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『インディ・ジョーンズ』に出てきそうな失われた古代帝国にロマンを抱きつつも今観るとちょっとチープで笑ってしまう『海底軍艦』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:20/22
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:-
製作年:1963年
製作国:日本
配給:東宝
上映時間:94分
ジャンル:特撮、SF
元ネタなど:小説『海底軍艦』(1900)
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1306/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
カメラマンの旗中(高島忠夫)と助手の西部(藤木悠)は、ムウ帝国工作員による光國海運の楠見専務(上原謙)と秘書の神宮司真琴(藤山陽子)の誘拐を阻止した。
後日、ムウ帝国から脅迫フィルムが届き、そこには1万2千年前に海底に沈んだムウ帝国が今なお強大な科学力で深海を支配している様子が映し出されていた。
さらに真琴の父、神宮司大佐(田崎潤)が秘密裡に進める万能戦艦・轟天号の建造中止と、ムウの植民地だった地上の返還を要求していた。
【感想】
※以下、敬称略。
「午前十時の映画祭14」にて。1963年の日本映画。「邦画もこんな『インディ・ジョーンズ』でやりそうな映画作るんだ~」とそのスケールの大きさに驚く内容でした。
<ムウ帝国とかいう古代エジプト感ある国>
原作小説は未読ですが、内容としてはほとんどかぶっていないらしいので、別に読んでいなくても問題なさそうです。映画の内容としては、いきなりムウ帝国の使者がやってきて再び世界を掌握しようとするって話でだいぶ唐突な感じなんですけど、昔の東宝ってこういうSF特撮いっぱい作っててロマンあるなって思いました。今全然目にしないですからね、こういうの。
で、そのムウ帝国ってのは、1万2千年前に大地震で海底に沈んだ巨大な国です。長らく滅んだとされていたのですが、実は密かに存続しており、密かって割には地熱エネルギーを使って疑似太陽を作って生活するなど、その技術力はメチャクチャ高度なんですよ。帝国は古代エジプトに似た形で、皇帝は女性(しかも風貌はクレオパトラに寄せたデザイン)。さらに守護神としてマンダという竜を従えているんです(こういう怪獣が出てくるのは東宝の特撮の十八番ですね)。かつて滅んだとされる古代帝国が高度な文明で生き永らえているという設定は、『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981-2023)にありそうな要素ですよね。『天空の城ラピュタ』(1986)も当てはまりそうです。そういう意味ではすごく憧れを感じる部分ではあるんですけど、いかんせん、日本人が古代エジプト人のような格好をしているのがコスプレ感満載で、今観るとちょっと違和感というかチープさを感じてしまいました(笑)
<日本の特撮技術はやっぱりすごい>
ただ、本作の醍醐味はあくまでもタイトルにある海底軍艦です。その名も轟天号。ムウ帝国は自分たちの脅威となるものを排除すべく、その轟天号の建造中止を求めてきた上に、かつてのムウ帝国の植民地であった地上の全世界の返還も要求してきました。すでに地上ではムウ帝国の攻撃により被害を受けていたため、国連は轟天号の出動を要請。ところが、戦争中に失踪し(と見せかけていただけなんですけど)、その後20年近くも消息を絶ちながら、大日本帝国の復興のために轟天号を建造してきた神宮司大佐(田崎潤)は頑なに反対します。これは日本のために作ったわけであって、ムウ帝国を倒すためではなかったから。しかし、その20年の間に世界は変わり、日本も戦争を放棄しました。ムウ帝国による攻撃も激しく、丸の内が陥没するシーンなんかはミニチュアとは思えない迫力とリアルさでしたね。最終的にはこれ以上ムウ帝国の勝手にはさせまいとし、轟天号にてムウ帝国を滅ぼすことになるんですけど、その轟天号の発進や突入のシーンなんかは「さすが日本の特撮技術」と思うほどによく作り込まれていました。やっぱり、こういう手作りでフィクションを作り出すっていうのはスタッフさんの苦労が感じられて僕は好きです。
<そんなわけで>
けっこう唐突な話ではあるものの、話のスケールの大きさと特撮技術の高さは印象に残ります。神宮司大佐の想いはまさに「愛国心」というものだと思いますが、1960年代だとまだ第二次世界大戦の影響も残っていそうだから、こういうキャラクターも今よりは共感されやすそうですね。ちなみに、楠見専務を演じた上原謙がすごく整った顔立ちで好きなんですけど、あの加山雄三のお父さんなんですよね~。