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第二章 空の上に湧く泉 終業のチャイムが響き渡った。 教師が出て行くと、教室内が急に…
「隠すことないじゃん。教えてよー」 ひろあはうれしそうに、風花の顔を覗き込む。二つに束…
「あ、でもね、聞いてよー」 ひろあは眉を寄せて、ベンチに両手をつく。 「あたしたちね、…
「実はさ、私もうまく行ってないんだよね……」 ふいに香夜乃が声をかすらせた。 深くベン…
「では……」 ふいに、ひろあが声に力を込める。鞄からノートを取り出した。 ずっと前、…
「あっ、わたし書きたい」 風花はノートを受け取る。 三人で海に小旅行に行くと書いた。 …
夏澄の優しげな仕草も、透きとおった瞳も、やはりまぶしい。 風花は目を細めた。 「久しぶり、夏澄くんっ」 思ったままを口にしてしまい、風花は少し後悔する。 昨日逢ったばかりなのに、久しぶりはないだろう。だが、夏澄はまっすぐうなずいてくれた。 「風花、早くおいでよ」 「今なら、人目がないわ。泉のそばに来て」 「うんっ」 スーフィアの言葉で、風花は駆け出す。 泉を囲っている柵を、夏澄と一緒に越えたとき、空間が歪んだ。 急に、泉の周りに、水の幕のような
「ごめーん。でも、すごくきれい」 波紋はそっと押してだけでも、広がっていく。ゆらゆらと…
「う、うん……」 風花はそれだけしかいえなかった。 まっすぐな視線を受けると、どきど…
冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くす…
「……わたしもそんな泉をもどす方法、探しに行きたい」 風花はそっといってみる。 「ねえ…
「もしかして、今日も探しに行っていたの?」 「うん、今日は西の山にある洞窟に行ってきた。…
「飛雨、あれやってよ」 ふいに夏澄は笑顔になった。 飛雨に向き直って、すわり直す。 「…
夜空に銀の星が瞬きはじめた。 風花は結界の出口の前に立って、手を振る。 「じゃあ、明後日に。風花」 「うん、また……」 「待ち合わせ場所は、蓮峯山にある一本杉の前ね。飛雨が知っているから」 風花は飛雨の案内で、蓮峯山に行くことになった。なんと、一緒にバスで行く。夏澄たちは人前に出られなくても、黒髪の飛雨なら平気ということだった。 夏澄たちは霊体になって、空から風に乗って行くらしい。 「今なら、結界の外に誰もいない。出て大丈夫だよ、風花」 あたりを見回し