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#読書感想文 エドワード・アシュトン(2023)『ミッキー7』
エドワード・アシュトン、大谷真弓翻訳の『ミッキー7』(2023年、ハヤカワ文庫)を読んだ。
地球に住めなくなった人類は、散り散りに宇宙の惑星を開拓しながら生きている。ミッキーは歴史が好きで、歴史学者になりたかったが、そんな職業はすでにこの世に存在していない。歴史は検索すればわかることだから、学問として取り扱われなくなったらしい。物理学や宇宙工学、農学、植物学などを専門としている人は重宝されている
#読書感想文『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』
漫画『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』を読んだ。原案が下駄華緒、漫画が 蓮古田二郎。
火葬とは現代日本人にとって最も馴染み深い埋葬方法である。「荼毘に付す」に対して「野辺送り」がある。今では火葬が一般的で、土葬は集落の慣習として一部の地域に残っている。
滝田洋二郎監督の映画『おくりびと』(2008)で納棺師、湯灌師という、死の周辺にある職業が注目されるようになったと思う。今回、読んだ『
#読書感想文 益田ミリ(2023)『ツユクサナツコの一生』
益田ミリの『ツユクサナツコの一生』を読んだ。新潮社から2023年6月に発売された単行本である。
どこかで話題になっていたし、(ネットやSNSを何の気なしに見ていて出会う本は情報源を忘れてしまうことが多い。まずいと思っている)それにわたしは益田ミリさんが以前から好きだったので、軽い気持ちで読め始めた。
すると、一読して号泣。自分が泣いた理由がよくわからなくて、もう一度読んでみたが、また号泣してし
#読書感想文 猿渡由紀(2021)『ウディ・アレン追放』
猿渡由紀さんの『ウディ・アレン追放』を読んだ。2021年6月に文藝春秋より出版された本である。
最近、ウディ・アレンの作品がAmazon Primeで再び見られるようになってきた。2024年1月19日には最新作『サン・セバスチャンへ、ようこそ』が劇場公開される。
ウディ・アレンは、恋人であったミア・ファローの養女であるディランに性的虐待をしたとして、1992年に裁判が起こされ、その当時は無罪に
#読書感想文 岸本聡子(2022)『私がつかんだコモンと民主主義 日本人女性移民、ヨーロッパのNGOで働く』
東京都の杉並区長である岸本聡子の『私がつかんだコモンと民主主義 日本人女性移民、ヨーロッパのNGOで働く』 を読んだ。
2022年7月に晶文社から出された単行本である。
本書では、岸本聡子が政治家になる前の活動家時代のことを知ることができる。彼女は1974年生まれの、いわゆるロスジェネ。彼女の5人きょうだいはみなロスジェネで、正社員になれたのは弟さん一人だけだと言う(p.72)。何とも過酷だが