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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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2022年5月の記事一覧

宇佐美りん「くるまの娘」 話がはずまない人との車内会話あるある、話題が前の車のナンバープレート!

宇佐美りん「くるまの娘」 話がはずまない人との車内会話あるある、話題が前の車のナンバープレート!

宇佐見りん「くるまの娘」を読みました。

車は、家と違って部屋にこもることもゆるされない「ゆるい密室」。
DVの父、病気で不安定な母、逃げたり病んだりした兄妹が久しぶりに祖母の葬儀のために集まる。

短い話に書かれてない「空白」でも家族それぞれが生きてきた感じ、名前すらはっきり出てないのに、それぞれが人間として言い分がある感じ。たまらなく不快で上手い。

父はおとなしいけど、人が変わったように家族

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【読書】蜘蛛が巣を張るように、一本づつ人物相関図ができあがるカササギ殺人事件【ネタバレなし】

【読書】蜘蛛が巣を張るように、一本づつ人物相関図ができあがるカササギ殺人事件【ネタバレなし】

登場人物の関係がわかりやすいように、人名を矢印で「→好き ↓疑い」とかで繋いだやつあるじゃないですか。そう!相関図。

カササギ殺人事件はページをめくるたび、蜘蛛が葉先からいっぽんづつ糸をひいていくように新しい登場人物からその先へ、人物相関図ができていく。

作品は葬儀の場面からはじまる。
歴史ある屋敷の使用人が、階段から落ちて死んでしまった。どうやら掃除機のコードに足がからんだ事故のようだが、そ

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宗教2世の漫画家、菊池真理子さんは、宗教を批判したいわけじゃないです!

宗教2世の漫画家、菊池真理子さんは、宗教を批判したいわけじゃないです!

漫画家の菊池真理子さんが、宗教団体からの脱退を漫画に書いていて警告を受けた?とかで、以前Twitterで多少話題になっていました。

ぼくは宗教関連のことに詳しくないし、そこを批判するわけじゃないです。
菊池さんは、自分も宗教2世で、親の言う教えがほかの子と違うことに気づいて悩んで、そこから脱退した。
そのときになんの圧力もくわえられなかったことをツイートしている。

だから、話題に乗っかった人が

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【本屋大賞】厄災はアポをとらない。吉村昭「破船」

【本屋大賞】厄災はアポをとらない。吉村昭「破船」

2022年本屋大賞「発掘部門」の「破船」を読むと、吉村昭という人は残酷なほど毎回同じことを書いているんじゃないかと思った。

同じことというのは、たとえば家に武器を持った人が突然来たら、そこにいた人が犠牲になるということだ。
仏様をおがんでいたから助かるとか、ハリウッドみたいに少女と動物は助かるとか、そんな因果関係のないことは起こらない。

災難は急にやってきて、たまたまそこにいた人が犠牲になり、

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