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あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。 わざわざ、風花の家に通ってくれる。 …
「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」 「なにか…
「あー、すっきりした。ありがとうね。香夜乃、ひろあ」 上履きから靴に履き替え、風花は両…
「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「…
じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。 かすかに眉根を寄せ、東南…
夕食を終えた風花は、自分の部屋に駆け込んだ。 滑り込むように、床の上にすわる。 ぎゅ…
風花は庭の一番奥の、胡桃の木のところまで、飛雨の背中を押した。 「玄関から来るなんて、なにかあったの?」 ゆり音に圧倒された表情でいた飛雨は、風花の言葉で我に返った顔をする。 「あのな、夏澄が帰ってこないんだよ」 急にそわそわし出して、うめくようにいった。 「ああ、夏澄くんなら、春ヶ原に行ったよ」 「そういってたけど、夕方には帰ってくるっていったのにさ」 「あのね、一回……」 一回帰ってきたけど、優月さんの体調がわるいから、もどったんだよ。 そう告げよ
わたし、なにやっているんだろ……。 図書館でぼんやり本を眺めながら、風花は鬱々として…
風花はそっと、自宅の玄関のドアを開けた。 左にある防音室に、灯りがついている。 覗…
飛雨は、風花の服の襟を掴んで、締めあげた。 「夏澄が怪我でもしたら、どうすんだ?」 …
『なんか、嬉しそうだね。どうしたの?』 夏澄が声を弾ませた。 「……なんでもない」 …
護りたいと、夏澄は続ける。 「俺、春ヶ原を護りたい」 夏澄は力が抜けたように体を傾け…