「ランドセルが 歩いてる」詩
勇ちゃんは、三人兄弟の
末っ子だ
とても 優しい 心の子で
おばあちゃん子
幼稚園の 入園式には
口を への字にして
泣きそうな顔で
座わってた
兄と姉が TVゲームを
していると
後ろで 順番が来るのを
辛抱強く 待ち続ける
一時間以上も待って
「お兄ちゃん 少し
ボクにも やらせて」と
小声で 頼む
兄弟げんか では
お兄ちゃんに
殴られるのに じっと耐える
そして 最後に 思い切り やり返す
お兄ちゃんは
この 不意打ちに
たじろいでしまう
勇ちゃんの 戦術勝ちだ
生き物が 大好きで
里山で 巣から落ちた
雛鳥を 見つけた
「父さん 僕がみつけたんだよね
僕が 飼ってもいいよね」と
細い目に 光をいっぱい溜めて
懇願した
夏休みは お兄ちゃんと 一緒に
虫取り、魚とりに 熱中
子供部屋は カブト虫の
アパートと 化す
虫の世話は もっぱら
勇ちゃんの 仕事
小学一年生に なった日
真新しい ランドセルが
黄色い帽子を かぶって
歩いていくような 後ろ姿は
絵本の 挿絵のようだった
小春日和には おばあちゃんの
膝の上で お気に入りの 絵本を
読んで貰う。
「もう一回 もう一回」と
何度も せがみ
祖母を 苦笑させた。
年を経て おばあちゃんが
倒れて 入院した
おばあちゃんは 昏睡状態
でも 夢の中で
電話をかける 手つきをして
「勇ちゃん 勇ちゃん」と呼び続けた
今年の秋 勇ちゃんは
美しい お花嫁さんと
別の町で 暮らし始めた。
いま 千代紙を 折るように
勇ちゃんとの あまたの思い出を 数えてる。
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