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洗い流しが終わると、彼にタオルを被せ、悲しい目の担当者と若いお兄さんが二人掛かりで彼をお…
洗髪が終わると、次は体を洗う。 割烹着の彼女が、 「皆さんで足を洗ってください」 と言っ…
Yさんご夫妻が帰った後はどこにいたらいいかわからない家族がなんとなく全員集合し、バタバタ…
XXさんが帰ったら、もう8時近くだった。 こんな時でも人間は食べないといけないらしい。 そ…
義理の両親、両親、妹家族、弟がそれぞれ彼の耳元でそれぞれの言葉をかける。XXさんのお経をあ…
どれくらいの時間が流れたのだろう。彼の周りを整えているうちに、ご縁のあるXX住職様が来てく…
不思議なウイルスのおかげで都内はほとんど車が走っていない。彼と私と義父を乗せた霊柩車はそのまま春めいた空気の中流れるように帰った。なんでこんなにも春なんだろう。 平和なのか間が抜けているのか、どこかノスタルジックな商店街に面して建っている家の前に、霊柩車がついた。車を降りる。自分が乗ってきた車なのに、平凡な日常には似合わない真っ黒で長い、異様な塊。突如として現れたUFOのようだった。その黒い物体から、箱の中に横たわる彼の体が出てきた。悲しい目の担当者と、いつからか、どこから
見積もりが提示されると、まるでタイミングを見計らったように受付の人が来て、解剖が終わった…
次に、式を執り行ってくれるお坊さんを決めると言う。 悲しい目の担当者は、もしお寺の檀家じ…
葬儀屋さんの車に乗って、監察病院へいく。車の窓から見る外の風景は相変わらず平和だ。土曜日…
少しずつベッドルームの外に広がる空が明るくなってくる。また、晴れた日になりそうだ。 私は…
仕事の電話を一通りかけ終えた。 彼の遺体は警察にあるし、何事もなかったかのようにいつもの…
シャワーから出ると、リビングに戻った。 携帯を見ると、突然、オンラインミーティングがあっ…
シャワーの蛇口をひねる。 とにかく熱いお湯を浴びて洗い流したい。口に目一杯お湯を入れて吐き出す。体にお湯をかけても何も感じない。背中に熱さを感じたい。痛みを感じたい。普段の温度じゃ何も感じない。 お湯を45度に設定する。 ようやく、少し背中に刺すような熱さがある。 お風呂の椅子に座りながら、何をするでもなくお湯を浴びる。 これからの人生あと何度シャワーに入ったら死を洗い流せるのだろう。 ぼーっとしながらシャワーを浴び続けた。いつもと何も変わらないお風呂場。ここは十