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第四章 春ヶ原と精霊たちの心 真っ暗な自室で、風花は正座をしていた。 目を閉じて、…
あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。 わざわざ、風花の家に通ってくれる。 …
「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」 「なにか…
風花はあれから、夏澄とスーフィアに会っていない。家に来るのは飛雨だけだ。 最近の夏澄…
「もう観ないよ。眠るね」 「ああ、おやすみ」 優しく風花を見る。その時、星夜の部屋から…
風花は顔を仰向けていた。 空を雲がいくつも流れていく。 今日はよく晴れていた。 …
やっと休み時間になった。 風花は机に顔を伏せて、目を閉じる。 「この頃おかしいよー。そんなに寝てないの?」 ひろあの声がした。 「さっきの授業のこと覚えてる?」 香夜乃の声もする。 「あんまり」 「こんなぐだぐだした風花、初めてじゃない」 「ちょっと寝ていい? 授業始まったら起こして……」 「ねえ、なにがあったの? そろそろ話してよー」 不満気なひろあに、無理に聞いちゃだめだよ、と香夜乃が制する。 「だって親友同士で秘密なんて……」 そんな声を聞き
「あー、すっきりした。ありがとうね。香夜乃、ひろあ」 上履きから靴に履き替え、風花は両…
「風ちゃん、ほんと楽しそうだね。いいなあ」 ひろあが上目遣いで風花を見る。 「それ、想…
空はよく晴れていた。 まぶしいくらいにきれいな青だ。 ひろあたちと別れた風花は、い…
夏澄と逢うのは一週間振りだった。 久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。…
「そういえば、飛雨とスーフィアさんがいないね」 風花は辺りを見まわした。 「飛雨は人が…
「風花、見て……っ」 夏澄がふいに声を弾ませた。顏をあげて、瞳に青空を映す。 「ほら、…
「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「……だとしたら、雲は光であふれているね。見えたら、どんなにいいだろうね」 「青い空がね、水蒸気の粒で輝いて、海みたいにまぶしい空になるね」 きっと、夏澄くんみたいに……。 風花はずっと、空を見つめていた。夏澄も同じだった。 光を秘めているはずの雲が、風に乗っていく。薄く薄く流れていく。 やがて、オレンジ色の夕日が差してきた。 「ねえ、夏澄くん。巻層雲の次の日は、よく雨が降