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サブカル大蔵経970中野孝次『ヒエロニムス・ボス「悦楽の園」を追われて』(小学館)
私の初めての海外旅行はベルギーでした。『フランダースの犬』の舞台、アントワープの大聖堂でネロのお参りをするために訪れました。ルーベンスの絵を見て、その流れでベルギーの各地をまわり、こってりした北方絵画と呼ばれる作品にまみれる中、ボスと出会いました。
正直言って、初めのうちはぼくもそういった宗教に興味を持つことができなかった。大抵は同じ画題で、ありがたそうなお聖人様やキリストが描いてある絵は抹香く
サブカル大蔵経966中村元訳『ブッダのことば』(岩波文庫)
『終末のワルキューレ』を読んでから、自分の中で〈釈迦ブーム〉が来ています。
僧侶なのに、今頃というか。
ワルキューレのおかげです。
「仏説」の付くお経も、全部あの人が説いてるイメージでよむようになりました。
作中に出る『スッタニパータ』を30年ぶりに再読しました。釈迦様もすごいけど、あらためて中村元先生は革命的でした。
私が学生の頃、先輩が「俺が日本人に生まれたメリットは中村元の言葉が読
サブカル大蔵経961藤田宏達校訂『THE LARGER AND SMALLER SUKHĀ VATĪVYŪHA SŪTRAS』(法蔵館)
サンスクリット語原典の『無量寿経』と『阿弥陀経』をインドの文字デーヴァナーガリーからローマナイズして分節化された藤田先生の著作を久々開いてみました。
これを基にした翻訳書が、前回ご紹介した『梵文和訳 無量寿経・阿弥陀経』です。
日本の宗派仏教において、サンスクリット原典というのは、知的遊戯の一種のように思われている気がしています。祖師たちがサンスクリット原典を読んでいないから、信者も祖師が