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創作の森 エンターテイナー・ストリート

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甘野充プロデュースの創作に特化した共同運営マガジンです。 共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。 自作の小説、詩、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンタ…
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「創作の森 エンターテイナー・ストリート」の参加申請

 甘野充プロデュースの共同運営マガジン「創作の森 エンターテイナー・ストリート」です。  共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。  小説、詩、エッセイ、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンターテイメント作品をnoteで公開している人たちが集まって、作品を披露する場となります。  参加すると、自分の記事を共同運営マガジンに追加することができるようになります。  たくさんの人に自分の作品を読んでもらえるチャンスです。  参加費は無料!  ぜひともご参加

Design War season1-2

全て無料でお読みいただけます。 前回の続き Design War season1-1 ——— 登場人物 多彩 翔 (たさい かける) 現在就活中の26歳。絵の勉強をしたいと思いつつも、女でひとつで育ててくれた母のためできることを探そうと葛藤中。いまだに将来が見えない男。今すぐ求人を見て仕事を探すように相沢に急かされる。 相沢 東周 (あいざわ とうしゅう) 多彩翔の大学サークルの先輩。大学を卒業後、翔が家に引きこもっていた時期にも定期的に会っていた唯一の友人。翔と

¥100

「黄昏に染まる約束」 2話

カフェを出てからしばらくの間、二人は言葉を交わさなかった。秋風が優しく彼らの間をすり抜け、枯れ葉が舞い落ちる音だけが静かに響いていた。まるで、この一瞬を永遠に引き伸ばしたいかのような沈黙だった。

¥200

「黄昏に染まる約束」

黄昏時、冷たい風が吹き抜ける公園に、カサカサと落ち葉が舞い散っていた。秋の訪れとともに街は急速に静まり、いつもの喧騒が嘘のように感じられる。彩音(あやね)はベンチに腰を下ろし、手元のスマートフォンをぼんやりと眺めていた。画面には、新着のメッセージが一つ、点滅している。

¥300

「月に手を振る」詩―シロクマ文芸部「月の色」参加作品

川沿いの 桜並木は 黄色い葉が 道の上に 積もりだし 秋が ひっそりと 落ち葉集めを 始めたようだ 坊やは バアバに手を繋がれて 川辺の道を やんわりと 歩く 空の 十六夜月は  バアバと坊やの 二人ボッチ影を ぼんやりと 作ってる 「今夜の月の色は カステラ色だ」 バアバは ポツリとつぶやく 「坊やが大好きな お菓子の色! バアバ また 買ってね」と坊や バアバは フッと笑みをうかべ ため息をつくと 坊やの手を 強く握り 遠い目をして 月を仰ぎ 一人語りを始めた 「

9月21日の詩

うなぎが食べたい。 甘辛いタレの染込んだ ご飯も食べたい。 もうすぐ夏が終わるってさ。 今年は暑かった。 そんな夏でも 頑張って生きた自分に ご褒美のうなぎを食べたい。 政治の事なんか よく分からないけどさ、 風が変わる瞬間だけが 今の楽しみだ。 うなぎを食べよう。 夏の暑さの内に。

【連載小説】公民館職員 vol.28「食事」

進藤さんからの返事はこうだった。 『私もいつも楽しく図書室で過ごさせていただいて、いつも感謝しています。お礼と言ってはなんですが、今度食事にでもいきませんか?』 キター(・∀・) リア充展開キター!! 植田さんからもお墨付きだし、これはもしや、長いこと待ち望んだ春がやって来た?! いやいや、ここは慎重に、男に飢えていることを悟られてはいけない。 従って食事にほいほいついていってはならない。 だけど……我慢できませんでした。 『食事、是非是非!いつにしますか?』

