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第二章 空の上に湧く泉 終業のチャイムが響き渡った。 教師が出て行くと、教室内が急に…
高校からの帰り道の途中に、図書館がある。その図書館の広場に、風花たちはよく寄り道した。…
「隠すことないじゃん。教えてよー」 ひろあはうれしそうに、風花の顔を覗き込む。二つに束…
「あ、でもね、聞いてよー」 ひろあは眉を寄せて、ベンチに両手をつく。 「あたしたちね、…
「実はさ、私もうまく行ってないんだよね……」 ふいに香夜乃が声をかすらせた。 深くベン…
長い坂道を、風花は自転車で登っていた。 やっと見えた駐輪場に滑り込み、自転車を停める…
夏澄の優しげな仕草も、透きとおった瞳も、やはりまぶしい。 風花は目を細めた。 「久しぶり、夏澄くんっ」 思ったままを口にしてしまい、風花は少し後悔する。 昨日逢ったばかりなのに、久しぶりはないだろう。だが、夏澄はまっすぐうなずいてくれた。 「風花、早くおいでよ」 「今なら、人目がないわ。泉のそばに来て」 「うんっ」 スーフィアの言葉で、風花は駆け出す。 泉を囲っている柵を、夏澄と一緒に越えたとき、空間が歪んだ。 急に、泉の周りに、水の幕のような
「ごめーん。でも、すごくきれい」 波紋はそっと押してだけでも、広がっていく。ゆらゆらと…
「う、うん……」 風花はそれだけしかいえなかった。 まっすぐな視線を受けると、どきど…
「霊力って、どうして? なにかあったの? 風花」 夏澄が心配そうな顔をする。 いつも…
「……どんな泉だったの?」 自然と、風花の声にも感情がこもった。 「水の精霊の国の、空…
冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くす…
「……わたしもそんな泉をもどす方法、探しに行きたい」 風花はそっといってみる。 「ねえ…
「もしかして、今日も探しに行っていたの?」 「うん、今日は西の山にある洞窟に行ってきた。細い水脈がたくさんあってさ。全部見たから、少し疲れたよ」 「疲れたのは、あんなたくさんの木を癒やすからでしょ」 心配げにいうスーフィアに、夏澄はごめんとつぶやく。 「洞窟に行く途中でね、病気が流行っている森を見つけたんだよ。でも、ルール違反じゃないからいいんだ」 「ルール?」 「夏澄は仁愛の精霊でしょ? ほおっておくと、端から動物や植物を癒やしに行っちゃうのよ」 いったスー