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【アークナイツ】『懐黍離』考察—「人」の営みと黍について

炎国北部の農業地帯「大荒城」には、千年以上この地に「人」として居座り、人間と共に農作に励む歳の代理人「シュウ」がいた。

本記事は炎国と巨獣の歴史を振り返りながら「歳」とその代理人はどのような存在なのか、そして『懐黍離』で描かれたストーリーについても考察していくものである。


「歳」について

まず「歳」とは何ものかについて、炎国の誕生の歴史を踏まえながら簡単に見ていく。

炎国の誕生

炎国の領土にはかつて「神」が存在していた。この神は現在「巨獣」と呼ばれる存在だが、巨獣の住む土地にも人間がおり、人間による文明の興りがあった。そのような文明が興り始めた混乱期に「炎」という人間が国を治め、「炎国」という名を授けた。これが炎国の始まりとなる。

アークナイツ特別PV「炎:劫争い」

しかし、「炎」の早逝により炎国は戦乱の時代へと突入することとなる。この戦乱の時代を治めたのが「真龍」と呼ばれる炎国の皇帝である。

アークナイツ特別PV「炎:劫争い」

「真龍」は人間の世を平定するに至ったものの、その裏にはある一柱の神、すなわち「歳」が戯れで密かに人間の争いに加担していたという事実が存在していた。

その後「真龍」は自らが治める炎国で人々が天災の苦しみに喘いでいる様を見て、臣民を悲しみ哀れむと同時に次のように考えた。

「溥天の下、王土に非ざる莫く、率土の浜、王臣に非ざる莫し」と言うが、ならば、なぜあの高みにいる蛮荒の者は、炎国臣民の願いを聞き入れず、炎国臣民の国土を守らないのか?

WR-10 夕 - 戦闘前

「溥天の下、王土に非ざる莫く、率土の浜、王臣に非ざる莫し」とは『詩経』の小雅・北山之什の一節に由来する言葉であり、「大いなる天の下、王の土地でないものはなく、遍く地の果てまで、王の臣民でないものはいない。」という意味の言葉である。

陟彼北山,言采其杞。偕偕士子,朝夕从事。王事靡盬,忧我父母。
溥天之下,莫非王土;率土之滨,莫非王臣。大夫不均,我从事独贤。
四牡彭彭,王事傍傍。嘉我未老,鲜我方将。旅力方刚,经营四方。
或燕燕居息,或尽瘁事国;或息偃在床,或不已于行。
或不知叫号,或惨惨劬劳;或栖迟偃仰,或王事鞅掌。
或湛乐饮酒,或惨惨畏咎;或出入风议,或靡事不为。

『詩経』小雅・北山之什

神と崇められ、畏敬崇拝の対象となるあの巨獣たちが炎国の支配者であるならば、臣民を救って然るべきなのに、なぜあれらの者は臣民と炎国の領土を守ろうとしないのかということを意味すると考えれる。

こうした疑問を持った真龍は国と臣民のために、神と崇められる存在を炎国から追放し、炎国を神から人の支配へと移行するための巨獣狩り、すなわち「大討伐」を行うことを決意する。

アークナイツ特別PV「炎:劫争い」

この大討伐において同胞である巨獣を裏切り、人間側に加担したのが歳である。ただし歳の目的は真龍及び臣民を先導し新たな文明を築くことにあり、人間が真の戦争を学んだことに悦び狂喜した存在であることから、必ずしも歳の目的とする文明が炎国にとって良いものかは定かではない。

真龍は自ら兵を率い、国の総力を挙げて大討伐に乗り出した。真龍の命により、空前絶後の奇才たちも、この空前絶後の大討伐に投入された――
そして……予想外だったのは、真龍が最初に見つけた神が、自身の同族や親しい者を裏切り、自身の力をいくつかに分散すると、この稀代の大討伐に参戦してきたんだ。

WR-10 夕 - 戦闘前

こうして歳の助力を得ながら真龍は数柱の神を殺し、それ以外の神を炎国から駆逐することに成功する。大討伐の末に最後に残る神は歳のみとなった。歳は裏切った同胞から痛手を受けており人間に敗北することとなるも、真龍は功績と罪科を相殺する形で歳の命までは取らず、その代わりに炎国に仕えるよう命じた。こうして真龍は炎国の繁栄を人間の手のみに握らせることに成功し、神の支配から人の支配へ移行することとなった。

一方で歳は陵墓へと入り、自らの意識を12個に分割し、それぞれに権限と機能、そして魂を与え、それらに大地での役割、すなわち炎国に仕え、「天地の為に心を立て、生民の為に命を立て、往聖の為に絶学を継ぎ、万世の為に太平を開く」という役割を代行させることとなった。

