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「マツムシのセレナーデ」詩


マツムシは 川原の
ススキの原に 住んでいる

細い葉に とまり
月の 明るい夜に
緑の羽根を 震わせて
チッリリンと 悲しげに
愛を 歌う

川面を吹く風は その寂しさを
ススキの原 全体へと
運んでいく

マツムシは 父母の顔を知らない
決して 会えることがない
両親を 慕って 羽根を震わせる

その物悲しく 甲高い音色は
コウロギや ウマオイの
心をも 揺さぶる

ススキの原は 鳴く虫が
愛の曲を 奏でる
セレナーデの 舞台となる

月は 蒼い光で
この小夜曲の 舞台を
光のベールで 包む

ジャズやロックは
ここでは 演奏されない
平安時代の 昔から 受け継がれてきた
物のあわれをいたむ 歌声が 響く

人は 物のあわれに 心を魅せられ
去って行った 恋人への
恋心を ぼんぼりに灯して
月を 仰ぐ

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Doodle Works様の写真を拝借いたしました。ありがとうございます。

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