水の空の物語 第5章 第27話
「草花は動物と話すことができました。意思疎通ができることもあって、山の動物たちに可愛がられるようになりました」
「生まれた時から話せたのか。霊力強いんだな」
飛雨が感心したようにいう。
「中でも丨桃葉《ももは》といううさぎと、親しくしていました。桃葉は母うさぎということもあって、草花を自分の子のように扱いました」
うさぎに?! と、風花が声をもらした。
しばらく、なにかを考え込むようにした後、いいなーっと、声を弾ませる。
「うさぎに育てもらうって、どんなだろう。ねえ、飛雨くんっ。うらやましいよね」
「はあ……、そうだな」
「いいなー、一日体験させてくれないかな。ねえ、飛雨くん。うさぎの一日ママとか、わたしたち人間の夢だよね」
「お前ってなんか、変わり者か? いつも、そんなこと考えてるのか?」
飛雨はため息をついた。
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