だが真龍は、功績と罪科を相殺する形で、神の命を取らなかった。その代わり炎国に仕えるよう命じた。天地の為に心を立て、生民の為に命を立て、往聖の為に絶学を継ぎ、万世の為に太平を開けと。
そうして炎国の繁栄は、真龍の手、炎国臣民の手にのみ握られることとなった。
その後、「神」――つまり諸国王朝の勃興に先立って台頭した者たちは、隠遁を選んだ。分割した自らの種の欠片に権限と機能、そして魂を与え、それらに大地での役割を代行させたんだ。

WR-10 夕 - 戦闘前

こうして分割され現在人の姿で存在しているのが、ニェンやシーといった代理人たちである。

「歳」の序列とそれぞれの権能

歳は12の代理人に分割されたが、ここではその長幼の序列と権能を確認しておく。長幼の序は「我とは誰か」という問いの答えを見つけた順版によるところ、12の代理人の序列と現在判明している権能は次のようになる。

  1. 朔(シュオ:武)

  2. 望(ワン:?)

  3. 令(リィン:詩吟)

  4. 不明(女性:法律)

  5. 颉(ジエ、死亡:書法?)

  6. 黍(シュウ:農作)

  7. 績(ジー:紡績)

  8. 不明(男性:医療?)

  9. 年(ニェン:鍛冶)

  10. 不明(男性:?)

  11. 夕(シー:画)

  12. 不明(男性:料理)

以下では名前等は不明だが序列又は権能が判明しているものについてその根拠を見ていくこととする。

まず男女の割り振りについて見ていこうと思う。

ニェンはジーのことを「三哥」、「my third brother」と呼んでいることから、ジーが三男ということになる。

ジー兄、ぶっちゃけ、兄貴と姉貴の中でもオメーのことは結構好きなんだぜ。
三哥,说实话,在几个哥哥姐姐里我还挺喜欢你的。
・You're Sange, my third brother. And truth be told, out of all my older siblings, you're one of the ones I like best.

HS-9 得果 - 戦闘前

他方『将進酒』でニェンがジエを呼ぶときの記載は、原文で「三姐」つまり三番目の姉とされている。EN版も原文に沿って三番目の姉という記載であるため、ジエが三女ということになる。よって長女のリィン、その間に一人、その次にジエが来るという順番となる。

・ジエはその時……
・三姐就是那时......
・That's when our third sis...

IW-ST-3 再対局 - 幕間

その後ニェンが「うちの弟の中に一人」と発言していることからニェンの下に男性が二人いるいることが分かる。

あーあ、腹減ったな。とは言え鍋を打つは易し割烹するは難しってな……うちの弟の中に一人料理上手がいてな、家族みんな集まった時に、なんか食いたいって言やすぐに作ってみせんだよ。あれこそ料理人ってやつだよな!それに比べりゃロドスの料理はなんともまー味気ねーこと。

ニェン会話2

そしてチョンユエが治療のできる弟がいると発言し、これが後述するがニェンの弟に該当しそうにないためニェンの兄となる。ジーは治療の権能とは別の紡績を司るため、ジーが7番目、治療のできる弟が8番目と推測できる。

なお歳の序列については「炎:劫争い」の掛け軸の順番からも推測することができる。

アークナイツ特別PV「炎:劫争い」

下段真ん中にいるのがチョンユエ、角の形からチョンユエの左にいるのが次男のワン、チョンユエの右がリィンだと分かる。左端にはシユウがいることから順番としては次のようになる。

アークナイツ特別PV「炎:劫争い」

この順番に当てはめれば右端が5番目の代理人であり、かつこれのみ掛け軸が消えかかっていることから死亡した代理人であるジエと推察できるという具合だ。上段の順番も同様の法則に基づくためチョンユエの上にあるのが7番目のジーということになる。

それでは以下それぞれの権能を見ていこう。

四女についてはIW-7戦闘後の次の一文の原文から法律の権能を有することが分かる。

あの絵巻を弄び筆を振るう妹か、それとも一字千金、人の生死を思いのまま決める妹か。

IW-7 混乱 - 戦闘後

この一文の後ろは原文で「还是那一字千金口含天宪的妹妹呢?」であり、「口含天宪」とは「口に含むは天の憲法」、すなわち「彼の者が発する言葉は全て法律であり、以て人の生死を決することができる」という意味の言葉である。そのため四女の権能については法律と推定できる。

五女ジエの権能については詳細が明かされていないものの、おそらくは書法だと考えられる。まずジエは沢山の書や法帖を残し、彼女が消えるときにそれらも消えたとされている。彼女が多くの人に読み書きを教えていたとの記載からも彼女の権能が書、或いは少なくとも文字に関わるものであることは確定できる。

ジエはかつてあんなにも沢山の書や法帖を残し、誰もが読み書きできるように教えたいと願ってた。けれど彼女が去ると共に、そうした法帖や書は消えて、私たち以外に彼女を覚えている人はいない。

