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夏澄と逢うのは一週間振りだった。 久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。…
「そういえば、飛雨とスーフィアさんがいないね」 風花は辺りを見まわした。 「飛雨は人が…
「風花、見て……っ」 夏澄がふいに声を弾ませた。顏をあげて、瞳に青空を映す。 「ほら、…
「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「…
じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。 かすかに眉根を寄せ、東南…
夕食を終えた風花は、自分の部屋に駆け込んだ。 滑り込むように、床の上にすわる。 ぎゅ…
「風花ー、お友達よーっ」 母親のゆり音が、階下から風花を呼ぶ。風花はあわてて、階段を駆け降りた。 「どうしたの? 飛雨くん」 いつも飛雨は、人目を避けて、夜中に窓から来る。今日は、宵に玄関からだ。なにかあったのだろうか。 「う、ん……。ちょっと、外で話せるか?」 分かったと、靴を履こうとした風花を、ゆり音が止めた。 「そんなこといわないで、あがってらっしゃいな」 「い、いえ。もう夜ですし、……よ、用事が済んだら帰りますので」 なぜか、飛雨の声は裏返る。
風花は庭の一番奥の、胡桃の木のところまで、飛雨の背中を押した。 「玄関から来るなんて、…
わたし、なにやっているんだろ……。 図書館でぼんやり本を眺めながら、風花は鬱々として…
よく考えたらと、風花は思った。 もし、飛雨くんに追いついけたって、春ヶ原に行けるはず…
風花はそっと、自宅の玄関のドアを開けた。 左にある防音室に、灯りがついている。 覗…
夏澄くんたち、帰ってこない……。 霊泉近くの東屋でひざを抱え、風花は縮こまっていた。…
いくつも風が流れて行き、月や星も動く。 寒いと、風花は腕をさすった。 体が小刻みに…
飛雨は、風花の服の襟を掴んで、締めあげた。 「夏澄が怪我でもしたら、どうすんだ?」 いくらなんでも、それはないんじゃ? 思ったが、風花は黙っていた。 「飛雨……」 夏澄の言葉で、飛雨は瞳を瞬く。ぱっと手を離した。 「今のは暴力じゃないぞ。お、お前の襟にゴミがついていたんだよ」 いうと、彼はやけに丁寧に乱れた襟元を整えた。 「あ、風花。本当に来てたのね」 頭の上のほうから声がした。 東屋に張った結界内に姿を現したスーフィアが、舞い降りてきた。 「