教育を考える―文学の力②
11/10(木):教育を考える⑥
先週に引き続き、大村はま先生の教えから、「文学の学習におけるつけておくべき力」について考えていきましょう。
10の力のうち、今日は後半の5つ。
⑥筆まめに根気よく書く力
筆(ペン)を持つことを苦にせず、思いをまとめあげる力
⑦すじや組み立てを理解する力
作品の組み立てがわかり、作品の部分を全体の中に位置づけてつかむ力。
文章を読み解きながらイメージを広げ、深める。
⑧想を組み立てる力
自分の想を、すじを通して組み立てる力。
自分の思い発想を俯瞰してとらえ、読み手の立場、理解にそって伝えようとする。
⑨語彙の力
ゆたかな語彙をもつこと。それぞれのことばの深い意味、雰囲気をつかみ、伝えたいこと、使う場、相手にあったことばを選び使う力。
⑩字を読み書く力
はっきりと確実に音を切って読み書く力
‹参考›大村はま国語教室 第4巻:大村はま p5~
前回から引き続いての「文学の学習におけるつけておくべき力」いかがでしたか?
「文学の学習…」という風に聞くといわゆる「お勉強」に目が行きがちですが、大村先生の教えから、親子(教師と生徒)関係のなかで充分に思いを広げることや、学びが苦にならない体力、知性を深化させる為の姿勢作りなど、幼い頃からな土台作りが不可欠なのではないかと思います。
子どもの成長、学びには周囲の見守りと心配りが大切なのでしょうね。
幼少期には特に、
豊かな語彙力、表現力で話をできる環境としての大人。
自分の言葉で伝えたくなるような生き生きした経験。
自分の思いを聞いて欲しい!自分の語彙力ではまだまだ!と枯渇感を持つような人間関係。
それらの土台を温かく気付いていきたいものです。
また、大村先生が他界される少し前、ある事件が起きました。
中学生女子が事件を起こし、その日までの心情を事細かにブログに綴っていた…という、事件。
大村先生は、信じていた言葉の力、表現することの力が揺らいでしまったこと、
またこの女子の心情に心を痛め、体調を崩されるほど悩まれていたそうです。
その後の思いは綴られていませんが、大村先生が終着された思いや揺るぎないものを聞いてみたかったな…今、そんなふうに思います。
事件を起こしてしまった子のことがある以上、言葉の力は万能薬ではないかも知れない。
でも、言葉の力は間違いなく子どもたちの心の体力や経験を耕し、支えてくれるものだと思う。
また、大村先生の教えは、文学だけでなく全ての育ちの力になってくれると思う。
だから大村先生の教えが少しでも誰かに伝わって、実践してくれたら嬉しいな…と願っています。
そしていつかの未来、自分の子どもにもそう関わる日がくると嬉しいです。