HS-4 桑麻の交 - 戦闘後

同時にジエの名前は原文で「颉」と記載される。中国の伝説の皇帝に「黄帝」という人物が存在する。いわゆる三皇五帝のうちの一人であるが、この黄帝に仕える人物に「蒼頡」という人物がいる。

蒼頡は大自然の自然現象にもとづいて自らのてのひらに絵を描き、(象形)文字を発明創造したといわれている。ジエのモチーフの一つにこの蒼頡がある可能性は高く、そうであれば上述のものと合わせて彼女の権能が書、或いは文字と考えることはさほど不合理とはいえないと思われる。

八男にはWB-8行動後の記述から上述のように恐らく医療の権能を持つ者が入ると思われる。ただし、これについては末の弟が料理であること、ニェンの弟が大爆発のような騒ぎを毎日起こすとの発言から、ニェンの弟に医療の権能を持つ代理人がいないだろうという消極的なもののため、実際の序列が8番目か10番目かは定かではない。

チョンユエ私に弟がいるのだが、あいつなら、もしかしたら治療が可能かもしれん。

WB-8 未曽有の一戦 - 戦闘後

ニェンアハハ、やるねぇ。こんな大爆発は久しぶりだ! あの毎日似たような騒ぎを起こすクソガキを思い出したぜ!

洪炉示歳・参 - 幕間

司歳台

次いで司歳台について簡単に見ておこう。司歳台は読んで字のごとく「歳を司る」機関である。元々は礼部(炎国の行政機関の一つ)の下部組織として設立されたが、歳の代理人であるジエの死亡を引き起こすことなった次男ワンによる事件をきっかけにその地位が高まり、独立して巨獣問題に対応する権限を与えられることとなる。

ズオ・ラウが所属する「持職人」は司歳台の任務に当たる人間である。持職人については詳細があまり明かされてこなかったが、ズオラウのプロファイル資料によれば「生き物」としての巨獣の謎の解明と、巨獣の動向を探りそれらによる危険を防止することにあるのだろうと思われる。

その時、炎国の学士は気付いた――巨獣が神ではなく、研究によって解明できる「生き物」に近い存在であるのだと。「持燭人」という職務が生まれたのもその時だ。「燭を灯して巨獣の影を払い、各地を巡視して国の災いを察することにある」――これは、持燭人たちの最初の信条である。「持燭」の由来は、明かりを掲げ、巨獣の遺跡へと踏み入れる炎国人の姿から来ているのかもしれない。もちろん、物の理を見抜き、そこに潜む真相を追い求める意味合いも含まれているのだろう。

ズオ・ラウ第二資料

近年司歳台と礼部とでは歳の処遇について意見の食い違いが生じてきているようである。近年ではサルカズによるヴィクトリア事変が起き、ウルサスの動乱は収まる気配がなく、リターニアでは女帝の一人グリムマハとが命を落とした。

こうした混乱期の訪れを眼前にして炎国は国内の巨獣問題の解決として、司歳台では歳の代理人の一掃により千年来の禍根たる歳の危険を除去すべきと主張するのに対し、礼部は十二の代理人の中には有用な才を持ち、また功績を持つ者も多いことからこの主張に反対している。炎国は北の悪魔、南のシーボーンという二つの脅威に挟まれているため、炎国をそれらの脅威から守る手段として歳を残すべきであり、おそらくは望のように明確な炎国への反乱分子のみを除去すべきという主張なのだろう。

ニン
北には異境の祟りがあり、南には海域の脅威がある。なにより歳獣の危険は予測ができない。
……司歳台は常に巨獣問題の優先的解決を主張してきました。
リャン・シュン
ですが礼部の主張は異なるのでしょう。少なくとも完全に一致はしない。
ええ、その通りです。礼部尚書(しょうしょ)の仰る通り、あの十二人の中には有用な才を持つ者がいるだけではなく……功績を持つ者も多くいます。
ですが司歳台は、まさにその巨獣問題の解決のために設立されたものです。
ニン
だからといって、司歳台の言いなりになってばかりではいられませんよ。設立当初の司歳台は、礼部の下部組織にすぎなかったのですからね。
前回、あの代理人が行った囲碁の対局で災いが起きたがために、司歳台の地位が高まっただけです。

IW-9 歳相 - 戦闘前

このように現状歳の処遇については炎国内で意見が割れているところ、『将進酒』のラストにニェンは太傅から十二楼五城とからくり、兵俑の提供をすればその代わりに歳の討伐に朝廷が力を貸すとの取引を持ち掛けられ、これに応じた。

天機閣は「魔」すなわち北から侵食してくる悪魔の防衛拠点としての役割を担うものであり、また北方の国(ウルサス?)に対する防衛線でもある。その外に十二楼五城の建設を求められていることからすれば、十二楼五城は主として対悪魔の防衛拠点と考えるのが妥当であろう。

