健康は星の数① ~中医学~
以前の記事、『健康になる方法は星の数ほどある』の具体例を、今回から少しずつ小出しにして説明していきます。筆者がホリスティック栄養学のディプロマコースで学んだ内容を簡単にまとめて、お伝えしたいと思います。英語で学んだ内容を日本語に訳していますので、専門用語などの翻訳がおかしい場合は…暖かい気持ちで許してあげてください…(←)
第一弾は「中医学」です。中医学とは現代でも行われている中国発祥の伝統医学のことで、2500年以上の歴史があると言われています。インド発祥のアーユルヴェーダとともに、最も多くの人々に認知されている、世界最古の医学です。日本でおなじみの漢方薬は中医学で用いられる薬草処方が中国から伝来して日本の地で発展したものです。こちらの『通院・服薬だけが治療ではない~筆者の実体験~』の記事の中でも少しだけ触れましたが、筆者も実際に中医学で扱われている複数の治療法と健康法を実践することで、心身の不調が改善された経験があります。中医学では不調の根本を治療するために、ホリスティックなアプローチが行われますが、「ホリスティックって何?」という方はこちらの記事を読んでみてください。そして中医学ではその特徴として「気」を治療の対象とし、患者の身体・心・精神の全体的(=ホリスティック)なバランスを整えることを目的としています。
【「気」って何?】
「気」とか聞くと、「怪し〜んですけど〜…(*_*)」とか思っちゃいますよね(笑)でもまぁまぁな頻度で私たちの生活の中でもよく、「この場所は良い気が流れているね〜」とか「この部屋はなんだか気が滞っている…」とか耳にしますよね。その「気」と同じで、中医学では私たちの身体の中で「気」が循環していると信じられています。ちょうど血液などの体液と同様に。そしてこの「気」は「生命のエネルギー」と理解されます。日本語には「生気」ということばがありますが、ちょうどそのようなイメージでしょうか。東アジア圏に生きる私たちにとっては、割と受け入れやすい概念かなと思います。
中医学の「気」には以下に書くとおり、主に2種類あります。①生来の気 :ひとりひとり持って産まれてきた気であり、限りのあるもの。両親から受け継がれてきた気で、DNAやRNAの情報と関連しています。②後天的な気:人生を通してつくり出していく気。この気は私たちのライフスタイルや身体的な運動、食事のクオリティや感情のバランスなどによって決定されます。中医学においてこの「気」は総合的な健康のために必要不可欠であると考えられています。
【経絡 = ツボを繋いだ「気」の通り道】
気は全身の経穴(ツボ)と、そのツボ同士を繋いでできる筋道である経絡に沿って、私たちの身体中を循環しています。したがって、全身のバランスを良い状態に保つためには、適切な「気」が必要となるわけです。この「気」の循環システムというのは、目に見えないエネルギーがお互いに繋がっていると同時に、全身を通るすべての原子、細胞、腱、骨、そして臓器にも接続されているという、莫大なネットワークなのです。
私たちの身体には左右それぞれに12個ずつ主要なツボがあり、それらのツボは左右対象に配置されています。それぞれのツボはひとつひとつの内臓に対応しているので、決まったツボを集中的に治療することで、特定の症状を解消するのを助けるというわけです。各臓器はそれぞれ生理学上の機能と、そして不可視のエネルギーの働きを持っていて、他の臓器システムと影響を受け合うだけでなく、より大きな経絡のネットワークにも依存しています。
ツボは多くの中医学の治療法で活用され、指圧療法や鍼灸治療においては、頭の先から足の裏にわたって身体中に位置するツボを施術することを目的とします。インターネット上にはツボや経絡の位置を示した様々な画像がアップされていますので、チェックしてみてください^_^ そして自分で色々と押したりなでたり…してみることをオススメします♪
【中医学によって治療されうる症状】
中医学では「気」を回復させることが病気の進行を防いだり、既に起こっている炎症、負傷、痛み、そして病気を治療することに役に立つと言われています。この医学システムは世界中で数え切れないほどの症状を、何世紀にもわたって治療してきています。中医学は特に、慢性的および変性的な病状のような、複数の要因をもつ複合疾患に有用です。以下に中医学で治療されうる一般的な症状をまとめます。
皮膚病:にきび、湿疹、皮膚炎、乾癬、蕁麻疹
リウマチ性疾患:変形性関節症、関節リウマチ
泌尿器疾患:慢性膀胱炎
精神疾患:不安症、うつ
胃腸障害:潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、慢性便秘
