パパの脇毛
洗髪が終わると、次は体を洗う。
割烹着の彼女が、
「皆さんで足を洗ってください」
と言った。
開いた傷のない足はきっと誰もショックを受けずに洗える部分なのだろう。みんなが足を洗っている間に、彼女が他の体の部位を洗っていた。
全員が足を洗い終えると、まるで、「おかわりはいかがですか?」という定食屋さんの女将のように、
「他に洗ってあげたいところ、みておきたい体の部分はありますか?」と割烹着の彼女は言った。
すると、子供達は
「脇毛!!」と答えた。
夫の脇毛は脇の上下で毛が別方向にばっと生えていて、お風呂に入った時に「ばっ!!」と言いながら子供達に自慢していた。自慢する事なのかどうかわからなかったが、子供達はそれが面白かったようだった。
若いお兄さんがいたって真面目に夫の左腕を上げ、「ばっ!!」と生えた脇毛を子供達に見せた。
子供達はパパの脇毛に別れを告げるかのように、見入って、そして満足していた。
私はそんな子供達をみながら、性器を洗いたいと思った。でも、義理の両親や両親の手前、なんだか言い出せない。
「他は大丈夫ですか?」
と言われたが、とうとう言い出せないまま
「では最後に洗い流します。」と割烹着の彼女が言った。
若いお兄さんが首の方から徐々に水を流していく。泡が浴槽に溜まっていく。私は近くでみながら、どうしても性器が心残りだった。すると、割烹着のお姉さんが、仕上げるように全身の細かいところを洗ってあげていた。仕上げの流れの中でさっと白いタオルをめくりあげ、性器のあたりをささっと、でも丁寧に洗ったのが見えた。
「ありがとう。」
私は心の中で呟いた。