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ぐるぐる アイコンはちりりんごさん(@spicyapplejamAN)が描いてくださいました。

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マガジン

  • アークナイツ考察

    アークナイツの考察記事です。

  • 【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射 翻訳

    アークナイツ大陸版の統合戦略#3「水月与深蓝之树」 追忆映射(月次)の日本語翻訳です。

最近の記事

【アークナイツ】「鉱石病感染者差別」考察—安全保障とスティグマについて

アークナイツにおける大きなテーマである「差別」。その主たる対象はテラの各地に蔓延している鉱石病感染者たちである。 ストーリーでは鉱石病感染者に対する差別が描かれることも多く、プレイヤーはそういった差別を是正する組織であるロドス・アイランドの立場で物語を俯瞰する。そのため、多くのプレイヤーは鉱石病差別が偏見に満ちた不合理なものだと認識しているはずだ。 しかし、その一方で鉱石病がもたらす災禍が実際にテラの世界で生きる人々にとって脅威であることも事実である。したがって、単に鉱石

    • 【アークナイツ】「サルカズ」考察―テラ人類とサルカズについて

      「アークナイツ」の大きなテーマには「差別」がある。 メインストーリー第八章まではウルサスのチェルノボーグ、炎国の龍門を舞台として鉱石病感染者のみで構成される感染者組織レユニオン・ムーブメントによる感染者の復権運動が描かれた。 第九章以降から現在展開されているストーリーはヴィクトリアを舞台としたサルカズによる復権運動が描かれている。彼らの復権運動は暴力を用いて行われており、それゆえにストーリーにおいては「敵」として描かれている。 しかしそのような暴力による復権運動に至るま

      • 【アークナイツ】『ダーティマネー』考察―「正しさ」の値段について

        『ダーティマネー』の舞台はクルビアの小規模な居住区域に発展した採鉱プラットフォームであり、動力炉の爆発事故によりクルビア東部の林に座礁しているデイヴィスタウン。政府の財政は破綻し、住民はみな生きるために銀行に借金をし、長い冬に堪え忍ぶ衰退した移動区画である。 先述したようにクルビアでは源石採掘が可能であり、また鉱石採掘から始まったという歴史が存在するものの、『ダーティマネー』の舞台となったデイヴィスタウンは座礁したことでもはや新たな鉱脈を探すことが不可能となり、採掘プラット

        • 【アークナイツ】『懐黍離』考察—「人」の営みと黍について

          炎国北部の農業地帯「大荒城」には、千年以上この地に「人」として居座り、人間と共に農作に励む歳の代理人「シュウ」がいた。 本記事は炎国と巨獣の歴史を振り返りながら「歳」とその代理人はどのような存在なのか、そして『懐黍離』で描かれたストーリーについても考察していくものである。 「歳」についてまず「歳」とは何ものかについて、炎国の誕生の歴史を踏まえながら簡単に見ていく。 炎国の誕生 炎国の領土にはかつて「神」が存在していた。この神は現在「巨獣」と呼ばれる存在だが、巨獣の住む

        • 【アークナイツ】「鉱石病感染者差別」考察—安全保障とスティグマについて

        • 【アークナイツ】「サルカズ」考察―テラ人類とサルカズについて

        • 【アークナイツ】『ダーティマネー』考察―「正しさ」の値段について

        • 【アークナイツ】『懐黍離』考察—「人」の営みと黍について

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        • 【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射 翻訳
          4本

        記事

          2024上半期読了本・論文紹介

          本記事は筆者が2024年上半期に読み終えた本や論文(判例評釈は除く)の一部を簡単に紹介するものである。司法試験や個人の興味も含めて、アークナイツ関係なしに読んだ本も含む。 これらの本が私の思想を作っているので、これらの本を読めばだいたい私が書こうとする考察記事は書けると思われる。 1月①スーザン・バンディズ編、橋本祐子・小林史明・池田弘乃訳『法と感情の哲学』(勁草書房、2023) 「法と感情(Law and Emotions)」という研究領域に関する論文集。従来、それこ

