支えるから。支えるから。
シャワーから出ると、リビングに戻った。
携帯を見ると、突然、オンラインミーティングがあったことを思い出す。もう終わっている時間だ。
そうだ、仕事を一緒にしている人たちに連絡しないといけない。
一緒に仕事をしているA子に連絡をする。もう2年ほど同じ職場で働いていて、気心の知れた仲間だ。なんて言えばいいのだろう。躊躇しながらもライン電話で彼女に連絡をする。
"Hello?"
海外、南国育ちの彼女の明るい声が電話越しに聞こえて、自分とは別の世界の住人のように思えた。
"My husband died...I'm sorry about the meeting....we were at the hospital. My husband died."
声にならない声を振り絞りながら話す。
"What happened? Why?"
電話越しに彼女も泣いているのが分かる。びっくりしすぎた時の笑っているかのような泣き方
泣きながら、起きたら冷たかったこと、心不全のようだということを話す。
"OK, don't worry about work. I will tell everyone and tell them not to contact you. You are a strong woman, I know you are."
力強く全てを引き受けてくれて、少し肩の荷が降りる。
次に、もう一つの仕事の仲間であり、同士であり、親友であるM子に連絡をする。
今日は仕事がないけれど、今後動けなくなるから連絡しておかないと。知らせてしまうと彼の死が事実になってしまいそうで嫌だ、、、、、でも、仕方ない。
M子に電話をかける。すぐに出てくれる。
M子の優しい声を聞いて、私はすぐに泣き出した。
「M子、彼が死んじゃったの。彼が死んじゃったの。心不全だって。死んじゃったの。」
M子は
「えっ。。。
支えるから。支えるから。大丈夫だから。支えるから。ずっと支えるから。」
と、泣きながら言ってくれた。
何も聞かずに「支えるから」とだけ連呼してくれるM子の計り知れない強さと海のような心の寛容さ。その言葉が本当であるということに確信があり、どこまでも心強かった。
嗚咽で声にならない声を振り絞り、
「うん。ありがとう。」
そう言って、電話を切った。