもたちの行動を整理し、好ましい行動や改善が必要な行動を明確にすることの重要性を③の記事でお話しました。 ここで大切なのは、子どもたちのポジティブ

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自閉症(発達障害)の理解⑤

前回は子どもに分かりやすく伝える方法についてお話しました。
今回は子どもからの発信をどのように育てていくかに焦点を当てます。

特に自閉症スペクトラム症の子どもたちは、「英語の何が難しいのか」といった抽象的な質問に対して答えることが難しい場合があります。
彼らが自己の感情や考えを外に表現するために、どのようなサポートが必要かを考えます。

コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられます。

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自閉症(発達障害)の理解④

今回のテーマは「子どもに伝えること」に焦点を当てます。
この「子どもに伝える」という行為の目標を整理していきます。

まず最初の目標は、メッセージをそのままの意味で伝える方法を考えることです。特に自閉症の子どもたちは、相手の意図を文字通りに受け取ることが得意ですが、言葉に含まれるニュアンスを読み取るのは苦手なことがあります。

例えば、子どもがおもちゃをたくさん広げた時、「あら、いっぱい遊んで」と

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自閉症(発達障害)の理解③

これまでに2回にわたって取り上げてきたのは、発達障害や自閉症についての理解を深め、それらの子どもたちがどのように感じ、学ぶのかについての話でした。

今回は、自閉症の支援を学ぶ人たちを対象としたものではなく、自閉症の子どもを育てているご家族向けのものです。
今回の目的は、ご自身の子どもとの関わり方を学び、我が子をより深く理解することです。

親として自閉症について学ぶことは重要ですが、その学びの先

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自閉症(発達障害)の理解②

前回もお話ししましたが、自閉症は単なる社会面の障害ではなく、脳機能の障害です。
脳機能の障害により、障害のない子どもと同じ環境にいても情報の受け止め方が異なります。

たとえば、指し示す動作をしたとき、定型発達の子どもは指の先の対象物を注視しますが、自閉症の子どもの中には、指の先端そのものをじっと見つめる子どもがいます。
このため、同じ場での保育や教育でも、見ているポイントが異なると、教師の話の受

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自閉症(発達障害)の理解①

自閉症、または医学的には自閉スペクトラム症と呼ばれるこの状態は、生まれつきの脳機能の特性です。この言葉には、「スペクトラム(連続体)」という部分が含まれています。これは、自閉症の特性が個人によって非常に多様であることを意味します。一部の人にはコミュニケーションや社会的な交流に困難があり、また別の人は独特の興味や行動のパターンを持っているかもしれません。

自閉症の人々は、世界を感じたり理解したりす

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