          2024上半期読了本・論文紹介

          「アークナイツ」の二次創作活動に向けての著作権法に関する簡易解説

          本記事はアークナイツの二次創作を行ううえで欠かすことのできない著作権について、簡単に解説することを目的とするものである。 *以下特別の断りがなければ条文は全て著作権法のものとする。 本記事における著作権法の理解は主として、以下のテキストに準拠する。 島並良、上野達弘、横山久芳著『著作権法入門 第3版』(有斐閣、2021) 文化庁 令和5年度著作権テキスト https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/9

          「アークナイツ」の二次創作活動に向けての著作権法に関する簡易解説

          【アークナイツ】『ミヅキと紺碧の樹』考察—「惑星改造計画」と旧人類について

          統合戦略#3『ミヅキと紺碧の樹』(以下、「IS3」という。)のEND04では「惑星改造計画」なる単語が登場した。 この単語は、スカジがイシャームラとして覚醒し、シーボーンがテラの陸地を征服、人類が衰亡の一途を辿るなかで、シーボーンによってテラの緑化、気候の安定、源石及び天災の消滅が起こり、結果としてテラが楽園へと作り変えられたという文脈のなかで登場する。 本記事はこの「惑星改造計画」について現時点(2024年2月21日公開)で可能な考察を行うことを目的とする。 END0

          【アークナイツ】『ミヅキと紺碧の樹』考察—「惑星改造計画」と旧人類について

          【アークナイツ】「ラテラーノ」考察—サンクタの楽園とその虚飾について

          『空想の花庭』では「楽園」という言葉が何人もの登場人物の口から発せられた。この言葉は先立って開催されたラテラーノイベント『吾れ先導者たらん』においても登場するが、同時に「偽り」や「まやかし」、或いは「楽園」であることへの疑問という否定的な要素も含まれていた。 本稿では『吾れ先導者たらん』及び『空想の花庭』の2つのラテラーノに関するイベントを題材として、ラテラーノという楽園とその虚飾について考察する。 「サンクタ」の誕生「サンクタ」の誕生 まずはサンクタという種族が如何に

          【アークナイツ】「ラテラーノ」考察—サンクタの楽園とその虚飾について

          2024年の抱負—徒然なるままに書くとこうなる。

          新年明けましておめでとうございます。 元旦から地震に遭い、実家の本棚が倒れて本が折れたり、ハンガーラックが破損してアウターを掛けるところがなくなったり、大事にしていた硝子細工の置物が砕けたりしましたが、私は元気です。 新年早々散々な目に遭いましたが、幸いにも私の実家のある地域は被害も小さく、3日には通常通りの生活を送ることができるようになりました。 さて、新年といえば往々にして新年の抱負を述べるという慣習があります。特に書く予定もなかったのですが、とある人がnoteで書

          2024年の抱負—徒然なるままに書くとこうなる。

          【アークナイツ】「DWDB-221E」考察—先史文明の発明と「魔王」「源石」の関係について

          本記事ではアーミヤのモジュール「DWDB-221E」について、テキストから読み取れる情報と「魔王の力」および源石に関しての考察を試みる。 DWDB-221Eについて テキストの解読 アーミヤのモジュールテキストより、これまで統合戦略で登場した秘宝「文明の存続」の本来の名が「DWDB-221E」であること、またこれが先史文明の研究者の手によって開発されたものと分かる。 その役割は女性研究者の「それは、私たちの時代やこれからの時代を、どう記録するのかな?」との発言と、「だ

          【アークナイツ】「DWDB-221E」考察—先史文明の発明と「魔王」「源石」の関係について

          【アークナイツ】雑記—考察サーバー「ロドスの図書館」についての記録

          当該記事では、私が管理人を務め、7/30を以て解体したアークナイツ考察サーバー「ロドスの図書館」(以下「図書館」という。)について、覚えている限りの活動と、失敗点、仮に今後同様のサーバーを立ち上げようとする人に向けてのアドバイスを記そうと思う。 発足図書館設立のきっかけは、とあるYoutubeチャンネルにゲストとして呼んでもらった時のことである。 「アークナイツファンラジオ」(なお、当時は「PRTSラジオ」の名であった。Twitter/YouTube)の番組『アーミヤのい

