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水の空の物語 第4章 春ヶ原と精霊たちの心

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理想の世界のようだった春ヶ原。 そんな春ヶ原にも影があることを、風花と夏澄たちは知ります。
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2023年7月の記事一覧

水の空の物語 第4章 第13話

 夏澄と逢うのは一週間振りだった。  久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第14話

「そういえば、飛雨とスーフィアさんがいないね」  風花は辺りを見まわした。 「飛雨は人が…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第15話

「風花、見て……っ」  夏澄がふいに声を弾ませた。顏をあげて、瞳に青空を映す。 「ほら、…

近江結衣
1年前
5

水の空の物語 第4章 第16話

「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第17話

 じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。  かすかに眉根を寄せ、東南…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第18話

 夕食を終えた風花は、自分の部屋に駆け込んだ。  滑り込むように、床の上にすわる。 ぎゅ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第19話

「風花ー、お友達よーっ」  母親のゆり音が、階下から風花を呼ぶ。風花はあわてて、階段を駆け降りた。 「どうしたの? 飛雨くん」  いつも飛雨は、人目を避けて、夜中に窓から来る。今日は、宵に玄関からだ。なにかあったのだろうか。 「う、ん……。ちょっと、外で話せるか?」  分かったと、靴を履こうとした風花を、ゆり音が止めた。 「そんなこといわないで、あがってらっしゃいな」 「い、いえ。もう夜ですし、……よ、用事が済んだら帰りますので」  なぜか、飛雨の声は裏返る。

水の空の物語 第4章 第20話

 風花は庭の一番奥の、胡桃の木のところまで、飛雨の背中を押した。 「玄関から来るなんて、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第21話

 わたし、なにやっているんだろ……。  図書館でぼんやり本を眺めながら、風花は鬱々として…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第22話

 よく考えたらと、風花は思った。  もし、飛雨くんに追いついけたって、春ヶ原に行けるはず…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第23話

 風花はそっと、自宅の玄関のドアを開けた。  左にある防音室に、灯りがついている。  覗…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第24話

 夏澄くんたち、帰ってこない……。  霊泉近くの東屋でひざを抱え、風花は縮こまっていた。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第25話

 いくつも風が流れて行き、月や星も動く。  寒いと、風花は腕をさすった。  体が小刻みに…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第26話

 飛雨は、風花の服の襟を掴んで、締めあげた。 「夏澄が怪我でもしたら、どうすんだ?」  いくらなんでも、それはないんじゃ?  思ったが、風花は黙っていた。 「飛雨……」  夏澄の言葉で、飛雨は瞳を瞬く。ぱっと手を離した。 「今のは暴力じゃないぞ。お、お前の襟にゴミがついていたんだよ」  いうと、彼はやけに丁寧に乱れた襟元を整えた。 「あ、風花。本当に来てたのね」  頭の上のほうから声がした。  東屋に張った結界内に姿を現したスーフィアが、舞い降りてきた。 「