千年来、天機閣(てんきかく)は止まったことがない。無数の兵士や天師が北の辺境で戦死してきた。しかし正義は一尺、魔は一丈で祟りは絶えず、殺しても尽きぬ。一労永逸はあり得ぬのだ。
最も優れた兵士、最も偉大な将軍、最も叡智ある天師が、みな北へと馳せ参じている。毎年毎年な。
……朝廷はお主に天機閣の外に、十二楼と五城、からくり三千、兵俑百万を築いてもらいたい。

IW-ST-3 再対局 - 幕間

こうして舞台は大荒城へと移ることとなる。以下では大荒城を舞台とするイベント『懐黍離』の内容に触れていこうと思う。

『懐黍離』

大荒城

HS-ST-1 禾下の夢 - 幕間

『懐黍離』の舞台となる大荒城は炎国北部の農業都市であり、また最先端の農業研究が行われる最重要拠点である。大荒城がかような発展をした理由として地理的要因が挙げられる。

大荒城は地理的に特殊な場所にあり、源石汚染の少ない極めて稀な土地であったため、古来より炎国にとって重要な穀倉地帯です。

HS-1 大荒へ - 戦闘後

農作と天災の関係についてはワンチィンのプロファイル資料の記載が簡潔で分かりやすくまとめられている。

古くから人々は、生存のために天災と土地を奪い合ってきた。天災は人々の住処や水田を破壊する。一度源石に汚染されてしまった土地では、再び作物を育てるのが非常に困難となる。そのため昔は、天災の発生がしばしば大飢饉の発端となっていた。移動都市が発明されて以降、多くの農業学者は、移動区画での食料生産率を高める研究に重きを置いてきた。

ワンチィン第三資料

こうした天災による源石の土壌汚染が少ない大荒城は農作にとって極めて稀で重要な土地であるが、大荒城のみで炎国全ての食料を賄うことは不可能である。そのため大荒城天師府の一部の天師は源石汚染に強い作物の品種改良に努めている。

しかし大荒城天師府の一部の天師は、今もなお源石耐性の高い作物の品種改良を絶えず試みている。今まで無数の学者が、そんなことは不可能であると結論を下してきたにも関わらずだ。
移動区画の面積には結局限りがある。そのため、この困難を極める研究で成果をあげることこそが、より多くの土地を利用可能にして、炎国に住む人々の腹を満たす唯一の方法であると、大荒城の天師たちは信じている。

ワンチィン第三資料

ホーシェンが行っている「万頃」もその一環であり、そこでは25%の源石活性率を超える環境でも育つ作物を開発することを目的としたものである。

このような大荒城には神農信仰が存在している。以下では神農信仰と神農について触れていこう。

十二楼五城

大荒城には「十二楼五城」の建設が進められている。大荒城は現在移動都市全体を使って巨獣を模し、擬似的な巨獣を作ろうとしている。この擬似巨獣こそが十二楼五城である。

やっぱり想像ができないわ。偽の体で「本物と偽る」ことは難しくない。でも所詮はただの「偽り」なのよ。
・・・・・・
なのに、この十二楼五城が、どうすれば私たちの住み家になるのよ……

HS-ST-1 禾下の夢 - 幕間

この十二楼五城は悪魔に対する防衛のみでなく、ニェンたちが歳を討伐した後に歳の本体に代わり器となるもの、すなわち歳が始末された後もニェンたちが消滅しないようにその存在を繋ぎとめるための役割も果たすものとなる。

十二楼五城の中核を担うのは「巨獣の心臓」と呼ばれるものである。巨獣の心臓は十二楼五城のエネルギー源となるコアエネルギーモジュールであり、同時に歳の代理人を支えるエネルギーの器となるものであった。

この十二楼五城については「単なる詩の抜粋では」ないとの記載、また「天上の白玉京、十二楼五城」との表現、そしてワン侍郎の発言から、恐らくは李白の詩の一節から持ってきたものと考えられる。

天上の白玉京、十二楼五城……仙人が我が頭を撫で、髪を結い長命のすべを授けた……
天上白玉京,十二楼五城......仙人抚我顶,结发受长生......

