中西后沙遠

ライター。福岡県福岡市出身、早稲田大学卒。女性誌・育児雑誌・進学情報誌などを経て、現在は単行本のブックライター。聴こえない人の世界と、聴こえる人の世界の融和を目指して発信します。

中西后沙遠

ライター。福岡県福岡市出身、早稲田大学卒。女性誌・育児雑誌・進学情報誌などを経て、現在は単行本のブックライター。聴こえない人の世界と、聴こえる人の世界の融和を目指して発信します。

最近の記事

⼤⼈になるきみへ⑨ ⼈の⼼を開く鍵は「相⼿を好きになること」

★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという子どもたちに向け、ああでもない、こうでもないと言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。8人のお母さんたちが分担して執筆しました。 「聞こえない・聞こえにくい」子どもたちで、コミュニケーションに心配があれば、気になる人と友だちになるチャンスをつかみ損ねたり、苦手意識を持つこともある

    • 大人になるきみへ⑧ きみが思っているように、⼈は思っていない

      ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという子どもたちに向け「ああでもない」「こうでもない」と言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。8人のお母さんたちが分担して執筆しました。 5本めのメッセージでは、聴こえに障害があっても、なくても、思春期には誰もが陥りがちな自意識過剰の思い込みについて、やさしく丁寧に、リアルなシーンを

      • ⼤⼈になるきみへ⑦ 「出会い」……それは、素敵な予感

        ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという子どもたちに向けああでもない、こうでもないと言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。8人のお母さんたちが分担して執筆しました。 4本めのメッセージは「出会いの奇跡」と「人間関係を培っていくヒント」について語っています。 難聴のある子どもたちは、聞こえの制約や会話の不安から、コミュ

        • 大人になるきみへ⑥ 地球上にはじつにさまざまな⼈が住んでいます。さて、そのなかでまったく同じという⼈はいるでしょうか?

          ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという子どもたちに向け、ああでもない、こうでもないと言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。8人のお母さんたちが分担して執筆しました。 3本めのメッセージでは、「この世界にひとり“自分”として生きること」、そして「何のために生きるのか」について深く考察しています。★★★ 地球上にはじ

        • ⼤⼈になるきみへ⑨ ⼈の⼼を開く鍵は「相⼿を好きになること」

        • 大人になるきみへ⑧ きみが思っているように、⼈は思っていない

        • ⼤⼈になるきみへ⑦ 「出会い」……それは、素敵な予感

        • 大人になるきみへ⑥ 地球上にはじつにさまざまな⼈が住んでいます。さて、そのなかでまったく同じという⼈はいるでしょうか?

          大人になるきみへ⑤ きみが⽣まれて、きみの周りの⼈はどんなに喜んだことでしょう!

          ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという子どもたちに向け、ああでもない、こうでもないと言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。8人のお母さんたちが分担して執筆しました。 2本めのメッセージでは、喜びの中で生まれてきたこと、そして親が子どもに持ち続ける「愛」と「感謝」と「エールを送る気持ち」について語っています。★★★

          大人になるきみへ⑤ きみが⽣まれて、きみの周りの⼈はどんなに喜んだことでしょう!

          大人になるきみへ④ 自分の障害について考えたことがありますか?

          ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。幼児期の言語指導を終えて、これから思春期を迎えようという難聴の子どもたちに向け、ああでもない、こうでもないと言い合った挙句にたどりついた11本のメッセージ。 最初のメッセージは「自分の障害について真剣に考えたことある?」という問いかけです。障害について整理をして考え、受け入れる。親も本人である子どもも、それなくしては前に進めない、とても大切な

          大人になるきみへ④ 自分の障害について考えたことがありますか?

          大人になるきみへ③ この本を読まれる前に

          ★★★『大人になるきみへ』というのは、帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した小さな本です。自分たちで印刷会社に原稿とレイアウトを持ち込み発注した自費出版本。 幼児期の言語指導を終了し、これから思春期を迎えようという難聴の子どもたちに向けて書いたメッセージ集で、後に会に参加された親御さん方や子どもたちに読み継がれました。   帝京大学病院耳鼻科言語室の廣田栄子先生や他の先生方には、企画・予算の相談にのっていただき、ご指導いただきまし

