夢じゃなかった。
少しずつベッドルームの外に広がる空が明るくなってくる。また、晴れた日になりそうだ。
私はもう、空を信じない。あんなに青い空が広がった日に彼は死んでしまった。空は信じられない。何もかも信じられない。現実ってなんだろう。
慌ただしく朝が過ぎていく。
両親が来る。玄関を開けて、
「ママ、パパ、夢じゃなかったみたい。。」
両親は何も言わずに抱きしめてくれる。
義理の両親も到着し、弟も来てくれた。
小さな家は不思議なウイルスの時代なのに、三密だらけだ。
こんな時は人間三密しないと死んでしまうんだ。。。それぞれ一人で悲しみを受け止めるなんて到底できない。人間なんてそんなものだ。
前の日に言われた時間に警察にいく。妹夫妻が私と義父を警察に連れて行ってくれる。
警察につくと、入り口横にある、パーテーションで囲まれた待合の場所がある。灰色のパーテーションに、灰色のテーブル、灰色の椅子。義父と固まってそこで待つ。いつからいたのか、葬儀屋さんが一緒に待合にいる。悲しみを全身にまとってしまったかのようなひょろりとした、悲しい目の担当者だった。待っている時間を埋めあわせるかのように、斎場をどうするかなど葬儀の打ち合わせのようなものが始まっている。このクラスの焼き場だといくら、このクラスに落とせばいくら、、、斎場だけはとりあえず押さえておかないといけないから急がなければいけないらしい。その場で決めて、その場で葬儀屋さんが仮押さえをする。
しばらくすると監察医の女医が来た。警察署でできる範囲の簡易な監察では結局何も分からないらしい。彼の亡骸は東の方にある監察専門の病院に、移送されることになった。
よく分からないまま、監察病院に14:00にいくことが決まった。