楽器練習の継続は「仕組み化」で実現する - プロの音楽家が明かす15年の習慣術
音楽を奏でる全ての人へ。「継続は力なり」という言葉は、誰もが知っているものの、実践することの難しさも痛感している方が多いのではないでしょうか。私自身、作曲家として、また大学教員として20年以上音楽と向き合ってきましたが、その過程で培った「継続のための仕組み作り」について、今回は詳しくお話ししたいと思います。
継続の本質は意志力ではない
多くの人は、「やる気」や「根性」で継続できると考えがちです。しかし、それは大きな誤解です。脳科学の見地からも、意志力だけで習慣を維持することは極めて困難だとされています。むしろ重要なのは、日常生活に自然と組み込まれる仕組みづくりなのです。私の場合、週に一度、土曜日の朝9時から11時までの2時間を、決まってピアノ練習に充てています。近所のスタジオを予約し、グランドピアノを借りるために3,300円を支払います。この金銭的コミットメントが、実は継続の大きな助けとなっています。「せっかくお金を払ったのだから」という思いが、モチベーションの低い日でも足を運ばせてくれるのです。
効果的な練習法の確立
練習時間を確保できたとして、では具体的にどのように練習するのか。これも重要なポイントです。私の場合、以下のような独自の練習方法を確立しています:
基礎練習へのこだわり
単に好きな曲を弾くのではなく、あえて「きつい」練習を選択します。具体的には、子供向けのハノン練習曲を独自にアレンジし、1番から10番まで、それぞれ4パターンの変奏を加えて練習します。
テクニカルな工夫
フィンガーウェイツという特殊な練習器具を使用します。これは各指に最大30グラムの重りを付けられる指輪状の器具で、両手で合計300グラムもの重さを追加することができます。まるでドラゴンボールの重力トレーニングのような感覚です。
リズム感の強化
通常の4分の4拍子を、2拍子的な感覚で捉え直すなど、リズムパターンにも工夫を加えています。これにより、単調になりがちな練習に変化をつけ、集中力を維持することができます。
オンライン配信による緊張感の創出
練習に更なる意味を持たせるため、私はVoicyでの配信も活用しています。これは約2年前から始めた取り組みですが、予想以上の効果がありました。配信することで適度な緊張感が生まれ、より集中した練習が可能となったのです。
配信の準備と環境整備
配信のための機材は常にスタンバイ状態にしています。電子ピアノの音をミキサー経由でiPadに接続し、30秒程度で配信開始できる環境を整えています。この手軽さも、継続の助けとなっています。
夜間の即興演奏配信
最近では、夜9時半頃からの即興演奏配信も行っています。その日の気分や、聴いていた音楽からインスピレーションを受けた時、即座に配信を始めます。この即興性が、かえって練習の継続性を高める結果となっています。
15年の継続から見えてきたもの
このような練習方法を約15年続けてきて、見えてきたことがあります。完璧を目指すのではなく、自分のペースを守ることの大切さです。毎日練習できないことを自責する必要はありません。週に一度であっても、その質を高め、確実に実施することの方が重要なのです。
継続のための具体的なアドバイス
決まった曜日・時間を設定する
金銭的なコミットメントを作る
練習内容を構造化する
適度な緊張感を持たせる
記録を取り、振り返りを行う
最後に:あなたなりの仕組みづくりへ
私の方法は、あくまでも一例です。重要なのは、自分の生活リズムと相性の良い仕組みを作ることです。無理なく続けられる方法を見つけることが、長期的な成功への近道となります。始めは小さな一歩からで構いません。たとえば、毎朝5分だけでも楽器に触れる時間を作る。それを徐々に拡大していく。そうやって、自分なりの「継続の仕組み」を作り上げていってください。音楽は、私たちの人生を豊かにしてくれる素晴らしい贈り物です。その贈り物を大切に育てていくための「仕組み」について、今回お話しさせていただきました。皆さんも、ぜひ自分なりの継続の仕組みを見つけ、充実した音楽ライフを送っていただければと思います。
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