          大人になるきみへ③ この本を読まれる前に

          『大人になるきみへ』② はじめに

          ★★★20世紀のギリギリ最後に発行された、『大人になるきみへ』という小さな本があります。 帝京大学病院難聴児親の会のメンバーが、言語室の廣田栄子先生を囲んで5年間話しあい、知恵を出し合って執筆し制作した本です。 コミュニケーション障害とも言われる難聴の子どもたちが、言語指導を離れ思春期を迎える時、もしかしたらブツかるかもしれない問題について、親の考えを述べています。 巻頭言を書いてくださったのは、26年という長きにわたり帝京大学病院耳鼻科で難聴外来を開設しておられた田中美郷

          『大人になるきみへ』② はじめに

          大人になるきみへ①

          ★★★『大人になるきみへ』というのは、21世紀に大人になる子どもたちに向けて、20世紀の終わりに発行された小さな本です。 奥付けを見ると、帝京大学病院難聴児親の会ひまわり会の発行となっていますが、発案は当時言語室にいらした廣田栄子先生(*現筑波大名誉教授)です。アメリカのグラハムベル協会の100周年記念大会に出席され、帰国された後に、「親から子どもへのメッセージ本を作りませんか?」とお声がけいただきました。 私たち親はすぐさま「いいですねー!」と反応し、この企画がスタートしま

          大人になるきみへ①

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の93歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと⑧ 初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷(よしさと)先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。 最終回となる今回は、93歳を迎えられた田中先生の「長い時間を経て、いま考えていること」についてお伝えします。 2020年に田中美郷教育研究所から発行された『聴覚障碍児早期発見─精査・診断─早期療育/教育支援に関する実践研究』という論文

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の93歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと⑦ 初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷(よしさと)先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。 今回は、「難聴児の療育のために、長年にわたりホームトレーニング(両親講座)を行ってこられたなかで、田中先生が禁じていたこと!」についてお伝えしたいと思います。 田中先生が一時代を築いた“ホームトレーニング”という療育法は、『幼児難聴』

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の92歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと⑥初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷(よしさと)先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。 今回は1970年代半ばに田中先生が出会った、言葉を知らない55歳のろう者の女性が、いかにして言語を獲得したかというお話です。 ▼言語を獲得せずに成人した55歳のろう者の女性が 「ものには名前がある」と気づくまで それは田中先生が帝京大学

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の92歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと⑤初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷(よしさと)先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。 5回目の記事では、エミちゃんという難聴乳幼児が補聴器をつけ、いかに「ものには名前がある」ことに気付いていったか…、という小さな物語をお伝えしたいと思います。   ▼ものに名前があると気づくことが「言語獲得」の出発点 大学病院で難聴乳幼児

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の92歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと④初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷(よしさと)先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。 ▼「思考の道具としての言語を身につけさせたい」 田中先生は、信州大学医学部付属病院耳鼻科で診療に当たられていた松本時代、その後、東京の北区十条にある帝京大学医学部附属病院耳鼻科で診療を担当された帝京時代を通して、難聴乳幼児の両親向けにホ

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          東京都難聴児相談支援センターがまもなく、令和6年3月1日に開設されるそうです。新生児聴覚検査で「耳鼻科で精密検査が必要(要再検査)」と言われ、子どもが難聴と診断されたご両親や関係者の相談窓口。新生児に限らず、18歳迄の難聴児を持つご両親に全面的にアドバイス。悩みがある方はぜひっ!

          東京都難聴児相談支援センターがまもなく、令和6年3月1日に開設されるそうです。新生児聴覚検査で「耳鼻科で精密検査が必要(要再検査)」と言われ、子どもが難聴と診断されたご両親や関係者の相談窓口。新生児に限らず、18歳迄の難聴児を持つご両親に全面的にアドバイス。悩みがある方はぜひっ!

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語

          難聴児医療・教育界の92歳の長老、田中美郷先生が教えてくれたこと③初回のこのシリーズでは、半世紀にわたり、医師でありながら、そのワクを超えて難聴児の療育に携わってこられた田中美郷先生の思いや、そのベースとなった哲学に迫ります。   ▼欧米の文献を読み漁る 1960年代、信州大学病院耳鼻科で、幼児難聴外来を担当された田中美郷(よしさと)先生は、難聴が発見された後の、「その難聴乳幼児たちの療育をどうするのか」という問題にぶつかりました。 そこで、何とかこの問題を解決する良い方

          風の音と、心の音~「聞こえないこと」の思索と物語