ABA(応用行動分析)について③記録について

今回は、行動記録の重要性について話したいと思います。

多くの方が行動記録を煩わしいと感じるかもしれませんが、行動記録を通じてどのような点を重視しているのか、どのような意味があるのかを理解することが大切です。
記録を取ることで、私たちの行動がどのように変化しているかを把握できます。

まず、行動の記録について話します。
記録を取ることで、その行動がなぜ起こるのかについての仮説を立てることができます。
これは、問題がある行動や特定の行動を見つける上で重要です。
記録を取った後は、そのデータを基に改善策を考え、変化を追いかけることが大切です。
日々の記録をグラフ化することで、変化が一目でわかるようになります。

標的行動を考える際は、職員や支援者のニーズを第一にするのではなく、本人の利益や保護者のニーズ、障害や環境面の影響を考慮することが重要です。
具体的な行動を明確にし、観察や測定が容易になるように定義します。
このプロセスを通じて、行動の変化を効果的に追いかけ、改善していくことが可能です。

たとえばジョギングやランニングの時間を伸ばすことを目的としてる場合、まずはその時間を記録します。
さらに距離を重視する場合、行動の始まりと終わりが明確である必要があり、その距離を記録します。
水泳やジョギングなど、距離を伸ばしたい場合にも同様です。

作業中に組み立て作業を行った場合、完成したものがたまっていくわけですが、そのたまったものを数えれば、何個作ったかが分かります。

また、読書中にしおりを挟むことで、何ページ読んだかが分かります。
提出物を数えることで、いくつやったかが分かるわけです。
このように、行動が起きたことを示す記録を使うことができます。

弁別作業などにおいては、行動が正確にできているかが重要です。
例えば、リサイクル作業を行っている人が、ペットボトル、缶、瓶を正しく選別しているかを確認するために、それらを箱から出して数えることができます。
適切な反応があればプラスとして記録し、そうでなければ修正が必要です。

過剰行動に関しても同様で、回数、時間、強度などを記録し、その原因をABC記録で探ります。

部屋を散らかすような行動に対しては、片付けた後と片付けていない状態を比較するために写真を撮る方法も有効です。

また、特定の行動が短時間で頻繁に起きる場合には、インターバル記録を使って、その行動が起きているかどうかを大まかに把握することができます。
15秒ごとに行動が起きているか、起きていないかを記録し、その割合を計算することで、行動の頻度や強度を評価できます。

このようにして行動分析を行い、適切な支援や介入を行うことができます。

集まりの場面で、子どもが前のめりになっていたり床に寝そべったりする場合には、タイムサンプリングを使って記録します。
例えば、15分間の間に1分ごとに観察し、その時に子どもの姿勢がどうなっているかを記録する方法です。

この方法では、ピッという音がなった瞬間に子どもを観察し、その姿勢を評価します。
15分間で合計16回の観察が行われ、それに基づいて子どもの姿勢がどれだけ改善されているかを判断できます。

次に、記録の「見える化」と評価について話したいと思います。行動分析(ABA)では、シングルケーススタディが一般的です。
これは、個人の行動を介入前と介入後で比較し、その変化を視覚的に評価する方法です。
この方法では、個々の行動変化の因果関係を明確にすることができます。

例えば、特別支援学校の生徒がある行動を示した場合、介入前のベースラインデータを取り、介入後にどのように変化したかを比較します。
このプロセスでは、ABデザイン(ベースラインと介入の比較)やABCデザイン(複数の介入を比較)などがあります。

以上のように、行動分析では個々の行動の変化を詳細に記録し、介入の効果を評価することが重要です。
ABデザインではベースラインと介入の比較を行い、ABCデザインでは複数の介入を比較します。

また、反転デザイン(ABAデザイン)では、ベースライン、介入、再度ベースラインという3つのフェーズを経て、介入の効果を評価します。

この事例は、「Journal of Applied Behavior Analysis」という行動分析学会誌に掲載されたアメリカの事例です。
18歳の若者で、簡単な命令には応じますが、意味のある発語はほとんどありません。
糖尿病を患っており、インスリン注射や採血ができません。強い拒否反応を示し、叫んだり泣いたりします。

この事例での対応は、まず被験者に採血台の上で左腕を伸ばして10秒間動かさないようにさせることでした。
これを複数回繰り返し、成功するとおやつを与えるという方法です。
注射針と腕の距離を徐々に縮めていき、最終的には実際に採血を行います。

ベースラインではほとんど成功しなかったのに対し、介入後は成功率が上昇しました。

次に、反転例外の話題に移ります。
これは、元の状態に戻してみるということですが、戻すと行動が中断される可能性があるため、注意が必要です。
また、元に戻らない場合は学習効果によるものかもしれません。

最後に、ルールの伝え方について触れます。
子どもにルールを伝える際には、その場しのぎではなく、具体的で明確な方法で伝えることが重要です。
例えば、交通ルールに関しては、信号無視すると危険であることを具体的に教えるべきです。
また、子どもたちが大人の言動を細かく覚えているため、正攻法で対応することが大切です。

以上のように、行動分析においては用語の理解や、具体的な教育手法の適用が重要であり、これらのことを順番に実践していくことが求められます。







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