婦人科系疾患:更年期、月経前症候群、月経困難症、子宮内膜症、不妊
感染症:HIV、肝炎
慢性疾患:慢性疲労症候群、線維筋痛症、偏頭痛
呼吸器疾患:慢性咳嗽、喘息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎
神経疾患:パーキンソン病 など
以上のような不調について自分で生活習慣を変えたり、食事や運動などの療法を続けたりしても症状の改善が全くみられない場合、中医学の医師に相談して適切な治療を受けることを選択肢としてぜひ、考えてみてください。
【実際の治療、どんな種類がある?】
「気」のバランスを整えるために、中医学には様々な治療のスタイルがあります。症状によっていくつかの種類の治療を組み合わせることが一般的です。自分の身体や心は常に変化しますから、その時の自分に合った療法を選びましょう。以下に主な治療法をまとめました。
カッピング(吸い玉法):ガラスのカップ(玉)を使用した古代中国から伝わる手法で、血液とリンパの循環を促し、筋肉の緊張を解放し、解毒作用を高め、そして身心の治癒効果を促進します。特に筋肉に関連した全身の痛みやけいれんに使われることが多いです。カップに熱気を溜めるか、または吸引を使用して、痛みのある箇所にそのカップを設置することで部分的な真空状態を作り出します。その吸引の結果血液とリンパの流れが増大するという仕組みです。カッピングははり治療と組み合わせて活用されることが多いです。
はり療法:世界で最も古く、そして最も多くの人に活用されている治療法のひとつで、針を身体の特定のポイントに挿入する手法をとります。針に電気を通したり、挿入した針に指などで軽く刺激を与えるやり方もあります。はり治療は陰と陽のバランスを保つといわれているので、心身ともに健康を回復させる助けになると同時に、全身の「気」の流れを平常に保つ働きもあります。
指圧療法:はり治療とほぼ同じ手法ですが、針を使用しない代わりに圧力を使います。指でツボを押すことで、その圧力が作用して血流を促し、緊張を解きほぐし、「気」の流れを助長します。その結果、身体そのものが持つ自然治癒能力を刺激します。
きゅう療法:ツボの近くでヨモギを燃やすことによって、「気」の流れを改善する治療法です。お灸ですね。はり治療と共に行われることが多いです。ヨモギを燃やすことは寒気を追い出し、ツボを温めると言われており、その結果として血液と「気」のより良い流れを導きます。
太極拳:古代から伝わる武術のかたちのひとつで、心と身体のバランスをとるのを助けます。柔らかくゆっくりな動きの中で、呼吸法や瞑想、そしてリラックス法が使用されます。
薬草処方:抗菌、抗ウイルス、そして免疫調節の特質を持つような、非常に多くの種類の薬草を使う医学システムです。日本では漢方薬がおなじみですね。お茶やカプセルで服用するのが一般的です。
気功:古代から続く治癒システムで、身体の動きや決まった姿勢、集中された意図(瞑想)、そして呼吸法を活用し、「気」の状態を高めます。その結果として全体的な健康の感覚を改善することが目的です。身体の「気」の流れを拡大することは、「気」の閉塞による慢性的な不調を軽減します。
推拿(中国伝統整体):この治療はマッサージや指圧などのあらゆる身体治療のコンビネーションです。「気」の流れを妨げている妨害物を取り除くためにツボや神経、筋肉などに圧力をかけます。おす、さする、こねる、まわす…などを特定の部位に行うことで筋肉とツボの動きを刺激し、ブロック(妨害物)を開放します。
…とこんな感じでいろいろありますから、自分に合うもの、なにより続けられるものを選べると良いですね。施術者はまず、既往歴や食事・睡眠の習慣など、患者の全体的な健康の状態について知ろうとします。診察を通して施術者が、患者の血色やふるまい、動作や声の調子、そして全体の外観などの、言葉では説明できない部分に注意を払っていることもわかるでしょう。体温や脈を測るのはもちろんのこと、舌や肌の感覚を観察したり、症状によっては筋肉の張り具合や内臓の触診をします。このような診察が、患者ひとりひとりにピッタリと合った施術プランをつくりあげていきます。
【おわりに…】
さて、中医学について簡単に書きましたが、いかがでしょうか。中医学の治療法の有効性を示す科学的な研究結果は、多数報告されています。もし長い間なんらかの不調を抱えていて、何をしても改善されないという場合… 中医学の治療法のいくつかを継続して試してみてはいかがでしょうか。必要な人にこの情報が届きますように^_^
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