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おべK再び。揚げ物が不足した時の社長の信じがたい対応を23年ぶりに振返る

かなり初期に私が学生の頃にアルバイトをしていた元歌手の「Kとブルンネン」のK(鈴木豊明さん)が経営している弁当屋でアルバイトをしていた時の話を書いたことがあります。

かなりクセの強いスタイル、強気の経営をしているんですけど、原価厨(原価が低いものにまぁまぁ値段を乗せて売ると批判するような面倒な人)が発狂しそうな価格でモリタン(コロッケ)を売っているような店だったんです。

とにかく妙なエピソードが多い店でして、小出しにしようと思っていたんですけど、久しぶりに思い出したことがあったんでその話をしようと思います。

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おべんとうのK(この先は「おべK」表記に統一します)はなのか、弁当屋全般はなのかは分かりませんが、メニューって大きく二つに別れるんですよ。

フライパンでの調理が必要なものと、揚げ物です。

で、おべKに関してはフライパンで調理が必要なものは、注文を受けてからその場で作ることになります。

故に前に話に出てきたゴジラくん弁当、すなわち牛肉の炭と化すほどウェルダンで焼き尽くすステーキをお出しするには結構な時間がかかるんで、それはそれで問題なんです。

だからフライパンで調理する場(通称:焼き場)を任せられると本当に大変で、とにかく戦場になることが多いんですよね。社長からもどやされるし、社長の奥さんが居たりするとこれもまたプレッシャーだし。

で。
揚げ物の方って案外楽させてもらっていたんですよ。

つまり、基本的には揚げたものをコンビニのホットボックスみたいなやつに入れて管理するという形式を取っていたんですね。

注文が入るとこのホットボックスから出して、切って、盛り付けて。こっちの方が100倍楽なんで、から揚げ弁当なんて本当にすぐに出せるんです。

さっさと接客が終わるし、お客様的にもイライラさせずに済むからお互いにとってウインウインなのでいいじゃないか。そんな風に思っていたんです。

ただ。
困ることもあるんですよ。

それはね。
揚げ物のストックが切れた時です。

基本的に揚げ物っていうのは経験則に基づいて、ホットボックスにある程度ストックを用意しておくことになります。なのでこのストックが欠けそうになってきたら新しい揚げ物を準備して補充するわけです。

しかし毎回このように綺麗に行くわけではなく、イレギュラーに注文が続く場合もあるんですよね。そうした時は揚げる時間お待ちいただくことになるんですね。

揚げ物っていうのはそこそこお客様に提供するまでに時間がかかることになるんです。そうすると後ろのお客様の注文の方が先になってしまうなんてこともあるわけで、結構気まずいことになるんですね。

だから、この状況って結構ヒヤヒヤなんですよ。
出来ることなら避けておきたい。

そして最も避けたいのは、このシチュエーションに於いて店頭でお客様対応すること。

だって、絶対イライラしているじゃないですか。お客様は。こんな状況だといつ怒り始めるか分からんので、穏便に済ませて早く帰っていただきたい。

店頭で接客する立場としては謝り通しになります。

んですけど。
なんですよ。

この状況で後ろに控えているのが社長(K)だったときの対応がビックリするんです。

「今揚げたてお出しするんで、少々お待ちくださいー!!」

っていう感じで、サイレンみたいなデカい声が後ろから来るんですよ。

いわゆる笑声で、一言一句何言ってるのか全て判別可能な特殊な声が聞こえてくるんですね。

いや。
待ってくれ。

私本当にこれ来るとヒヤヒヤものなんですよ。

だって普通に考えたらね、じゃあ普段はお前、揚げたてじゃないってことじゃないか!って言われる余地が残っちゃうんですよね。

まぁ弁当屋の揚げ物が全て揚げたてな訳はないんですけど、その辺の文脈が読み取れない人をイラつかせる可能性が出てきちゃう。

空腹のときって人は基本的に攻撃的なんですよ。
思った通りに行かないと怒り始める人が居る。

だから、おべKの接客って怖いところがあって、よっぽどもう一つのバイト先のセブンイレブンの方が気持ちが楽だったんですよね。

なんでおべKでバイトしていたか?って言ったら「例の彼女」からの指令を受けたというのが大きかったんで、当然やめるという発想はなかったということも大きかったんです。

話は逸れましたけど、毎回このクレームを誘発する弁解が怖くて仕方がなかったんですよ。

揚げてるからって言わなくても、少し時間を要しているくらいでいいじゃねえか

って思っていましたけど、相手社長ですからね。
元歌手で、両親と同じ世代で。
怒ると結構怖くて。

言える訳ないじゃないですか。

でも。
不思議とこれに関してはクレームなかったんですよ。

未だにその理由ってハッキリはしていないし、まぁおべKでバイトしていた時のことを考える機会なんてnote書く時くらいなんでそりゃハッキリしようが無いんですけどね。

さっきも話したように空腹のとき人って怒りやすいのでちょっとしたことで怒られがちなので本当によく分からないんですよ。

理由を考えたらね。
一番先に思いついたのは、勢いなんすよ。

社長の言葉ってどう考えても変なんですけど、人って仮に間違っていたとしても、ツッコむところがあるにしても、そこに気づかなかったら問題なくて。

ツッコミどころの多くは自信が無かったり、慣れていないんだね、っていう相手に対して抱くものなんですよね。語気が弱いとどうしても相手の意図を考えるし、違う部分があると疑うとそこに気づきやすい。

社長の場合って、堂々とこれ言っちゃうんですよ。笑顔で堂々と今揚げてるって言われたら、なんかそれで通っちゃう。

案外これって、顧客対応に通じるかもしれないんじゃないかと思うんですよね。

あ、
いや、

でもやっぱり私はその方法取れないや
後ろめたいことを言うとバレちゃうんですよ

43歳にしておべKの社長の凄さを再認識する、私なのでした。

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西尾克洋/相撲ライターの相撲関係ないnote
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