HS-9 得果 - 戦闘後

天上白玉京。 十二樓五城。 仙人撫我頂。 結發受長生。

李白「经乱离后天恩流夜郎忆旧游书怀赠江夏韦太守良宰」
乱を経て離れて後天恩により夜郎に流さる旧游を憶い懐を書し江夏の韋太守良宰に贈る

非常に長い詩であるため内容は省くが、ここで重要なのは「天上白玉京。 十二樓五城。」の箇所である。道教において中国古代には伝説上の山岳としての崑崙山が存在し、天上には白玉京、崑崙山の十二樓五城には不老不死の神仙が住むと信じられていた。

巨獣の姿を模す要塞に十二楼五城という名がつけられたのは、かつて炎国で巨獣が神と崇められていたことにちなんでいるのかもしれない。

神農

中国神話における「神農」は「炎帝神農」のことをいい、太陽神でありかつ農耕と医療の神でもあった。特に農耕の面に目を向けると、次のような話が残されている。

炎帝がこの世に現れたとき、大地の人類はすでに非常にふえており、仁愛に満ちた炎帝は人類に、どのように五穀の種をまき、自分の労力で生活のかてを手に入れるか教えた。そのころは、みんないっしょに働き、たがいに助け合い、奴隷も主人もなく、採集した果実はみなで平等に分け合い、兄弟姉妹のように仲むつまじく暮らしていた。また、炎帝が太陽に光と熱を充分に出させ、五穀を生長させた。それ以来、人類は衣食の心配をする必要がなくなったので、みな炎帝の功徳を記念して「神農」という尊称でよぶようになった。

袁珂著、鈴木博訳『中国の神話伝説 上』(青土社、1993)175頁 

テラの大荒城にも神農信仰が存在している。炎国において神農は神話上の人物ではなく実在した人物として伝わっており、炎国の農業理論の創始者で、農業理論と二十四節気の規則を初めて体系的にまとめた人とされている。

千年前から源石汚染が少ない珍しい土地であり、炎国の重要な農地であった大荒城はある年に歴史上例のない天災に見舞われた。これにより大半の土地がひどく汚染されるとともに田畑を荒らす化物も大量に湧き出てきた。こうして何代にもわたる人々の努力が無に帰したとき、人々と土地を救うために現れたのが大荒城の神農と伝えられている。

神農は農民や天師たちを率いてここに住み、土地の汚染を取り除く方法、そして環境に適応できる穀物の種の栽培方法を何代にもわたり研究した。より多くの人を救うため北へ新たな種を探す途上で、神農はこの世を去ったとされている。

神農として崇拝されている人物は、かつて人里に下りてきたばかりのシュウと出会い、かつて荒地だった大荒城を開拓し、彼女に「人」とは何かを教えた一人の女性であった。

神農

彼女は当時の大荒城の人々、シュウと共に荒地の開拓を行ったものの、当時は源石装置はおろか頑丈な鋤すら作るのに苦労する時代だったため、開墾は狭い範囲に止まっていた。数十年で大荒城の田地は二倍になり、毎年の収穫もそれ以上になったものの、それは炎国の同胞の飢えを満たすには十分でなく、晩年彼女は北の大地に源石に汚染された土地でも栽培できるような特別な作物を探しに北へ向かうこととなる。

後述するが、大荒城の北は悪魔による汚染が広がっている土地のため、北の大地へと到達した時点で神農は悪魔に穢されサーミの「崩壊体」のような姿となってしまう。

HS-5 綾羅紡ぎ - 戦闘後

まるで夢のようだ。
彼女は長い道のりを歩き、凍てつく寒さの中で山を越えた。道の果ては見渡す限りの稲田だった。
よく実った稲穂は金のように輝いている。誰がここに植えたのか、なぜここでこんなにもよく育つのかはわからない。
素敵ね。
「ここに留まるといいわ。」
彼女は自分に呼びかける声を聞いた。
いえ……だめ。
彼女はまだ、自分にはやり残したことが、そして帰らねばならぬ場所があることを覚えていた。
彼女は稲穂を拾い上げた。

HS-5 綾羅紡ぎ - 戦闘後

彼女が最後に見た光景は凍てつく寒さの中で見渡す限りの黄金の稲穂であったが、これも悪魔の汚染を受けていたものであり、悪魔に汚染された稲穂が真っ赤であるという記載からすると、この景色も現実のものかは定かではない。

HS-2 神農祭 - 戦闘後

その後神農の想いをシュウが継ぎ、シュウは彼女の望み通り大荒城に残り「人」として農法を後生に伝え、大荒城を悪魔の汚染から千年守り続けることとなる。

大荒城の悪魔

神農となった少女が北から持ち帰った種とその遺体により大荒城は悪魔の汚染にさらされることとなる。

しかし、悪魔は本来サーミの北、或いはウルサス北部のインフィ氷原にあるゲートを通じてテラの現実世界へと現れる。そのため通常は炎国の北部には存在しないと考えられる。


アークナイツ 「DISCOVERED TERRA 3.0」
テラの世界地図の左上にあるものがインフィ氷原。
炎国は右端の上から二番目の箇所。

そのため過去に人間の手によって大荒城の北部に悪魔は持ち込まれたと考えれる。悪魔の欠片が炎国に持ち込まれたのは炎国が人の支配を勝ち取った大討伐の時代であり、これは巨獣に対抗するための手段として持ち込まれたものであったとされている。

