[掌篇集]日常奇譚 第45話 コール
純太とは一種奇妙な友人関係であったと思う。まず言えば、ぼくらは小学生時代からの親友だった。しかし高校の卒業後にぼくが関東に出て、それでぼくらはほとんど会うことがなくなった。最初の頃はそれでも半年に一度くらいは帰郷していてそのたびに純太にも会っていたのだが、忙しさもあって徐々に帰郷しなくなり、それでぼくたちは約束した。一箇月に一度電話で近況を話し合おう、と。
こうした約束はしばしば「義務」と化し、負担になってきたりもする。だがぼくらに限ってはそういうことにはならなかった。