三矢勝司

まちづくりコーディネーター。公共空間のマネジメント(計画、管理、活用)、新しい自治、都市のあり方に関心を持っています。名古屋学院大学現代社会学部准教授。名古屋工業大学客員准教授。NPO岡崎まち育てセンター・りた創業者。岡崎市出身。

三矢勝司

まちづくりコーディネーター。公共空間のマネジメント(計画、管理、活用)、新しい自治、都市のあり方に関心を持っています。名古屋学院大学現代社会学部准教授。名古屋工業大学客員准教授。NPO岡崎まち育てセンター・りた創業者。岡崎市出身。

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都市再生とNPO

1 都市再生=デベロッパーがやること? とある社会学者から「三矢さんは都市・まちづくりを専門としているのに、どうして非営利組織(NPO)に詳しい(実践している)のですか?」との質問を受け、適宜回答をさせてもらったのだが、そのコメントが意外と大事なことを言っていた気がするので、備忘録的に残しておく。 自分のような1990年代に大学生を過ごした都市、まちづくりの人間からすると、非営利組織・NPOと都市再生はつながっていて当たり前だと思うが、一般の方々からすると、つながっていない

    • 曖昧な私と「公共」

      1 はじめに  公共空間の構想、計画、管理、活用を、仮に「パブリックスペース(プレイス)論」と大括りに呼ぶと、近年10年くらいの注目ワードとして「住みびらき(アサダワタル2012)」、「マイパブリック(田中元子2017)」、「パブリックハック(笹尾和宏2019)」などが思い当たる。2010年代は、公共(空間)と私(的領域)との関係を問い直し、新しく生み出す、実践していく、熱い時代であったし、2020年代にも強く影響している。  このようにいうと、さも最近の概念かのように感

      • 民営化は民間施設化ではない

        1 はじめに  自分は、公共空間や公共施設の構想や計画、管理や運営における市民参加を扱ってきて、かれこれ四半世紀が経つ。構想や計画段階におけるデザインワークショップや活用促進に向けた社会実験の他、指定管理者の立場で公共施設の管理運営実務にも携わってきた。こうした経験が評価され、最近10年ほどは、愛知県内の市町村(名古屋、豊田、岡崎ほか)から依頼を受けて、指定管理者やPFI事業者の選定委員をいくつか拝命してきた。  現代において、公共施設の管理運営を巡る民営化の流れを止める

        • パブリックマインドと事業者(後編)-事業者も市民も共に輝ける都市

          1 名古屋と事業者市民  前編にて、「パブリックマインドをもつ事業者」を巡る社会状況の変化と、公民連携を巡る議論に対する筆者の私見を述べた。話は飛躍するが、名古屋地方において、パブリックマインドをもつ事業者(事業性をもって都市を再生・再創造する者)という意味では、錦二丁目エリアマネジメント会社の前衛性はここで改めて説明するまでもない(公益に資する都市再開発の先駆者)。こうした前衛的プロジェクトへの尊敬の念は抱きつつ、名古屋市内では、様々なタイプのパブリックマインドをもつ事業

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          パブリックマインドと事業者(前編)-シン公民連携時代へ

          1 事業者市民  2024年6月9日、名古屋都市センターにて、地域まちづくり助成の審査会があった。筆者は同助成制度の審査委員長として、その場に同席した。今回、全体で7つのまちづくり団体からの応募があり、そのうち4つが、事業者(事業性を前提とした団体)が中核的な役割をもつものだった。  地域まちづくり助成は、「地域住民などの多様な主体による、より良い環境を築き、地域の価値を向上させる取り組み(名古屋市HPより)」を応援する制度である。冒頭に「地域住民」の言葉が示しているよう

          パブリックマインドと事業者(前編)-シン公民連携時代へ

          ゲンシャ系

          もしも学部をデザインするなら もしも自分が「まちづくりの専門家育成に向けて、学部カリキュラムを設計せよ」と言われたら、次のように答えていただろう。第一に、地域経済の仕組み、次に人間の心理、特に集団の心理。さらに現代日本社会を考えると超高齢社会が基本なので、社会保障や福祉政策。加えて実務に向けて、契約や権利の基礎知識は抑えておきたい。さらに、これらを統合して現場に落とし込むまちづくり、ファシリテーション、である。この前提を踏まえ、以下の文書を読んでみてほしい。 まちづくり

          ゲンシャ系

          シネマ/まちづくり

          1 まちづくり助成の成果報告会 2024年4月13日、名古屋都市センターにて、まちづくり助成金の活動成果報告会&交流会が開催された。2023年の助成を受けたまちづくり団体は合計12団体であった(注1)。筆者・三矢は助成金事業の審査委員長として、ここに参加した。交流会の終わりの挨拶で述べたお話が、今後の参考になる話をまとめたものなので、ここに紙上再現しておく。 2 シェアリング・エコノミーを育もう 活動報告を伺っていると、様々な支援や協力を得て、まちづくり活動が発展的に

          シネマ/まちづくり

          クラウドファンドとグラウンドファンド

          1 祝!クラファン成功  筆者・三矢は、縁あって愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウンの廃校リノベーションプロジェクト「ノキシタプレイス」のクラウドファンドを支援してきた。目指していた290万円に対して、3,499,626円の志が寄せられ、無事に2024年6月のグランドオープンへの弾みをつけることができた。ここまでの経過をメモに残しておく。 2 オールドニュータウンとしての高蔵寺  愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウン(since1968/日本で二番目に古い大規模ニ