北のこの悪魔の欠片は当時の人々がアレに対処するため、手段を選ばず求めた方法であったことを。なのにアレの化身が、今や悪魔の災いを防ぐ手助けをしているとは、実に面白い。

HS-4 桑麻の交 - 戦闘後

つまり大討伐の時代に巨獣に対抗するための方法として悪魔の欠片を炎国に持ち込んだところ、これが大荒城の北部を汚染した。その後神農が悪魔に汚染された作物を大荒城に植えたことで、大荒城の土壌は千年もの間悪魔の汚染に晒され続けた。これを食い止めていたのがかつて討伐の対象であった巨獣「歳」の代理人であるシュウということになる。

このような悪魔の汚染地域がありながらも大荒城を放棄しなかった理由には、やはり大荒城が類をみない程稀な源石汚染の少ない土地であるという理由によるものであった。対岸の土地は悪魔に穢されていようと重要な農地を捨てることは出来ず、炎国の上層部はその事実に目を瞑り続けてきた。

邪祟詭魔の存在は、絶対に一般の民に知られてはなりません。ですが、よりによって源石汚染の少ない類まれな土地がここにあるのです。これはどうしても諦めるわけにはいきませんね。
千年来、ここの人々はあの穢れた土地と、川一つ隔てた地に住んできました。彼らはこの地で耕作に没頭し、世事に構わずそれを千年続けた。

HS-4 桑麻の交 - 戦闘後

大荒城の悪魔の汚染をシュウは抑え続けてきたのだが、その理由は何であるのだろうか。シュウが千年もの間悪魔の汚染を食い止めていたとしたら、彼女は神農が悪魔の種を持ち込んだその時から汚染を食い止めていたことになる。彼女が悪魔に精神を蝕まれながらもその汚染を食い止め続けたのは、やはり神農との約束があったのではないだろうか。

神農はかつて一生をかけてシュウに「人」の気持ちを教えた。神農のおかげで「人」とは何かを学んだシュウは、神農が北に向かう直前に彼女がいなくなったあともこの地に残り、農法を後生に伝え、同胞がお腹いっぱい食べられるようにすると約束をした。

高齢の女性じゃあ、私がいなくなったあと、代わりにここに残ってくれる?
この地の守り神になってもらう必要はないの。ただの「人」としてここで暮らせばいい。
そして、私たちが編み出した農法を、若い子たちに教えてあげて。賢いあなたなら、私よりもずっと上手に教えられるはずよ……
シュウ……
かつて、同胞にお腹いっぱいご飯を食べさせたいの一心だけで、この凍てつく雪原に生涯を捧げたひとりの人がいたことを、誰も忘れたりなんかしないわ。

シュウ回想秘録「何が為に」

シュウ彼女が私に、人と獣の別なんて気にする必要はないって教えてくれた。私でも一人の人間のように生きることができる……一人の人間のように生きるべきだって。
顔の見えない女性でも、あなたがここまで長く残っているなんて思ってなかった。
シュウあなたに約束したことよ。この土地を守って、より多くの人がお腹いっぱい食べられるようにするってね。

HS-8 植因 - 戦闘前

チョンユエ同様に彼女もまた一人の人間によって「人」にしてもらったからこそ、彼女は大事な人が残した土地が彼女の持ち込んだものによって穢されることを良しとしなかった。それゆえに彼女は千年もの間悪魔の穢れを一新に背負ったのではないだろうか。

ジーの計画

歳の代理人ジーは大荒城に悪魔を扇動し、巨獣の心臓を乗っ取り、今回の騒動を引き起こした人物である。

ジーが大荒城で今回の騒動を起こした理由は二つ。一つはシュウを大荒城の地から解放すること、もう一つは次男ワンのために織る布に大荒城を織り込むことである。

①シュウの解放

ジーは歳から分かれた後、シュウに連れられて今の大荒城の地に留まることとなった。その中でジーがシュウや神農、大荒城の地の人々と過ごしながら「人」とは何か、「同胞」という概念を学んでいた。

その後ジーは大荒城を訪れた商人と出会う。ジーはその商人について各地を回り、ある真理を知ることとなる。

天下熙熙として皆利の為に来る。天下攘攘として皆利の為に往く。
法理道徳、信仰名誉、帳簿に書けぬものなど世にはない。

HS-9 得果 - 戦闘前

ジーが学んだ真理は「天下熙熙、皆为利来;天下攘攘、皆为利往。」というもの。これは司馬遷の『史記』に収められた「貨殖列伝」に由来する語である。天下の和楽の賑わいは利益の下に集まり、天下の攘攘の喧騒はみな利のために行くということ。経済的利益の重要性を説き、人々が経済的利益を追求することは合理的であることを肯定したものである。

