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『それは……。ごめんなさい、できなかったわ』 『霊泉に来たとき、優月が弱っていたのはだか…
柑実の精霊の優月は、息が止まるような感覚でいた。 さっき風花が自分にくれた、手のひら…
本当に、何故なんだろうか。 つい、うつむいてしまい、優月は顔をあげた。 鬱念として…
「春ヶ原は、だいじょうぶですよ」 まだ晴れない顔をしている夏澄に、優月はゆっくりと話す…
「春ヶ原ができる前の山頂は、植物の育ちにくい、荒れた土地でした。だから、草花は豊かな土地…
「草花は動物と話すことができました。意思疎通ができることもあって、山の動物たちに可愛がら…
「草花は桃葉を、うさぎママと呼んでいました。桃葉は二匹の仔うさぎを連れていて、草花の葉で育てていました。草花と本当の家族のようでした」 「種族を越える家族なんて、素敵ね」 頰杖をついているスーフィアが微笑む。 「でも、草花の葉はすぐ、なくなってしまいます。草花は精霊の力で葉を伸ばしますが、当然足りません」 「……仕方ないわよね」 「桃葉は、仔うさぎの丨子桃《こもも》と丨雛桃《ひなもも》をつれて、他の場所に葉を探しに行くようになりました」 優月は一度、言葉を止め
「私たちはまず、しろつめ草に霊泉水を撒くことから始めました」 ああ、と、夏澄は顔をあげ…
「私たちは、何度も湖に足を運びました。でも簡単に願いを叶えてもらえるはずはありません。で…
「立貴は頻繁に通ってくるようになり、やがて禁足地に住むようになりました」 よかったと、…
一輪の花は、春ヶ原の花々に比べたら、目立たないかもしれない。 だが、春ヶ原を越える風…
「楽しかったですよ。人の遊びは興味深いです」 「よかった。子供の遊びだから、心配だったん…