          【アークナイツ】雑記—考察サーバー「ロドスの図書館」についての記録

          【アークナイツ】『シラクザーノ』考察ー法と秩序の正統性からみるシラクーザ

          イベント『シラクザーノ』では、マフィアが全ての公共事業の影に潜み、行政を、司法を、国民を支配する国「シラクーザ」が描かれた。 暴力による支配が伝統と化したシラクーザで起きた事件を描く本イベントでは、ミズ・シチリア、マフィア、狼主による支配に抗う人々の姿が描かれた。 そこで本記事ではシラクーザを覆う秩序になぜ人々が従っていたのか、その根拠は正しいのかという「正統性」の問題に着目し、またそれに反抗した人々について考察をしていきたいと思う。 シラクーザの歴史本題に入る前に、ま

          【アークナイツ】『シラクザーノ』考察ー法と秩序の正統性からみるシラクーザ

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:ミヅキ『童年的终结』翻訳

          是否终有一天,我们会起身反抗交予我们无解谜题的—— 答えのない謎を与えてきたモノに反旗を翻す、僕たちにそんな日は来るのだろうか Part1腐化之心也好,不融的冰山也好,蔓延的枝条也好,如今都不复存在了。 腐化の心も、不融の氷山も、蔓延の枝条も、今となっては全て消えて無くなった。 始源的命脉已经彻底失控,在趁伊莎玛拉与水月两败俱伤,祂将初生逐一吞噬之后,“存续”成为了唯一的真理。祂将一切生命皆悉换算成资源,忠实地执行着包容与管理。万物是如此井然有序——因为几乎所有拒绝归于此

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:ミヅキ『童年的终结』翻訳

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:スカジ『碑文倒影』翻訳

          不规则石块的每一个切面,都显现出一个异位同形的自我。 不規則な石の切断面に、異なる次元の同じ姿の自分が映る。 Part1斯卡蒂浮上了水面。 スカジは水面に浮上した。 在她身后,跟随着几只刚刚诞生的海嗣。 彼女の後ろには、生まれたばかりのシーボーンが何体かついてくる。 它们并非斯卡蒂的子代,但当亲代仍在海底进行繁殖活动时,总得有人负责管理与抚养它们。 それらはスカジの子どもではないが、親世代が海底で繁殖活動をしている時は、誰かが面倒を見て育ててやらなければならない。 于

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:スカジ『碑文倒影』翻訳

          【アークナイツ】『翠玉の夢』考察ー平等の定義から見るドロシーの理念

          イベント『翠玉の夢』(以下、「本件イベント」という。)で、ドロシー・フランクスは「真の平等」を目指して359号基地での実験を行った。同時に彼女が技術を継承したローキャン・ウィリアムズもクルビアが「皆が生まれながらにして平等であれるような国」であって欲しいと願っていた。 サイレンスやフィリオプシス、エレナといった感染者でありながらライン生命で働く者たちがいて、サニー達のように感染者となったことで開拓者とならざるを得なかった者がいた。両者を分けたのは、企業にとって感染者でありな

          【アークナイツ】『翠玉の夢』考察ー平等の定義から見るドロシーの理念

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:グレイディーア『海葬』翻訳

          她试图回眸欣赏自己的人生。 自己の人生を振り返り、歓楽しようとする。 Part1凯尔希比她矮一些。 ケルシーは彼女よりも少し背が低い。 走路的速度慢些。话语的温度低些。 歩く速度も遅く、言葉の温度はより低い。 歌蕾蒂娅跟在她的身侧,听凯尔希反复说起那些古老的故事。劝诫,警告,教诲。她们并没有相识很久,但凯尔希展现给她看的所有,已经足以证明她的强大。 グレイディーアは彼女のそばに寄り添い、ケルシーが繰り返し語る昔話に耳を傾ける。訓戒、警告、教誨。二人はまだ知り合って間もな

          【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:グレイディーア『海葬』翻訳