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嶋田青磁
2019年9月27日 21:01
La nostalgie 濃紺のみなもに銀の絨毯が敷かれたみちをおまへの手をとり駆けてゆきたかった 裳裾を垂らしたやうな細く白い雲、澄みゆく大気 耳もとで囁かれるのはすべてが 残酷な結末である #詩 #散文詩 #文学
2019年8月30日 17:12
月明かりさへ霞ませる燦然たる光は橙色をしてぼくの心臓を震わす光はあまりに眩しく肋骨のすき間を洩れ辺り一帯に恒星のリュクスを撒き散らすやうだ八月の夜の静寂に燃え盛る星が叫ぶぼくは此処にゐてそれから恋をしてゐると #詩 #散文詩 #文学 #8月31日の夜に #夏
2019年6月17日 20:53
淡色の花々を抱(いだ)きながらそれらを一つ残らず手折り埋めてしまいたいといふ衝動 あゝ 憐れな命よ 芽吹き 開花させたるは紛れもなくふたつの胸のふくらみの深部であるといふのに #詩 #文学 #散文詩
2019年6月8日 14:01
薄雲の透き間からそっと手をのばしあのひとの運命を変えられないだらうか 曲がり角をやさしく手の平でふさぎ遠く朝の光を目指して硝子玉の転がるやうに 真っ直ぐ #詩 #散文詩 #文学
2019年4月30日 23:59
2019年4月27日 14:05
2019年3月11日 19:56
昨夜贈られた一輪の薔薇この連なる花弁がその目には何色に映るか あなたも知っているはずだ必ずしも薔薇が望まれた色をもって咲かないことを 聖堂でひとりぼくは祈った 願わくばそれが白薔薇であるようにと #詩 #散文詩 #文学 #哲学
2019年3月6日 12:52
砂粒の混じる風が頬を強く打ち、熱の籠もる痛みが唇を震わせた。草木の萌える土はなく、乾いた地の裂け目は暗く深い。とうの昔に枯れ果てた灌木にとまる黒々とした鴉(からす)の群れの、虚しい笑い声だけが残響するさまは、しかし現である。果てない荒野を歩みながら、わたしは外套の内にかくす青い星の存在を常に想った。「この仄青くかよわい光を、守ってゆかねばならないのだ。」唯一残された使命の断片と、傍若無人な風だけ
2019年2月13日 19:06
真夏の日暮れ夕立の前に似た張り詰めた気配 或る少女がひとり空を見上げ鈍色の髪を濡れた空気に浸す 雨雲の狭間遠くで稲光が見えたようなそれとも幻か 振り返りざま少女の目がわたしを捉えて閃いた 其れは飴色の目であった 誰も彼もが少女の緊迫した挙動指し示す方角から目を逸らせない 飴色の目は胸の奥底に沈む革命への憧憬知的昂奮への欲望掻き立てられた
2019年1月28日 00:20
冬の夕べよどうかあの女(ひと)の焦がすように熱く猛る血の流れるからだを薄暮のやさしい闇で包んでおくれ 夜明けの澄んだ地平線をともに見つめそのみずみずしい指先に触れられるように 冬の夜よどうかかの女(ひと)の紅いルビーの唇ヴィオロンの音を奏でまっすぐに射る言葉を露台を吹きわたる風で受けとめておくれ 楽園に生るという甘く熟れた柘榴に震えず口づけられるように
2019年1月25日 18:40
詩人は駆ける天蓋の閨にねむる貴方の烟る横顔薔薇色の頬のため 綴られた韻律揺れ惑う抒情斬り閃く散文円やかな調べ 蒼ざめた唇に匙でそっと親鳥のように言葉をはこべば たちまち春が咲きこぼれ冬が雪解けて頬に紅みさす 夢見るような瞳と慈しみのまなざしは焚べられた詩の其々が灯す炎 金星の差延べる手をとり詩人は旅する腕一杯の詩篇と倶に銀色の砂浜を駆け貴
2018年12月5日 21:33
時は満ちた 遠く鐘の音が告げるのは出奔 絡む蔦を剥ぎ門を開け傷ついた手は光芒をつかむ 金色の血が奔流となり褐色の瞳を希望に燃やす 鳴り響く鼓動溢れだす生命の躍動長い行路の始まりにおまえはいる おまえには翼がある明くる大空へ地を蹴って飛ぶ翼が 冒険と愛が青空の遥か高み雲の向こうに待つだろう 透明な追い風が必ずやおまえを助ける 新しい未来の
2018年11月30日 23:16
雪原と紛う白妙の砂漠砂粒はすべて諦念の化石である氷河のように永い時をかけ生の淵へむけ悠然と流れ往く 空と地平線の狭間一羽の鳥が白い翼を瞬かせ光の線を引いた 逃げ水を追い虹の都を夢見少女たちは旅を続ける この世界が巨大な砂時計であると知りながら #詩 #散文詩 #自由詩 #文学 #哲学 #小説
2018年11月12日 00:51
幽かな波音に呼び覚まされた昨夜から降り続いた雨音はなく、月の女神によって夜気のヴェールがかけられた世界は静寂のエーテルで満ちていた 満月の明かりが室内を朧げに照らし、天井には光の波紋が仄かに揺らめく レースのカーテンを開けると、潮騒と海の香りが、恍惚を伴ってわたしを抱擁した髪の、耳の、あらゆる隙間に潮の甘い風が指をすべらせる わたしは出窓に腰掛け、ネグリジェの裾を垂