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「父さんの寂しい笑顔」詩


懐かしい 曲を聞くたびに
天に召された 父さんの
かすれた 歌声が 耳に帰ってくる

ビールを 飲みながら
よく 一人で 歌ってた
ボクは お酒臭くて 
いつも 逃げ腰

ボクを 膝にのせて
雨の糸のように
つぶやき色の 声で
寂しい歌を 歌ってた

普段は 仕事が忙しくて
ほとんど 顔を合わせることが
なかった

いつか 僕が
「父さんは いつも いないじゃないか!」と
言ったら とても 悲しそうに
フッと 笑ったね

今 自分が 子供から
同じ言葉を 言われて
父さんと 同じ悲しい笑顔を
鏡に映る 自分の顔の上に
見つけてる

一緒に 魚釣りに
連れてって くれた

なかなか 釣れないので
場所を 変えようと いうと
「坊 我慢が 大事だぞ」と
首を 横に振った

その教えを 大人になって
痛いほど 味わってばかり・・・

戦争に行ったことは
あまり 話してくれなかった
たまに 口をついてでるのは
「坊 戦争しちゃダメだよ
母さんが 悲しむからね」

満州で ロシア軍の
捕虜になったとき
持っていた 日本刀を
地面に たたきつけた

おばあちゃんは 先祖代々の
大切な刀が 満州の荒野で
野ざらしに なってると
よく 嘆いてた

父さんに もっと もっと
ビジネスマンの 基本を
聞いておけばよかった

今度 会った時には
あれや これやと
聞くから 待っていてね

近いうちに 手紙書くね
目を 通したら 
「不肖の倅(せがれ)だっ・・」って
きっと 嘆くよね


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立山 剣
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