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【書籍紹介】不条理な働き方からの解放:これからの時代を生き抜くためのヒント

【テクノロジーの進化が世界にもたらす変革と日本の働き方の問題点】

 現代社会では、テクノロジーの進化が目覚ましく、さまざまな分野との融合が進んでいます。人工知能(AI)、ビッグデータ、IoTなどの技術は、働き方や生活スタイルに大きな影響を与えています。これらの変化により、今後の10年間で世界は根本から変わると予測されています。

 しかし、日本の働き方は、長い間、終身雇用や年功序列といった旧来の制度に縛られてきました。こうした制度は、高度経済成長期において効果的でしたが、現在の急激な変化に適応できていないと指摘されています。結果として、世界の労働環境と比較しても非効率的な部分が多く、時代遅れの働き方となっている現実があります。

 本記事では、橘玲さんの著書『不条理な会社人生から自由になる方法』を基に、現代の日本が直面する働き方の問題点を明らかにし、これからの時代に適応するための解決策を探ります。これからの未来を生き抜くために何が必要かを考えるきっかけにしていただければ幸いです。




日本の働き方の不愉快な事実

1. 45歳定年制は正しい

 2021年、サントリーの新浪剛史社長が「45歳定年制」を提案したことが大きな議論を呼びました。この提案に対し、SNSやメディアでは「強制解雇の合法化ではないか」といった批判が相次ぎましたが、橘玲さんはこれを以下のように肯定的に捉えています。

定年制の問題点

60歳定年制は、労働者にとって一見安定した制度に思えるかもしれませんが、「超長期雇用の強制解雇」とも言えます。人生100年時代においては、60歳で退職すると、その後の人生で40年もの無職期間を過ごすことになります。この長い無職期間を支えるためには、現役時代に相当な額の資金を蓄える必要がありますが、それが可能な人は一握りに過ぎません。

終身雇用の限界

日本特有の終身雇用制度は「メンバーシップ型雇用」と呼ばれ、社員を企業内で柔軟に配置換えすることで維持されています。例えば、営業職から総務職、あるいは工場勤務から管理職へといった異動が行われることがあります。しかし、この仕組みは個々の専門性を高めることが難しく、結果的に「我が社の専門家」にはなれても、「世界で通用する専門家」にはなれません。

45歳定年制の意図

新浪社長が提案した45歳定年制は、単なる解雇を目的とした制度ではありません。「45歳までにどの企業でも通用する専門性を身につける」という目標を掲げ、働き手が自立できる環境を整えるための制度として理解するべきです。現代では、大企業であっても経営破綻のリスクがあり、従業員が自らの専門スキルを磨き、どのような状況にも適応できるようになる必要があります。



2. 日本的雇用は人を不幸にした

エンゲージメント指数の低さ

「エンゲージメント指数」とは、社員が会社や仕事にどれだけ関与し、熱意を持っているかを測る指標です。日本の社員のエンゲージメント指数は、世界平均と比較して非常に低いことがわかっています。

  • 非常に高いエンゲージメント
    日本: 8% / 世界平均: 22%

  • 非常に低いエンゲージメント
    日本: 34% / 世界平均: 16%

日本の労働者の多くが仕事に対してネガティブな感情を抱いている現状が、これらのデータから見て取れます。

長時間労働と生産性の低さ

 日本では、長時間労働が蔓延しており、就業者の20%以上が週49時間以上働いているとされています。しかし、その一方で労働生産性はOECD加盟国の中で最下位クラスです。これは、長時間働いてもその労働が効率的でないという現実を浮き彫りにしています。


どこでも誰とでも働ける生き方へ

1. GIVEの重要性

「GIVE」とは、自分の持つ知識や人脈を他者と共有する行動を指します。現代のネットワーク社会では、この「GIVE」の精神が成功に直結します。

  • 無限に与えられるもの
    知識と人脈は、どれだけ共有しても減ることがない資産です。これを活用することで、ネットワーク内での評判が向上し、新たな機会を生む原動力となります。

  • GIVEが生む信頼
    「GIVE」の精神で知識や人脈を共有することで、人々との間に信頼が築かれます。この信頼が、仕事や新しい挑戦への道を開くカギとなります。



2. 個人として評価される時代

 これまでは、仕事の発注先が「企業のブランド」に基づいて選ばれることが一般的でした。しかし、SNSの普及により、個人のスキルや評判が直接評価される時代が到来しています。

  • 個人の評判がカギ
    大企業に所属していることではなく、個人として良い評判を持つことが、今後の成功のカギになります。これにより、フリーランスや個人事業主の働き方も注目されています。



3. プラスサムゲームの世界へ

「プラスサムゲーム」とは、全員が利益を得られる仕組みを指します。例えば、知識を共有することで相手も自分も成長できるような関係性です。

  • プラスサムの例
    自分が持っている情報を他者に共有することで、その情報が新しいビジネスやアイデアに発展する可能性があります。これにより、すべての関係者が利益を得られる状況が生まれます。


結論

 日本の働き方には多くの改善の余地があり、新しい価値観への適応が急務です。橘玲さんの『不条理な会社人生から自由になる方法』は、現状の問題を鋭く指摘するとともに、未来を生き抜くための指針を示しています。

 これからの時代に求められるのは、「GIVE」の精神を持ち、自らのスキルを高めていくことです。会社に依存するのではなく、個人として評価される道を切り開くことが、これからの成功につながるでしょう。本記事を通じて、皆さんが働き方の変革について考える一助となれば幸いです。

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