【第8日】消えゆく光の瞬間
昼下がりのオフィスで仕事に追われていると、携帯電話が静かに振動した。画面を見ると、母からの着信だ。普段、昼間は会議や業務で電話に出られないことが多いため、母には夜9時以降に連絡してほしいと伝えてある。だから、この時間帯の電話は何か緊急の用事があるに違いない。
急いで電話に出ると、母の少し沈んだ声が聞こえた。「スマホの右上の数字が19から18に減っていくの。どうしたらいいのかしら」と心配そうに言う。おそらくバッテリー残量のことだろう。私は充電ケーブルが正しく差し込まれていない