ココロは今、熱く動いている
料理をすることが楽しい。妻の負担を軽くするため作るようになったが、久しぶりに観てキュンとしたドラマ『私の家政夫ナギサさん』(2020年放送)に触発される。ナギサさんの家事力以上に、心温まる雰囲気やら多様なものに対する受容力・共感力に憧れる。大学生のときはレシピ本を見て作ることは殆どなく直観で(目分量で)作っていたのだが、レシピを参考しながら作るのも楽しい。
土井善晴著『料理と利他』を筆頭に、さまざまなジャンルの本やドラマ、そして最近では調理師免許を持つ地歴公民科教員に感化されて、料理のみならず興味の幅が広がってきた。色々なことに目を向けることで感受性が豊かになれば、今やっている好きなことに対するまなざしが変容してくる。
古人は月を見て、溢れんばかりの感性・知性によって紡ぎ出される表現を愉しんでいた。我々は知識として「月」を知り得ているが、それをどこまで表現できるだろう。そもそも今、月は存在するのか。目にすることはできないから、「ある」ことを信じているに過ぎない。誰もが「ある」ことを信じて疑わない。それから「ニュートンはリンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見した」と教わるが、それを問い直すこともなく、学びは進む。落ちているところをちょうど見たとは伝えられていない。我々は教科書にあることをすべて真実として捉え、疑うことなく生きてしまう。知識を蓄えることは大切だが、AIが人間の知能を超える時代がやってくるゆえに、遠い未来の話ではないこれからの時代においてはAIでは成し得ない力が必要となる。その力は果たして何だろうか。
ウイルスにとっての人間の大きさは、人間にとっての地球の大きさと同じくらいである。極小のウイルス一個が人間に影響を及ぼす。また、一人の人間は前述したように周りの人を感化させるのみならず、極大の地球全体にすら影響を与える。人間の生命そして心は、DNAで作られた細胞による各パーツから生み出される。しかも、心は人間に特化したもの。だが、感情(ココロ)を手に入れることにより、逆に人間は弱さを手に入れ、仲間を作ることで互いに助け合う道を選び、歩んでいる。そして、日々悩み、苦しむ。それは「心がたった今動いている」証であり、生きていることを示す。
「いのち」というのは、距離ゼロの自分だけに限ったものではなく、感動する(ココロが動く)くらいの距離にあるすべてのものがあなたの「いのち」に関わっている。
ところで、富士山に登るのに、ヘリコプターで山頂に行けたら感動するだろうか。おそらく、感動は薄いに違いない。何時間もかけて、自分の足で苦労して登っていくからこそ感動が大きいし、価値があって、達成感もある。それは勉学に限らず、どんな行為でも同じである。とはいえ、取り立てて新しいことにチャレンジする必要はなく、日々やっていることを感性・知性を伴わせて、丁寧に実践してみるだけで「ココロの世界」は大きく成長していく気がする。
난 그대 때문에 하루를 살아요 私はあなたのために1日を生きる
(은희 (ウンヒ)『그대가 좋아서(because of youあなたが好きで)』)
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【Q89】マイナス思考を直したいのですが、どうしたらよいですか。
【A】垂直跳びをしようとするとき、あなたはどうしますか。おそらく、膝を曲げてバネのように反動をつけて跳びますね。物を飛ばすときは飛ばしたい方向とは逆にエネルギーをため込む必要があります。マイナス思考やネガティブは決して悪くありません。世界中の人がみなプラス思考(積極的)だったらどうなるでしょうか。おそらく収拾つかなくなります。だから、大丈夫かなと心配になったり慎重になったりして行動することは必要なのです。マイナス思考の人に対しても共感し寄り添うことができます。無理して肯定することを望むのではなく、ありのままの自分を受け入れてみたらどうでしょう。
【Q90】サンタさんはいると思いますか。
【A】いると思います。私の体験入学での授業は「サンタさんを見ることは果たしてできるのか?」です。サンタさんが一人いると仮定します。一晩で世界の20億人の子どもにプレゼントを届けに行くわけです。一人当たり何秒かかっているでしょう。おそらく瞬きしている間に通り過ぎています。ようするに、目で追えるスピードではないのです。さすがはサンタさん。この世界は人間の思考できる範囲でしか成立していないのですから、サンタさんがいるという想いは素敵で、心が温まりますね。
因みに、「ある」ことより、「ない」ことを証明する方が難しいのです。「ある」なら、その物を見せれば済みます。しかし、「ない」ことをどうすれば人に納得させられるでしょう。恐竜は絶滅したと言われていますが、進化した生物がいるかもしれませんね。そもそも生物が絶滅したことをどのように検証するでしょうか。分からないことがあるからこそ、そこには知る喜びがあります。
【Q91】勉強しているときや寝るときになると周囲の些細な音が気になって集中できなかったり寝られなかったりするときがあります。解決策はありますか。
【A】神経質で、心が繊細な方ですね。試験会場では鉛筆で書いている音、ページをめくる音、人としての多種多様な癖のある物音などがあります。それを一つ一つ気にしないでいるのは無理があります。“平常心”という言葉を耳にしますが、気にしてしまう心を無理に落ち着かせようとする必要はありません。寧ろ集中できなくなります。音が聴こえるのは、五感が研ぎ澄まされている証で素敵なことだと思います。その音を排除するのではなく、受け入れてみたらどうでしょう。虫に静かにしてと思っても泣き止むはずがありません。受け入れると集中できて、いずれ勝手に気にならなくなってきますよ。
【Q92】国、理、社でいつも足を引っ張っているのですが、どう勉強すればいいと思いますか。
【A】得意としている友だちに勉強方法を聴いて、同じようにやってみるといいです。また、たくさんの経験の上で体系化している(言語化できる)教科担当の先生に相談してみるのも一つの手段ですね。
【Q93】歴史はなぜ学ぶ必要があるのでしょうか。
【A】私たちは生きている間に成功、失敗などを同じように繰り返していると思いませんか。とくに、失敗したときに先人はどう考え、乗り越えてきたのでしょう。どうやって成功して名を残したのでしょう。それを学ぶことには意味がありますよね。参考にして今生かすことができます。ただ、偉人のみならず、あなたも歴史(いのち)を紡いでいる、歴史上の人物の一人です。そう、一員なのですよ。あなたは現在、そして将来の誰かにきっと影響を与えています。凄いことではないですか。
2022.10.11