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水の空の物語 第4章 春ヶ原と精霊たちの心

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理想の世界のようだった春ヶ原。 そんな春ヶ原にも影があることを、風花と夏澄たちは知ります。
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#純愛

水の空の物語 第4章 第1話

第四章  春ヶ原と精霊たちの心  真っ暗な自室で、風花は正座をしていた。  目を閉じて、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第2話

 あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。  わざわざ、風花の家に通ってくれる。 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第3話

「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」 「なにか…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第4話

 風花はあれから、夏澄とスーフィアに会っていない。家に来るのは飛雨だけだ。  最近の夏澄…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第6話

「もう観ないよ。眠るね」 「ああ、おやすみ」  優しく風花を見る。その時、星夜の部屋から…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第7話

 風花は顔を仰向けていた。   空を雲がいくつも流れていく。   今日はよく晴れていた。 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第9話

 やっと休み時間になった。  風花は机に顔を伏せて、目を閉じる。 「この頃おかしいよー。そんなに寝てないの?」  ひろあの声がした。 「さっきの授業のこと覚えてる?」  香夜乃の声もする。 「あんまり」 「こんなぐだぐだした風花、初めてじゃない」 「ちょっと寝ていい? 授業始まったら起こして……」 「ねえ、なにがあったの? そろそろ話してよー」  不満気なひろあに、無理に聞いちゃだめだよ、と香夜乃が制する。 「だって親友同士で秘密なんて……」  そんな声を聞き

水の空の物語 第4章 第10話

「あー、すっきりした。ありがとうね。香夜乃、ひろあ」  上履きから靴に履き替え、風花は両…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第11話

「風ちゃん、ほんと楽しそうだね。いいなあ」  ひろあが上目遣いで風花を見る。 「それ、想…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第12話

 空はよく晴れていた。  まぶしいくらいにきれいな青だ。  ひろあたちと別れた風花は、い…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第13話

 夏澄と逢うのは一週間振りだった。  久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第14話

「そういえば、飛雨とスーフィアさんがいないね」  風花は辺りを見まわした。 「飛雨は人が…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第15話

「風花、見て……っ」  夏澄がふいに声を弾ませた。顏をあげて、瞳に青空を映す。 「ほら、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第16話

「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「……だとしたら、雲は光であふれているね。見えたら、どんなにいいだろうね」 「青い空がね、水蒸気の粒で輝いて、海みたいにまぶしい空になるね」  きっと、夏澄くんみたいに……。  風花はずっと、空を見つめていた。夏澄も同じだった。  光を秘めているはずの雲が、風に乗っていく。薄く薄く流れていく。 やがて、オレンジ色の夕日が差してきた。 「ねえ、夏澄くん。巻層雲の次の日は、よく雨が降