鹿狩 【詩/現代詩】

午後になると 鹿狩に出かける 川崎駅東口には 気取らない鹿がいる 素行の悪い野犬もいる 銃口を光らせて立つ非常階段 灰色の熊が多い 襟巻きをした狐もいる 内臓はカレーのにおいがした 電車が空中を走る 「世界一まずい蕎麦屋」でトリ蕎麦を デパート前の停留所に 鹿が近づく クリクリしたかわいい眼 痩せ形 角と尻尾と立髪がよじれる交差点 電線でウグイスが鳴き 引き金に油汗 こめかみからも ガード下でレッサーパンダの演説 公務員アパートの悲劇を語る 電車が空中を走る音 年老いた

森に入る

ある時は憩いに ある時は泣くために そしていつかのある時は 最悪の中 終焉を求めて 森に入るわたしが居た 絶望は希望の裏側にあるのだと 誰かの言葉に抗い 奇麗事だと喚き しかし 常にわたしは希望の光を 求めていたのだ ただ立つ ただ在る かの森に今度は優しく穏やかな 老女として 木々に会いにいこう 大きく伸びして 空気を胸いっぱい吸うのだ

ワ(↑)オキツネザルとワオキ(↑)ツネザル・必ずしもケバブ【現代詩】

ワ(↑)オキツネザルと、ワオキ(↑)ツネザルがいます。 ワオキ(↑)ツネザルは、明らかに別の種のような響きで、そのように発声するだけで、段違い平行棒のような、パンナコッタの居眠りのような、コビトカバの伸身宙返りのような、カラスウリが熟れるような、京浜東北線が走り出します。ウリカラス。 湿地は、諸条件を整えると、カオマンガイになります。カオマンガイマンガイ。ドラゴンライチフルーツドラゴンドラ。チャンジャ。茶目っ気発電所。 ジャンケンをしたいと言ってきかないエゾアワビに磁石

つきのひかりに誘われて【シロクマ文芸部|お題「月の色」】参加記事

小牧さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。 月の色は、月の高度、月と地平線との距離によって変わるのだという。地表に近ければ赤やオレンジに、天頂に近づくと黄色になる。月は満ち欠けの形だけではなく、その色も変えていく。ネット検索にあたると、このようなカラフルな月を収めた撮影者に出逢うこともある。 カラフルな満月の「色」のコレクション あなたが思い浮かべるのは何色?(sorae 宇宙へのポータルサイト) これほど鮮明で美しいものでは無論ないけれど、私も20

灰色の岸壁と鉄船│詩

岸壁に繋がれた巨船が静かに鳴く 大きな鯨が歌うように 高く、低く、長く 角のない月を浴びてガリバーは泣く 圧倒的な塊が耳目を覆い尽くすように 自由を欲し、恋人を欲し、遠い故郷を欲し 冷たい風と灰色の雲に囚われた身体に 遥か彼方、フーサヴィークを想う あの灯台は何色だっただろうか 2028/9/21

黄昏 (詩)

カフェのテーブルで頬杖つく私 空のコーヒーカップを前に お替りするかどうか、一時悩む 彼との約束の時間はだいぶ過ぎて でも今にも彼が現れそうで 席を立つ決心がつかない 窓の外はいつの間にか もう黄昏 行き交うカップルが幸せそうに見えた 何度電話しても梨のつぶて やがて溜め息をつき、席を立つ もう、限界… 彼とは終わりにしよう 黄昏時の街へ出る 涙と共に 未練も流れてしまえばいい ( Xの、深夜の二時間作詩に投稿しました )

ふぉれすとどわあふ|オーウェンとエルフ

ビレートン国の王子オーウェンは、十歳の元服に際し、伝統により父である国王から一振の剣を賜った。 それはオーウェンが生涯を共にする一蓮托生の魔法がかけられ、主であるオーウェン以外の男には決して手懐けることのできない剣であった。 オーウェン自身にとっても使いこなすには修練が必要であり、今日も稽古と称して城下の森で剣を振り回していた。 「えいっ」 「はっ」 掛け声だけは威勢がいいが、太刀筋は定まらず、いたずらに周りの樹々の枝葉を切り落としては、若い葉や花びらを舞わせていた。