          クラウドファンドとグラウンドファンド

          公園のコンディションを育む ー籠田公園と岡崎市公園協議会

          1 使われ過ぎる公園 2021年から23年の3か年、僕は岡崎市公園協議会の委員長を拝命し、各種の議論に携わってきた。任期を終えるにあたって、以下振り返っておく。最も思い出深いのは「籠田公園が使われすぎる問題の解決」であった。 ことの発端は2022年5月のゴールデンウィーク。当時、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きをみせてきた時期であり、それまでコロナを理由に取り止めがされてきたイベントの再開はもちろん、従来、建物内で行われていたイベントも安全をみて公園で行いたい、とい

          公園のコンディションを育む ー籠田公園と岡崎市公園協議会

          地域まちづくりを覚醒させる7システム

          はじめに 2024年2月18日、建築士会主催「地域まちづくりサミット2024―愛知のまちづくりの現状と課題」が開催された(註1)。三矢は、全体進行とパネルディスカッションのモデレーターとして参画する栄誉を得た。事例報告では、有松(名古屋市緑区/歴史的街並み、伝統産業)、錦二丁目(名古屋市中区/エリアマネジメント)、豊橋(リノベーション)、幅下(名古屋市中区/歴史的建物活用)の4つがあり、その後100分におよぶ壮大なパネルディスカッションが展開した。当日、三矢が総評としてコ

          地域まちづくりを覚醒させる7システム

          QURUWA戦略-改訂2024に寄せて

          0 はじめに 2024年2月7日に、乙川リバーフロント地区公民連携まちづくり基本計画、通称QURUWA戦略の改訂案が開示された(註1)。3月7日までパブリックコメントが求められている。QURUWA戦略が2018年に策定され、2019年に改訂された。あれから5年が経ち、改めて基本計画を改訂するようだ。 筆者は、過去にQURUWA戦略をまちづくりの中間支援組織、岡崎まち育てセンター・りたの一員として微力ながらお手伝いしてきた身である(業務として携わっていたのは数年前のことだ)

          QURUWA戦略-改訂2024に寄せて

          エリアリノベーションの処方箋

          1 はじめに 1998年から2023年の20年間で日本の空き家は1.9倍(182万戸→349万戸)に増加しており、空き家問題は看過できない深刻な社会問題となってきた。これを受けて国は2023年に従来の空き家関連法を改正し、空き家対策の強化を図っている。  こうした状況を受けて、2024年1月21日名古屋都市センターにて、日本建築学会東海支部都市計画委員会主催で「空き家法改正2023-空き家からエリアリノベーションへ」と題した講演会が開催された。筆者・三矢は、各種の事例報告後

          エリアリノベーションの処方箋

          駅前と駅周辺エリアの価値を高めるー三郷駅前まち育てプロジェクト(2021→23)

          はじめに  近年、駅前再整備を巡り、車中心から人中心への転換が求められており、例えば国交相からも「駅まち空間(2021)」といった、駅とその周辺地区連動性、一体性を持ったまち育ての重要性が指摘されています。  こうした「まちとの一体性を目指した駅前再開発事業」の例として、岡崎まち育てセンター・りた(筆者は創業者であり、現在は理事)が携わってきた「三郷駅前まち育てプロジェクト(尾張旭市)(以下、三郷PJ)」があります。三郷PJは、三郷駅前再開発を基点として始まった市民参加

          駅前と駅周辺エリアの価値を高めるー三郷駅前まち育てプロジェクト(2021→23)

          都心部の公園政策に関する一考察

          (1)経済政策と都市(空間)政策 2023年12月5日、名古屋学院大学にて「オアシスライブセッション」が開催された。これは、学内にある「オアシス」という現代社会学部の学生と教員だけが出入りできるサロン的空間で時折開催されるミニ勉強会を指す。この日の話題提供者は三矢であり、コメンテーターに江口忍先生(現代社会学部教授)が登壇された。 三矢の話題提供から話が派生して、江口先生の指摘は、商業地域における都市施設のあり方にまで話が広がっていった。特に、名古屋のHisaya-odo

          都心部の公園政策に関する一考察

          ゼミ選びを考えている学生さんへ

          名古屋学院大学のサイト(CCS)で確認ができる ・シラバス(専門基礎演習=2年/現代社会演習1=3年) ・ゼミナールガイドブック https://www.ngu.jp/social/gidebook/ は基本資料なので、これらは必ず見てください。なお、2年のゼミと3、4年のゼミで結構やることが違うので、そこも注意してください(2年だけとる、3、4年だけとる、という関わり方もありです)。 大学のゼミ選びは、学生と教員の相性が重要であり、考え方とか大事にしている価値観が近しい人が

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          「AIには何ができないか」を読む

          ビブリオバトル(註1)に参加するにあたり、自宅の本棚から「AIには何をできないか」という本を取り出し、発表をした。この発表のために準備した内容を以下に残す。 AI時代に知識を覚える必要はあるか この本の中核的なメッセージの一つが「ポピュラーと正しいは違う」「AIはポピュラーな情報を拾い上げることはできるが、正しい情報であるかは判断していない」である。 我々は何かを調べるときに、デジタル端末(スマホやPC)で検索をすること多い。若い世代ならSNS(インスタほか)で情報収集す

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