谚曰:“千金之子,不死於市。”此非空言也。故曰:“天下熙熙,皆为利来;天下攘攘,皆为利往。
諺に「千金の子は市に死せず」とあるがこれは空言ではない。それゆえ「天下は煕々として、みな利のために来たり、天下は壌々と入り乱れて、みな利のために往く』と言われるのだ。

司馬 遷『史记』货殖列传

こうしてシュウや神農のもと大荒城で同胞という概念を学び、商人のもとで利益の追求を学んだジーは、みずからの同胞たる歳の代理人と炎国との間で損益の勘定をした。

姉さん、私は一つ勘定をしました。
長年に渡って我々兄弟姉妹たちはこの炎国で過ごしてきましたが、各々の帳簿の損益はいかがでしょうか。
チョンユエ兄さんは己の道を見つけましたが、どこまでいっても世に受け入れられませんでした。愛せず、憎めず、関りを持てず、損でしょう。
リィン姉さんは逍遥自在。この天地は彼女を縛ることができず、自在の楽しみがある。益でしょう。
それと妹たち、全てを見通しているとも思えませんが、大した悩みがなく、益でも損でもありません。
望(ワン)兄さんについては……いずれにせよ、ジエ姉さんが死んだ。誰がどう言おうと大損です。
我々一家と炎国人は千年付き合い、彼らに指図をされてきました。勘定をしてみれば、我々にとって何の利もありません。
……最たるは、貴女です、姉さん。
貴女は本当に少しの利害損得も考えたことがないのですか?

HS-9 得果 - 戦闘前

こうして炎国に利用されるだけ利用され損ばかりしているシュウをその元凶たる大荒城から解放することがジーの目的であった。彼は郷長たるロン・ワンチィン、工部侍郎のワン・チンチェンと取引をし十二楼五城の完成を急がせた。そしてニェンに対し、シュウの代わりにジーの力を使うのはどうかと提案した。

しかしジーが目的を達成する前に、シュウは命を落としてしまう。ただでさえ千年間悪魔の穢れを抑えつづけた彼女は、十二楼五城の完成への協力と河の上流で起きた源石鉱脈の爆発により起きた源石不純物を含む洪水への対処により疲弊し、悪魔の穢れを抑えきることが難しくなった。これにより表出してしまった穢れを一掃しようとした結果、彼女は一度その存在が消失してしまった。

ジーが以前から十二楼五城の完成に力を貸していたのも、おそらくはこれが完成すれば歳の代理人の器になると考えていたと思われる。シュウの消失後ジーは予定を前倒しし、シュウを歳の本体に還らせないために巨獣の心臓を無理やり起動させることとなる。

②ワンへの協力

ジーはシュウの解放と別に、ワンに協力するため炎国の「国祚」で服を織るという目的も有していた。

HS-8 植因 - 戦闘後

国祚とは国のさかえを意味する言葉である。山河百景を言い換えたことからすれば、炎国の各地の栄えた姿を織り込んだものであろうか。

一方で「祚」という字に天子つまり国の君主の位の意味があることからすれば、国祚は「(炎)国の王の位」ということになろうか。「国祚」で織った布をワンに渡すことが炎国への宣戦布告ということ、ワンが歳に対し次のように思っていたことを考慮すれば、歳が負けた相手たる「真龍」を思い起こさせる国祚は、炎国の地を統べる君主という意味で取るのが妥当なようにも思える。

お前が目を開き、この羽織の模様を見た時に、当時感じたことを思い出すか?
千年前の魂の奥深くにまで入り込んだ恐怖を、骨の髄にまで刻まれた恥辱を。

HS-ST-3 雨風の中で - 幕間

ワンの目的は歳本体を殺しこれに取って代わるというもの。そしてその力を用いて天下数多の生命に「大利」を図るとのこと。詳細は分からないものの、決して自己本位のものではないようである。

アレを殺し、アレになる。
アレの力を用い、この天下の数多の生命のために「大利」を図るのだ。

HS-9 得果 - 戦闘後

いずれにせよワンはジーが「国祚」で織った服を受け取っており、近いうちに歳との決戦に臨むこととなると思われる。

HS-ST-3 雨風の中で - 幕間

シュウの復活

力を使い果たしたシュウは一度この世を去るも、歳の体内に戻されることはなく復活を果たすことになる。シュウが消えた後の会話の記載からすると、シュウと大荒城との繋がりが強かったこと、また巨獣の心臓が歳の代替としての役割を果たしたことがその要因のように思える。この記載からすると、仮に擬似歳が無かった場合、彼女は歳に戻ることもできず、大荒城に縛られ続けることになるのだろうか。

千年よ。これはもはや、貢献なんてものではなくて監禁よ……
たとえあなたの精神がすでに散っていても、この土地との繋がりによってここに閉じ込められ、自由を得られない。

