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高校からの帰り道の途中に、図書館がある。その図書館の広場に、風花たちはよく寄り道した。…
「あ、でもね、聞いてよー」 ひろあは眉を寄せて、ベンチに両手をつく。 「あたしたちね、…
「では……」 ふいに、ひろあが声に力を込める。鞄からノートを取り出した。 ずっと前、…
長い坂道を、風花は自転車で登っていた。 やっと見えた駐輪場に滑り込み、自転車を停める…
「ごめーん。でも、すごくきれい」 波紋はそっと押してだけでも、広がっていく。ゆらゆらと…
「霊力って、どうして? なにかあったの? 風花」 夏澄が心配そうな顔をする。 いつも…
冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くすと思う。 それなのに夏澄くんはよくわらったり、泣いたりする。 ……夏澄くんは、思ったよりずっと強いんだ。 「ねえ、夏澄くん」 夏澄くんは、悲しい? つらい? 風花は言葉にできなかった。聞いたら、なにかが壊れてしまいそうだった。 深呼吸して、風花は声を明るくした。 「空の泉って……」 「なに? 風花」 夏澄は、頭を霧にもたせかける。 「空の泉って、どんな色だったの
「もしかして、今日も探しに行っていたの?」 「うん、今日は西の山にある洞窟に行ってきた。…
夜空に銀の星が瞬きはじめた。 風花は結界の出口の前に立って、手を振る。 「じゃあ、明…
落ち着かない様子の夏澄は、林のほうに視線を彷徨わせる。やがてうつむき、ぽつりとつぶやい…
「ど、ど、ど、どうしようっ」 風花は思わず、結界を出ようとした。背後から、夏澄に止めら…