詩『素顔のしんでれら』#シロクマ文芸部#創作大賞2024
白い靴ーーー、
真夜中の寝室にそっと置かれていた。
白紙のスニーカーが今年の誕生日プレゼントだった。
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まいごのまいごのこひつじちゃんあなたのねぐらはどこですかいくつものねむれないよるをのりこえてかけてはみちてゆくつきをなんどもみあげてはおなじそらのしたできえてゆくいのちにいのりをささげませうこうやのじゅうせいにばらのくちづけをとげはうつくしいよわむしのいかくあかいはなびらはかくさんするけつえきのいろるるるりるるららどこへむかっているのかわからないままあるいているいなないているああまよなかのほとりにてまどいつづけている
あかい太陽に銃口を突きつけろ
密集した濃紺の空に薔薇が散る
どこにいても走り出せるように
耳を鋭敏に研ぎ石で磨いていて
(ズドン、)
いつだって宣戦布告をしている
臨戦態勢のティーンエージャー
そらいろのカラコンが凛々しい
握り拳は明日の方向を見てるの
ちいさい頭があちこちで群れて
どこにいても安らかに眠れない
睡眠借金は大きく膨らんでゆく
微睡みの青い川を泳ぎきりたい
(ながれてながれていって、あお)
(しみてしみこんでいって、あか)
あおにあかを滲ませて、
また眠れない夜がくる、
あたたかい、あたたかい、ひとのぬくもりのあじ、しみこんで、からだのすみずみまで、だしがゆきわたる、しゅうまつはていねいにだしをとろう、しゅうまつはじかんをかけて、てづくりのぱすたをつくろう、しゅうまつは、しゅうまつは、とくべつだから、らららるらら、おなかがまんぷくになったら、うつら、うつら、よるにふねをこぎだそう、しずかに、ねしずまったびるのあいだを、ひとつ、ひとつ、ほしのかけらをあつめながら、ちく、ちく、とぬいあわせて、にびいろになってしまったたからだに、そうちゃくしてゆく、
『なあ、きれいやろ、』
『わあ、しんでれらみたいやわ、』
『そう、とくべつなどれすなんていらんねん、』
『でもな、まっぱだかやと、つかまってまうねんで、』
まほうがとけてしまわないようにけしょうをおとさずによるをもやすがらすのくつはどこにころがっていったんだろうかぼちゃのばしゃのざんがいでしゅうまつにていねいにかぼちゃのぱすたをつくるときめたかたいかぼちゃはやわらかくやわらかくなってしたのうえでほろほろとくずれるきいろにつつまれたぐざいたちよひだりみぎひだりみぎみぎむいてみぎどうぞどうぞせいれつしてちょうだいね
やっぱり週末は特別だから、硝子の靴は、もういらない、見えないだけで、もう新品の靴を履いているから、王子さまも待たなくていい、自分の足で馬に乗れるから、せるふらぶ、週末は特別だから、硝子のグラスで乾杯しよう、もう鏡のなかの素顔から、目を背けないで、もうなにもこわくない、みんなの前で、クレンジングで化粧を落とす、
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真っ赤な朝焼けが降りてきて
あたらしいいのちが生まれる
眩しく輝いているスニーカーで
逆光のなかへ走り出せ
photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーよりyumikoさん)
photo2:Unsplash
design:未来の味蕾
word&poem:未来の味蕾
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