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水の空の物語 第4章 第24話

 夏澄くんたち、帰ってこない……。

 霊泉近くの東屋でひざを抱え、風花は縮こまっていた。

 街灯が一本あるため、辺りはぼんやり明るい。
 闇の中にいるわけではないのに、風花は落ち着かない。

 公園を取り囲む夜更けの空気が、心を縮ませるのだ。暗がりからなにかが出てきそうな気がする。

 時間が経つにつれて、不安が積みあがっていた。

 もう十時だ。
 風花が公園に来てから、一時間が過ぎていた。

 強い風が吹いた。
 葉ずれの音が、迫ってくるように響く。

 風花は小さな悲鳴をあげた。

 は、は、早く帰ってきて、夏澄くん……っ。

 もしかして、優月さんの体調、すごくわるいのかな。

 それとも、夏澄くんたちになにかあったとか……。夏澄くんなら、すぐに優月さんを癒して、帰ってくると思ったのに。

 風花は頭を振った。
 闇に飲まれて、嫌なことばかり考えてしまう。

 帰ってくるんだよね?

 は、早く来てー、夏澄くんっ!

 ぎゅっと手を握って、風花は辺りを見まわした。


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