HS-8 植因 - 戦闘前

あなたはこの装置の中に残った一筋の意識、私もその僅かな意識の記憶にすぎない。罔両(もうりょう)が影(かげ)に問う。なんて哀れでしょうね。

HS-8 植因 - 戦闘前

その後彼女は「我とは誰か」という問いへの答えを提示し、再びシュウとして復活することになる。

HS-8 植因 - 戦闘後

ところで、シュウが得た答えとは何なのだろうか。シュウはこの問いの答えは「これまで出会ったもの、見てきたものの中にしかない」という。シュウが大荒城で見てきたものはその地で懸命に生きる人の姿、かつて荒地だった土地から生い茂る豊作の作物だった。

この世は、決して恐ろしいものではない。
けれどあなたは豊作の作物を、笑いさざめく人々の姿を、見たことがない。
あなたは、万物が生を争うのを、苦しみを経ながらも、命の巡る姿を見たことがない。
機会があれば、よく見てみるべきだわ。
私はとうにあの傲慢で孤独な巨獣ではないし、拠り所のないさまよえる魂でもない。
私は大地の数多の生命と共に、地に足をつけて生きたことがある。

HS-8 植因 - 戦闘後

彼女が得た答えがどのようなものかは最後まで明かされていないものの、それは最古の穀物の一つである黍(きび)のように、寒さに耐え、旱魃に耐え、痩せた土地でも生き、未来への種を遺そうと努力する人の営みなのかもしれない。

『懐黍離』について

最後に『懐黍離』というタイトルの意味を探って終わろうと思う。

「黍離」という言葉は中国最古の詩集『詩経』に収められた「黍離」という詩に由来すると思われる。詩の「黍離」は詩経のうち「国風」の部に収められている。「国風」は黄河流域の地方の歌を集めた箇所であり、恋愛や婚姻、農耕といった庶民の生活から生まれた歌が集まるとされる。

黍離離 彼稷之苗 彼の黍は離離たり 彼の稷は之れ苗なり
行邁靡靡 中心搖搖 行邁靡靡たり 中心搖搖たり
知我者 謂我心憂  我を知る者は 我が心憂ふと謂う
不知我者 謂我何求 我を知らざる者は 我何をか求むると謂ふ
悠悠蒼天 此何人哉 悠々たる蒼天 これ何人なるか

彼黍離離 彼稷之穗 彼の黍は離離たり 彼の稷は之れ穂
行邁靡靡 中心如醉 行邁靡靡たり 中心酔うが如し
知我者 謂我心憂  我を知る者は 我が心憂ふと謂う
不知我者 謂我何求 我を知らざる者は 我何をか求むると謂ふ
悠悠蒼天 此何人哉 悠々たる蒼天 これ何人なるか

彼黍離離 彼稷之實 彼の黍は離離たり 彼の稷は之れ実
行邁靡靡 中心如噎 行邁靡靡たり 中心噎ぶが如し
知我者 謂我心憂  我を知る者は 我が心憂ふと謂う
不知我者 謂我何求 我を知らざる者は 我何をか求むると謂ふ
悠悠蒼天 此何人哉 悠々たる蒼天 これ何人なるか

『詩経』「黍離(国風・王風)」
書き下し分は、川合康三編『新編 中国名詩選(上)』(岩波文庫 2015)

この詩は東周の旧王都である鎬京を訪れたところ、かつての王都がきびの生い茂る穀物畑となり荒廃した様を嘆くものといわれているが、一方で人の都が崩れようとも生き続ける植物の力強さをも描いているように見える。

この詩には「黍離」という言葉が用いられているが、ここの「離」は離れるではなく「植物がふさふさと生い茂っている様」を意味する。そのため「彼黍離離」は「あの黍はよく生い茂り、穂が実って垂れている」という意味になる。

ジーが起こした騒動を大荒城の人々はシュウなしで乗り越えた。またホーシェンは源石に汚染された試験田の「万頃」で生き残った苗を見つけた。高い源石汚染率のなかで成長する作物は正に「万頃の良田」を実現し得るものであり、これはシュウと神農が求め続けた「炎国の同胞の飢えを満たす」という夢を叶え得るものであった。

一度消失したことにより大荒城の人々の記憶からシュウの存在は消えてしまったものの、シュウと神農が大荒城に植えた「農作」とそれを受け継ぐ「人」という苗は今や立派な実をつけるにまで生長し、シュウの手を離れて生きることができるまでになった。

『懐黍離』というタイトルは大荒城で力強く生きる人々の姿を植物が生い茂るさまに見立てるとともに、大荒城を離れたシュウがその人々に思いを馳せることを意味するのかもしれない。

結び

以上で『懐黍離』についての考察を終わることとする。「歳」にまつわるエピソードもクライマックスに突入しそうな様を見せており、来年描かれる物語に期待が高まるばかりである。


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