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創作の森 エンターテイナー・ストリート

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甘野充プロデュースの創作に特化した共同運営マガジンです。 共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。 自作の小説、詩、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンタ…
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2025年2月の記事一覧

見つめている

貴方を見つめている 目を逸らす 貴方に気づかれないように きづいて欲しいのに 気付かれたら 見つめ合えるのに みつめ合いたい 貴方に気づかれたい みつめるだけだと みてもらえない だからあなたとのいつもの場所で挨拶するの 「はじめまして」 #なんのはなしですか  #なんの暗号ですか

何年時が経ようとも  #百人百色

  77.   瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ    (詞花集 恋 229)崇徳院  (解釈)山の中を激しく流れる川の水が、岩にあたり堰き止められ急流も二つに分かれ流れ落ちていっても、またひとつになるように我らも、いつかきっと再び出会い結ばれると願っている。  私はまるで激流の中へ堕ちてしまったような感覚でいる。  綾、君という激流の中に……。    ここから抜け出すことばかり考えていた。  遺恨を晴らすため、怨霊となって都へ乗り込もうと足掻いていた

「時間 さまよい人」―詩―

人差し指で たたく 鍵盤 音は 切なげに 響き消える 予定のない カレンダー 白い空欄 うなだれる白鳥のよう 宛名のない 手紙 際限なく 書き溜める 書いては 破りを 繰り返し 鳴ることのない電話を 待ちわびる テーブルの上の 招き猫が 笑ってる 久しぶりの ネイルサロン 古いさよなら 脱ぎ捨てて 真紅の デザートサンライズ 新しい未来色を 見つけたい 落ち着いた光に 包まれる 白金高輪 おしゃれ 着飾る 赤坂 マーメイドスカートで 歩いてみれば 一ツ木通りで 声かけら

一生ボロアパートでよかった㉕

 休み中の宿題ってなんでしなくちゃいけないんですかね?私は宿題なんてやるなら、それもう休みじゃねーじゃんって思うんですよ。たぶんそういうふうに思うのは私だけではないはずなのに、みんなちゃんと宿題をやってくるからえらいですよね。  私以外にも1人だけ、宿題を忘れたと言う男子がいました。坂ティーにそう申告する際の彼の堂々たる態度は、尊敬に値するものでした。 「せんせー!英語と数学の宿題忘れました!」  宿題をしてこなかったのにどうしてあんなにハツラツとした声が出るのか、私は

【連載漫画】ベアたん旅行記 秋田田んぼアートの旅 109

【連載小説】星の下で vol.25 「成仏」

それからは毎日レンと過ごした。 ご飯を食べていると横からちょっかいだしてくるレン。 しかし、攻撃パターンが毎回同じなので、回避も簡単だった。 これまでのことをあわせると、レンは生き霊で、俺には見えて触れるし触られるけれど、他人からは見えもしなければさわることもできない、といったところか。 私はネットで熱心に生き霊についてググったが、怖い話ばかり出てきて、生き霊の生態というか、成仏できるのか、もしできるなら成仏した後はどうなってしまうのか書いてあるページはほとんどなかっ

長周期のもつれ 【詩/幻想詩】

セイウチもアザラシも 温泉ロープを巻きつけて すっかりのぼせあがっている 長周期のもつれが ゆるやかに寄せている港町 漁師小屋の井戸から 23世紀の機械が顔を覗かせる 蛇のように這い出してきて 記憶にない町角を曲がると 迷彩模様の自転車 少女たちはオモイデコロンを塗っているところ カラン コロン と 首をながくしたザトウクジラの子どもたち 焦げ目のついた写真館に 幽体離脱の気配がある 紅い桟橋にもたれかかる廃船 頭につけたプロペラは 不可思議な揚力となって この町のバラン

【詩239】Juliana 1049

   ジュリアン    ジュリアン    jewelryの輝き    ジュリアン    ジュリアン    jellyの口溶け    ジュリアン    ジュリアン    juiceの爽快    頬には冷たい陽だまりの    色の寂しい情景を    可憐な姿で魅了して    風に温みを感じれば    仄かな香りをそのままに    それじゃあ又と去ってゆく    ジュリアン    ジュリアン    束の間のjuvenile    ジュリアン    ジュリアン    jo

サイレンが鳴る。

サイレンが鳴る。 遠くから、 近くから、 サイレンは鳴る。 昨日も 今日も 明日はどうなるのだろう? ファラオは蘇るのか。 キリストはどこに。 野菊は咲く、あなたの墓標に。 ピラミッドに。 クレオパトラよ、英雄を誘惑せよ。 祖国を救え。 鳴り響く、サイレン。 心の中に。 誰かの不幸は、パンドラの箱。 迷路は、人生そのもので。 迷うからこそ、充足する。 歩け、迷路の中を。 振り出しに戻っても、 失格なのかも、 リタイヤなのかも、 決めるのも、 あなた次

【創作】大臣の部屋で【スナップショット】

    わざわざ宰相閣下に来ていただくとは 恐れ入ります   なに、城の階段を上り下りするのは 良い運動になります さて本題に入りましょう 例の王令案のことです だいぶあなたがお怒りだと 聞いたのでね   怒ってはいません   あなたの案では 民衆に厳しすぎるという ご指摘もありましてね   どの大臣がそれを言っているのか 分かりますよ おそらくこれでは民が反乱を起こす と言いたいのでしょう しかし これはこの国の発展には重要なものです   ええ 私には分かりますよ   では

【詩】「毒」

雨が降る 心に水溜まりができる 渇いて飢えていてもその水を飲めない 夢を見る 心の壁に穴が開く 逃げたくてもそこから出れない さまようほどに果てが見えない 汚れてしまったこの世界 汚されたオアシス あふれる感情はそのなかで吹き荒れる みずからでこぼす毒で弱りながら それでも毒しか産めない そして毒だけで生きる者になるのだろう 囁いた言葉をなぞってみる 身体を痛みではじかれながら 乾いた床の上で眠りにつく 雨が降っている 夢を見ている 熱にうかされながら生きている

ラップするじかん 一日一詩vol.79

また心地がいい もの探しに行く 肌触りが良い シャツを着こんでいる 仕込みが重要 急いだ寿命 三十路過ぎた授業 請求と受領 俺にくれ十秒 変えてやる究極 何が残って何を忘れる 誰を助けて何を集める 言いたいことの輪郭に溢れる 言い換えとバイブス タイムイズ怪物 射し込む愛日に感謝アンサー 漫画のような出来事は今ない 失敗が形を変えてまたリアライズ 見方のほうがつまり変わった 煮詰まることで味わいが上がった 間違いもかちわりロックする操作 濃いめの原液満たす時ソーダ 今心地が

「そりゃあ いかんぞなぁ」―詩―

冬の釣り 冬風が 冷たく飛び交う川岸で 坊やと父さんは 釣り 陽はあたたかいが 風が強い 浮きもすぐに 流される 「ねぇーー まだぁーー」 5分ごとに 坊やはいう 「全然 釣れないね.… 何事も 辛抱 辛抱」と 苦笑いの とうさん 「さかなさぁーーん ここに おいしい おいしい あるよぉーー」 坊やの高い声は 川面を揺らす 「父さん 場所 変えようか?? あっちの 柳の下 いいかも!」 「もう 3度も場所 変えてるよ どこで 釣っても同じだよ」 ふと 父さん気づく

【連載漫画】ベアたん旅行記 秋田田んぼアートの旅 108